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2005年03月29日

愛媛大、授業料値上げ 国の補助減り決断 抗議の意味で「2段階」 本年度4400万円減収か 保護者ら苦渋の表情

愛媛新聞(3/28)

 愛媛大(小松正幸学長)をはじめ、ほとんどの旧国立大は四月、二年ぶりに授業料を値上げする。文部科学省が授業料の「標準額」を一万五千円引き上げるのに伴い、多くの大学が標準額通り実施。法人化により各大学は授業料を独自に決めることができるようになったが、据え置きは佐賀大だけで、愛媛大は二年間かけて段階的に引き上げる。入学者の経済的負担が増加する中、小松学長が「世界で例がないほど高額」と指摘する授業料の値上げの背景などを探った。(社会部・向井秀則)
 旧国立大の一般学部の授業料は現在、年間五十二万八百円。愛媛大は四月に九千六百円、来年四月に五千四百円、二年で計一万五千円値上げする。
 県外から愛媛大に進学予定の子どもを持つ保護者は、授業料アップに苦渋の表情を見せる。長女が愛媛大を受験した奈良県の会社員男性(53)は「下の子どもも来年、大学受験する。希望をかなえてやるために、一円でも安いほうがいい」と切実な思いを口にした。「夫婦共働きで学費を捻出(ねんしゅつ)するのが精いっぱい。できれば地元大に行ってほしいが」とため息も交じる。
 「旧国立大の今の授業料が妥当かどうかは分からない。私立大を考えればまだまし」と長女の受験に付き添った京都府の主婦(44)。「ただし愛媛で下宿した場合の生活費の仕送りなどを合わせると、地元の私立大の授業料と変わらなくなる」と苦笑いする。
 小松学長は「旧国立大は、家庭の経済力に左右されることなく高等教育を受けられる場。その点、現行の授業料は、そもそも高すぎる」との意見。さらに「私立大との格差を一・六倍以内に抑える」という文科省の標準額改定の理由を、「おかしな言い分だ」と一蹴(いっしゅう)する。
 愛媛大に隣接する松山大は私立大の中で圧倒的に授業料が安い。昨年四月の法人化で大学間競争時代に突入した今、値上げしたくないのが本音だろう。
 授業料をアップせざるを得ない背景には、愛媛大をはじめとする旧国立大の台所事情がある。文科省が大学への運営交付金を決める際、今回引き上げた一万五千円は、各大学が授業料として加算したものと見込む。このため、値上げしなかった大学は事実上、運営交付金が削減され、「収入減」となってしまう。愛媛大では約一億二千万円に当たり、理学部の年間予算の三分の二に相当するという。
 小松学長は「これが続くと大学の存続自体がしんどい」と話す。「法人化後は何でも自分たちで決めるという話だった。愛媛大の二段階値上げは、『約束』を守らない国への抗議でもある」と強調。これまで文科省は旧国立大の授業料と入学金を隔年で値上げしていることから、「入学金の順番」に当たる来年を見越し、国へのけん制の意味も込めたという。
 二年かけての段階的引き上げを選んだ愛媛大は、本年度、約四千四百万円の収入減が確実視されている。この減収分は、増加傾向の休退学者を食い止めるなど、大学の自助努力でカバーする考えだ。「(減収の影響がある)大学と(アップ分を払う)学生の痛み分けと考えてほしい」と小松学長。教員には自分たちの研究費の出所がどこなのか自覚するよう、学生には学費を払って大学で学ぶことの意味を、それぞれ考え直してほしいと訴えている。


投稿者 管理者 : 2005年03月29日 00:26

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