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2005年04月13日

関西の私大、少子化に備え―主要8校、設備投資18%増、今年度

日本経済新聞(2005/04/12)

 関西の主要八私立大学が少子化に備え、施設や機能の拡充を競っている。若年からの国際教育などを看板に小学校設立を目指すほか、社会人教育のための都心型キャンパスや産学連携施設といった大学の新しい機能を充実する。二〇〇五年度の設備投資(学校法人ベース)は合計で約四百七十四億円と、昨年度に比べ約一八%増える見通しだ。
小学校開設、「一貫」拡大
関西/同志社

 「小学校時代に関西大学への帰属意識を養ってもらうのは大切なこと」――今年二月、関西大学は〇九年度の小学校開設を発表した。従来、幼稚園と中・高校は経営していたが、小学校だけが抜けていた。昨年以降、小学校開設を明らかにした近畿の有力私大は同志社、立命館に続き三校目。背景には少子化による大学間の競争激化がある。
 大学入学年齢に当たる十八歳人口は減少を続け、〇七年には大学・短大の定員枠と志願者数が一致する「全入時代」が来る。有力私大は一学年に数千人いるのに対し、小学校は数十人程度で、「小学校開設による学生確保の直接効果は小さい」(同志社)。だが、小学校から大学まで一貫教育体制を取ることによるイメージアップの効果は、首都圏の有力大学を見ても明らかだ。
 立命館は今年度予算に三十億円を計上し〇六年四月に京都市北区に「国際性豊かな人材を育てる」小学校を開設、同志社も総工費二十五億円をかけ、同じ時期に同市左京区に開校する計画だ。
都心に校舎、社会人確保
立命/関学

 立命館は京都市中京区のJR二条駅前で大学本部と法科大学院などを兼ねる七階建て校舎の建設に着手した。「駅前の交通便利なキャンパスで、忙しい社会人の需要に応えたい」という狙いだ。総工費は百億円で、うち六十億円を今年度計上した。
 少子化で学部の学生確保が難しくなる一方で、社会人への専門性の高い教育や高齢者の生涯学習での大学の役割が求められている。都心部での学校建設を規制していた工場等制限法が〇二年に廃止され、今後、都心に戻る大学が増えそうだ。
 関西学院大学も昨年度、交通の便利な阪急梅田駅近くのビル十四階の約千二百二十平方メートルを賃借し、大阪梅田キャンパス(大阪市北区)を設けた。一般も受講できる生涯学習の講座をそろえたほか、情報発信の機能も持たせた。
産学連携、常駐の拠点
近畿/甲南

 産学連携のための施設を充実させる動きも、今年度の特徴だ。近畿大は新設する理工学部と薬学部の共用実験棟に、企業の研究者らが常駐できる「レンタルラボ」を設ける。甲南大学(甲南学園)はナノテクノロジー(超微細技術)の研究を本格化させるため、〇四―〇五年度で先端生命工学研究所を建設。産業界の関心が高いナノテク分野の研究をテコに、産学連携を強化する。
 同志社も中小企業基盤整備機構が京田辺校地内に設ける企業育成(インキュベーション)施設のために敷地を整備し、提供する。同校地には同志社の工学部が立地し、新しい施設で大学発ベンチャーを育てる。
 国公立大学の独立行政法人化や大学全体に対する第三者評価制度の導入に伴い、大学は教育や研究という従来の役割に加え、産学連携や地域貢献といった機能を問われている。近畿の有力私大の今年度予算は、こうした大学改革に対応する動きを反映している。

【表】関西の主要8私大の2005年度の設備投資計画      
法人名   投資額   前年度比増減率        主な内容
関西学院  6,281  125.6  グラウンド新設、宗教教育施設の新築など
関西大学  5,960  3.3  総合学生会館の新設、工学部の実験棟の建て替えなど
京都産業大学  1,500  50.0  土地購入、グラウンド新設など
近畿大学  11,094  13.1  理工・薬学部の実験棟や高度先端総合医療センターの新設など
甲南学園  1,494  ▲40.3  会計高等教育研究所の改修、耐震工事など
同志社  8,749  ▲7.4  政策学部・社会学部の教室の建て替え、工学部の研究棟の新設など
立命館  10,210  105.8  学園本部・法科大学院の移転、小学校創設など
龍谷大学  2,124  ▲43.9  図書館の改修、広場の建設など
(注)学校法人ベース。単位は投資額百万円、前年度比増減率%、▲は減少


投稿者 管理者 : 2005年04月13日 00:29

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