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2004年12月21日

自由法曹団、立川テント村事件無罪判決の控訴断念を求める声明

自由法曹団
 ∟●立川テント村事件無罪判決に対する控訴断念を求める声明(2004年12月20日)

立川テント村事件無罪判決に対する控訴断念を求める声明

 立川市内の防衛庁立川宿舎の新聞受けに自衛隊のイラク派兵に反対する内容のビラを投函した市民団体「立川自衛隊監視テント村」のメンバー3人が、住居侵入罪により逮捕・勾留された上起訴された事件において、2004年12月16日、東京地方裁判所八王子支部(長谷川憲一裁判長)は、3人全員について、無罪判決を言渡した。
 判決は、弁護人らの公訴棄却の主張については斥け、3人がビラ投函のために宿舎に立ち入った行為が住居侵入罪の構成要件に該当するとしたものの、3人が宿舎に立ち入った動機は正当なものといえ、その態様も相当性を逸脱したものとはいえず、法益侵害の結果も極めて軽微なものに過ぎないとした。その上で、判決は、3人のビラ投函は、「憲法21条1項の保障する政治的表現活動の一態様であり」「優越的地位が認められている」こと、商業的宣伝ビラの投函に伴う立ち入り行為が放置されていることに照らすと、今回と同様の行為が長年にわたり不問に付してきた経緯がありながら、「正式な抗議や警告といった事前連絡なしに、いきなり検挙して刑事責任を問うことは、憲法21条1項の趣旨に照らして疑問の余地なしとしない」ことを指摘し、「刑事罰に処するに値する程度の違法性があるものとは認められない」として、無罪の結論に至ったものである。
 立川テント村事件は、平穏な態様によるビラ投函という、表現の自由(憲法21条1項)により、憲法上手厚い保護を受けるべき行為を、捜査機関が公安部主体となって狙い打ちにし、75日間という長期の身柄拘束を加えて刑事被疑者・被告人に仕立てることにより弾圧を行ったものである。近年、本件ばかりでなく、休日にビラ等を配布した行為が国家公務員法で禁止した「政治的行為」にあたるとしてその公務員が国家公務員法違反で逮捕・起訴された事件や、都立板橋高校の卒業式において日の丸・君が代の強制に反対するビラを配布した元教員が威力業務妨害で起訴された事件など、政府や行政に沿わない意見を刑事的に弾圧する事件が頻発しており、政治的な表現活動に対する萎縮効果が生じることが危惧されていた。
 そのような中、捜査機関の逮捕・勾留及び起訴の不当性を浮き彫りにし、民主主義社会における表現の自由の重要性を適切に評価した今回の無罪判決を、私たち自由法曹団および同東京支部は、人権擁護活動に取り組む弁護士の団体として、強く支持するものである。
 そして、自由法曹団および同東京支部は、東京地方検察庁検察官に対し、表現の自由という憲法上の権利の重要性に照らし、無罪判決は当然の結論であること、3人に対して行われた逮捕・勾留及び捜査・起訴が極めて不当なものであることを正しく認識した上で、本件に関する控訴を断念し、3人に真摯な謝罪を行うことを強く求めるものである。

2004年12月20日

自由法曹団
団長坂本修
自由法曹団東京支部
支部長松井繁明
文京区小石川2-3-28-201
O3-3814-3971

投稿者 管理者 : 2004年12月21日 01:15

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