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2005年01月02日

大学設置基準等を改正、薬学教育6年制

薬事日報(1/01)
表:6年制の薬学部・薬学科の設置等について(パターン表)

【改正の要点】

[卒業の要件など4点]

 大学設置基準の改正は、[1]卒業の要件[2]実務実習に必要な施設[3]段階的整備[4]専任教員数――の4点。施行期日に関しては、06年4月1日としている。

 具体的に見ると、卒業の要件としては186単位以上の修得とし、うち20単位以上は病院及び薬局における実務実習により修得することとしている。

 段階的整備に関しては、修業年限の変更により4年制の課程を6年制とする場合の教員組織や校舎等の施設及び設備を段階的に整備できることとしている。

 また告示において「完成年次まで各年度ごとに必要とする教員を置くこと及び第3年次までに必要とする施設及び設備を整備することができることとする」と定められる。

【実務経験者の資格】

[概ね5年以上の経験]

 学部の種類において定める専任教員数に関しては、6年制課程の専任教員数を4年制課程の2倍の水準に引き上げると共に、当該専任教員のうちに実務経験を有する薬剤師を含むとしている。

 専任教員の中で実務経験者の割合は「6分の1」。その積算は、告示で「6年制に係る専任教員数に6分の1を乗じて算出される数(小数点以下の端数は切り上げ)は、概ね5年以上の薬剤師としての実務経験を有する者」と定められる。

 また、実務経験を持つ専任教員数については経過措置的な取り扱いも設けられた。実務経験者のうち3分の2以内は、1年につき6単位以上の授業科目を担当し、かつ教育課程の編成その他薬学関係学部の運営に責任を担う者であれば、専任教員に数えるというもの。

【6年制薬学部(科)の設置に3タイプ】

[基本は6年間の学部教育、多様な人材養成にも配慮]

 教育制度の在り方に関しては、薬剤師養成のための薬学教育は6年間の学部教育を基本とするが、多様な人材の養成といった薬学教育の果たす役割にも配慮するという形で、「6年一貫」と「4+2」が併存するという形になっている。

 具体的に6年制の薬学部・薬学科の設置等については、三つの類型が考えられている。まずは、現段階で4年制の薬学部・学科がなく新設する場合がある。この場合の設置認可申請の締め切りは本年の4月30日となっている。

 次に4年制の薬学部・学科が既にある状況だと、6年制を併設する場合と、4年制を全て6年制にする場合とが考えられる。6年制の併設で大学全体の収容定員が増える場合には、学部等の設置の届け出と収容定員増に係る学則変更認可申請を行う。定員が変わらない場合は、学部等の設置の届け出を行う。学部等の設置の届け出は本年12月31日、収容定員増に係る学則変更認可申請は本年9月30日が締め切りとなっている。

 一方、4年制を全て6年制にする場合で、大学全体の収容定員が増える場合は、修業年限の変更に係る学則変更届け出と収容定員増に係る学則変更認可申請を行う。大学全体の収容定員が変わらない場合は、修業年限の延長に係る学則変更届け出を行う。収容年限の変更に係る学則変更届け出の締め切りは、本年12月31日。

【長期実務実習】

[新6者懇で課題検討]

 また、長期実務実習の実施体制整備など、今後の課題を検討する場としては、「新薬剤師養成問題懇談会(新6者懇)」を設置し、議論を進めていくことが想定されている。検討事項としては、[1]長期実務実習の実施体制の整備[2]共用試験の実施に向けた検討[3]第三者評価の実施に向けた検討[4]生涯学習及び研修の充実方策――など。

 その中で実務実習に関しては現在、薬学教育協議会が公表した03年度実習実施状況によると、病院実習だと4週間以内、薬局実習だと2週間以内というケースがほとんどである。

 今後、6年制へ移行し、長期の実務実習を行うことになると、学生に対して適切な指導を行うという観点から、薬科大学・薬学部が、大学の附属病院その他の病院及び薬局という実習施設と十分な連携体制を図り、実習の指導体制の整備を図ることや、全ての学生を受け入れるための受け入れ体制づくりに向けた取り組みを進める必要がある。

 特に大学と現場の実習施設との関係では、附属病院を持たない大学が多いため、大学と実習施設の信頼関係の構築が重要になってくる。調整機構をどのように活用するのか、各大学が想定している内容の実習が実習施設できちんと行われるのかなど、今後、議論を深めていかなければならない課題となっている。


投稿者 管理者 : 2005年01月02日 01:48

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