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2005年03月23日

横浜市立大の課題、神奈川新聞社説の論調

神奈川新聞(3/12社説)

ちょっと古くなりましたが,横浜市大の今後に課題について論ずる神奈川新聞社説が3月12日付けでありましたので下記に掲載します。

■「新生市大」の課題

 公立大学法人化に伴って学部を再編した横浜市立大学がこの四月に新たな船出を迎える。二〇〇九年の開港百五十周年に向けて新たな施策や市民協働を模索する中でシンクタンクや人材供給などの重要な役割を担う。「横浜市が大学を持つ意義」を高めていくことは市大関係者の義務でもあり権利でもある。市民や企業などに対して今まで以上に強力なリーダーシップを発揮してほしい。
 「大学新生」に当たってはカリキュラムなど学内の充実を急ぐことに加え、対外的な新たな課題も浮上している。市内にキャンパスを持つ二十七大学(短大含む)が十四日に発足させる常設連携組織「大学・都市パートナーシップ協議会」への対応である。
 少子化の下、大学の生き残りは容易ではない。同協議会には、ライバル関係にある大学間を連携し、さまざまな形で市民への知的資源の還元を進めながら横浜のブランド力を高めていく狙いがある。中田宏市長は「『横浜をより良くしていく』という市大の設置目的に沿っている」と説明。市大と〇五年度に新設される都市経営局大学調整課とが協力して応援していく方針を明らかにしている。
 そこで問われるのが市大の発信力である。開会中の市会審議で市大側は今後の広報広聴について「ホームページ、受験専門誌などを通して新大学をアピールしていく」と答弁しているが、いまひとつ戦略が見えてこない。細かい話だが、商・国際文化・理学の三学部を統合して誕生する国際総合科学部の入試が先ごろあった。「第一期生」を目指す受験の場面は「新生市大」をアピールする好機なはずだったが、新聞やテレビなどへ取材を促す動きはなかった。広報にせよ情報収集にせよもっと前へと出るべきではないか。
 国際総合科学部の志願者倍率は三・六倍で統合前の三学部合計(六・八倍)を下回った。単純に比較はできないにしても、「入試方法が変わったことによる受験生の戸惑い」(大学側の市会答弁)だけに原因を求めるのは早計にすぎないか。広報戦略などをきちんと総括し、来年以降に生かしていくことが必要だ。
 もう一つは在校生への配慮である。一連の大学改革はこうした学生たちの理解なくして進まなかった。市大側は現在の学部体制での学習機会を保障し、きちんと世に送り出していく方針だが、ぜひ徹底してほしい。
 横浜市内の大学生数は八万二千人で全国の大都市(東京二十三区除く)では三番目の規模。そのネットワーク化だけでも大変な人的資源となる。協議会活動へ期待が集まるゆえんである。横浜市と関係の深い市大が学内充実を進めつつ各大学の思いや提案も的確に受け止めて、行政サイドとのパイプ役となることを期待したい。


投稿者 管理者 : 2005年03月23日 00:30

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