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2004年12月11日

全大教、社団法人国立大学協会臨時総会にあたって(要望)

全大教ホームページ
 ∟●全大教「社団法人国立大学協会臨時総会にあたって(要望)」

2004年12月8目

社団法人 国立大学協会
会長 佐々木 毅殿

全国大学高専教職員組合
中央執行委員長関本英太郎

社団法人国立大学協会臨時総会にあたって(要望)

 貴協会が、新たな法人制度のもとで大学・高等教育の充実・発展と教職員の待遇改善・地位確立に向けてご尽力されていることに対し心より敬意を表します。全国大学高専教職員組合(全大教)は、法人制度の下で、国立大学の教育研究が将来にわたり一層充実し、教育研究の営みに携わる教職員の労働条件・地位が改善・向上することをめざしています。

 国立大学等が今年4月に法人移行して約8ヶ月が経過し、重大な問題点が顕在化しつつあります。それは、効率化係数やrマイナスシーリング」等大学予算の今後の見通しが不透明になり、大学をめぐる競争的環境の中で、学長裁量経費等「全学プール経費」が増大し、現場研究費の減額、運営費交付金の算定上の「特定教員」削減の動き、非常勤講師手当相当額の減額による教育への影響、超過勤務手当の不足等教育研究の現場では様々な混乱と不安が生じていることです。
 すでにご承知の通り、2005年度以降については、文科省と財務省の協議により運営費交付金について、新たな算定ルールが導入されます。このことは、予算の「マイナスシーリング」問題と合わせて、大学の教育・研究・医療の充実と教職員の権利擁護にとって重大な問題を内包しています。

 即ち、予算は一部の概算要求事項(競争的資金を中心とした「特別教育研究経費」等)を除き人件費を含めて2004年度予算で固定され、それに効率化係数、経営改善係数が毎年加わる仕組みとされ、必然的に、各大学等は自己収入増に頼らざるを得ません。
 それは、第1に、産学連携等により、自己収入増が安定的に可能な大規模大学とそうでない地方大学等との格差構造がさらに拡大する危険性をもっています。
第2に、相対的に自己収入増大が可能な先端的・応用的分野と直ちに実用的ではないが、学問の普遍的発展の上で重要な基礎的・文化的分野との研究教育費の格差がさらに広がる危険性があります。
第3に、運営費交付金が削減される中で、r教員任期法」の無限定な運用拡大や職員の「サービス残業」の常態化、身分の不安定化等により、法人化が教職員のモラール低下を招くことが危惧されます。
 これらの問題点は、「大学の教育研究に対する国民の要請にこたえるとともに、我が国の高等教育及び学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図るため」(国立大学法人法第1条)という設置目的に逆行するものであり、国立大学がこれまで果たし、今後一層その役割を発揮すべき総合的で均衡ある発展を阻むものと言わざるを得ません。
 また、度々指摘されている欧米に比して半分以下という高等教育に対する公的支出(GDP比0.5%)の増額も重要な課題です。

 貴協会の臨時総会にあたり、総会の趣旨をふまえ、予算問題に絞り要望を提出するものです。法人化を前にした2003年12月6日、国立大学協会は、臨時理事会を開き、「学長指名の返上をも念頭に置きつつ、重大な決意を持って」運営費交付金の算定ルールの見直しの問題点を指摘し、その充実等を求めるr運営費交付金の取り扱いについての要望」を決定し、文部科学大臣に提出され、そのr要望」は12月12日の臨時総会において全会一致で採択されています。こうした経緯もふまえ、貴協会におかれましては下記事項の実現について特段のご尽力をお願いする次第です。


1 国会での附帯決議や国立大学法人の設置目的をふまえ、学術研究の水準の向上と均衡ある発展をはかるため、国立大学等に対して、「マイナスシーリング」や効率化係数等を加えず、運営費交付金を増額すること。また、自己収入増に拍車をかける運営費交付金の算定ルールを見直すこと。さらに、大学附属病院の有する高度の公共性に鑑みて、収益第一主義につながる「経営改善係数」の導入は行わないこと。
2 政府の大学・高等教育に対する公費投入額について欧米並みに早急にGDP比1%とすること。
3研究教育の均衡ある発展をはかる立場から、過度の競争的資金重視政策ではなく、基礎的基盤的経費の充実をはかること。

投稿者 管理者 : 2004年12月11日 01:42

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