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2004年12月09日

東京都立大学学生・院生連絡会議、「教学体制の保全に関する質問状」

都立大の危機 --- やさしいFAQ(2004年12月8日)より
 ∟●教学体制の保全に関する質問状(平成16年12月6日)

東京都大学管理本部長 村山寛司 様
平成16年12月6日

教学体制の保全に関する質問状

 私たち東京都立大学(以下、都立大という)に在籍する学生・院生は、これまで一貫して私たちの学習研究環境の保障を求めてきました。しかし、現在まで必要な対応がなされているとは考えられません。そこで、平成17年度から都立大が法人化されるにあたり、私たち学生・院生の学習研究環境に関して下記の事項につき質問させていただきます。

 都立大が法人化されようとも、私たちの権利と地位は、いささかもゆらぐことはありません。いかなる外部の高圧的な管理も私たちの学習研究環境とは相容れない性質のものであること、私たち学生・院生すべては、都立大本来の教育と研究を当然に享受すべきであること、並びに、その自由な学生生活は脅かすことのできない価値であることをご理解いただき、私たち学生・院生の疑問および不安が解消されるよう、ご回答をいただきたくお願い申し上げます。

1.法人化にともなう東京都立大学学則の改廃権限は、どの機関に属するのでしょうか。

 東京都は、平成16年度末の東京都立大学条例の廃止をもって、現在の東京都立大学(以下、都立大という)は廃止され、法人発足後に新たな都立大が設置されるとして、平成17年度以降の都立大の学則は法人が定めるとしています。

 しかし、私たち学生・院生が都立大に学籍を置いている以上、都立大が大学として断絶するかのようなことは到底ありえません。公立大学法人は、大学設置者の地位を東京都から承継するに過ぎず、都立大が別の大学に置き換えられるわけではありません。したがって法人化とは関係なく、都立大が大学として一貫性をもって存続することに疑いの余地はありません(たとえば、進級判定や休学などの決定は、年度を越えて当然に効果を持ちます)。 

 また現学則は、都立大でおこなわれる高等教育について、私たちと東京都の間で締結された契約の内容を表しています。すなわち、私たちの身分や地位に関する事項だけでなく、現学則には、学内機関や施設に関する各種規定が設けられており、それらが変更されれば私たちの処遇もその影響を受けざるを得ません。しかし私たち学生・院生の権利と地位が、法人化を理由として一方的に変更されることが許されないのは明らかです。

 以上から学則の改廃は、現大学の最高意思決定機関である評議会によって、適正な手続のもとで行わなければならないものと考えます。

2.法人化後の都立大において、教学上の責任と権限の所在はどうなるのでしょうか。

 教育基本法6条2項および10条1項によれば、教育は、教員自らの責任において直接に行われなければなりません。それゆえ、各論としての個々の講義については、各教員が自身の責任のもとで直接に学生に対しておこない、総論としてのカリキュラム編成および教員人事については、教員組織である教授会が連帯してその責任を負わなければなりません。しかし、都議会で審議されようとしている定款案は、現在の教授会の権限を大幅に縮小しようとしています。教育上の責任と権限が対応関係にあることは明らかですが、教育の総論的な責任を負う教授会から必要な権限を奪ってしまうことは、その責任の所在を不明瞭なものにすることを免れません。

 私たちが都立大の教育水準に合致した講義等を受けられることは、入学試験に合格して、授業料を支払っている学生・院生としての当然の権利です。今後考えられる問題として、教授会は、教員の減少による非常勤講師の手配などの対応策を講じなければなりませんが、そのための予算措置がなされなければ、教授会は私たちに対する責任を果たすことができません。またカリキュラム編成に関しては、平成22年度までの現大学存続期間中であっても、数年後には新大学を中心としたものになることが予想されます。しかしそのような中でも、都立大教授会は私たちに対して従来と遜色のないカリキュラムと教育を提供しなければなりません。

 以上から、私たちに対する教学上の責任が果たされる前提として、教授会の人事権およびカリキュラム編成の権限を脅かすことは許されません。権限のない者に責任を問うことはできず、能力のない者に権限を持たせることは無意味です。

 また経営審議会、教育研究審議会については、それぞれの機能、権限および構成が不明確であるばかりでなく、教授会との関係も明らかではありません。このような状況を放置することは、教学上の責任をあいまいなものとし、学習・研究環境を危機に追いやるものです。

3.学生・院生の身分保障や処分に関する事項は、誰の責任と判断のもとで行われるのでしょうか。

 現在の都立大では「東京都立大学総長予定者選考規程」第8条の3 第3項を根拠に、「学部及び大学院の正規学生」は、総長候補予定者のうち適任でないと認められる者を除斥する権利を持っています。しかし定款案は、私たち学生・院生の信任を受けていない者を都立大総長として任命しようとしています。さらに、懲戒などをはじめとする処分や私たち学生・院生の身分について重要な決定をする評議員、学生部長などの管理職が、十分な議論も経ないまま、法人化にともない廃止されようとしています。

 総長を初めとする学内管理職は、学生・院生の処遇の学内における平準化、懲戒時の弁明の機会の保障、その他手続上の重要な決定をなすものとして、私たちの処遇を決定する重要な機関です。私たちの処遇に関する事項は、教育的見地から行われることが不可欠であり、現在は、民主的手続を経て選任された教員が管理職としてその任務に当たっています。

 このような中で学生部や学生委員会の廃止後に設置される機関ついて、未だその詳細が明らかにされていないことは、私たちに大きな不安と危惧をもたらすものです。さらに、学生部長の後任とされる学生サポートセンター長が学内の教員でないことは、上記の教育的見地からすれば到底許されません。私たち学生・院生の処遇に関して、適正な手続を経て選任された学内の管理職や諸機関の存在は欠かせないものと考えます。

以上

東京都立大学学生・院生連絡会議      
学生自治会執行委員会
人文科学研究科院生会
史学科院生会
理学・工学研究科院生有志
社会科学研究科院生有志
連絡先:renrakukaigi@yahoo.co.jp


投稿者 管理者 : 2004年12月09日 00:56

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