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2005年05月26日

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟、訴状の公開 「第3者のための契約」

平安女学院大学守山キャンパスの存続を守ろうの会
 ∟●裁判
  ∟●「訴状」(2004年10月26日)全文

訴    状

2004年10月26日

大津地方裁判所 御中
原告代理人弁護士 吉 原   稔

当事者の表示     別紙当事者目録記載のとおり

請 求 の 趣 旨

1 原告は被告に対し、原告を含む在学生が卒業するまでの間、被告の設置するびわ湖守山キャンバスにおいて就学する権利(教育をうける権利)があることを確 認する。

2 被告は、びわ湖守山キャンパスにおいて、原告を含む在学生が卒業するまでの
 間就学させなければならない。

3 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

以下,訴状のうち,平安女学院大学が自治体から受けた補助金の実態と「第3者のための契約」との関連について触れた部分のみ抜粋。

6(1)のみならず、被告は守山市及び滋賀県との間に、原告ら在学生を第3者と
 する「第3者のための契約」を締結してびわ湖守山キャンパスを長期間存続
 させ、ここで授業を行うことを約束し、その債務を負担した。守山市と滋賀
 県は、被告がびわ湖守山キャンバスを設置するにあたり、被告に、守山市は
 25億8600万円、滋賀県は8億円の補助金を交付した。平成9年12月
 1日守山市と被告は、被告のびわ湖守山キャンパスを設置開設するにあたり、
 基本協定書を作成し、守山市三宅町字隠田他に設置する4年生女子大学とし
 て、現代文化学部、現代福祉学科、国際コミュニケーション学科を設置し、
 入学定員は現代福祉学科・1年次130名、3年次編入20名、国際コミュ
 ニケーション学科・1年次150名、3年次編入20名とすると約束した。
  又、平成9年12月19日には守山市と守山市土地開発公社、被告間に高
 等教育機関設置用地取得事業に関する協定書を結んで用地取得の手続及びそ
 の経費を守山市が負担することを取り決めた。守山市と被告間に締結された
 平成10年1月23日付平安女学院大学創設費補助金交付に関する協定書に
 より、39,000平方メートルの用地取得費及び造成費として守山市が1
 8億3600万円を支出すること、又、大学設置に必要な校舎、施設及び設
 備費等の創設費として7億5000万円を支出することを約し、合計25億
 8600万円を交付した(但し、市の資料には支出累計28億8347万5
 000円であるとの記載もある)。
  守山市の支出した補助金は大学の建設事業費48億7300万円(60億
 5300万円との説もある。)の53%である。これは守山市の年間一般会
 計予算の27%にあたる高額なものである。

(2)更に滋賀県は、平成10年度と平成11年度に合計8億円の補助金を交付
 したので、両方あわせると.48億7300万円の設置費用の約70%が公金
 であることになる。

(3)又、文部科学省は私立大学等経常費補助金として平成14年度分として3
 884万円、平成15年度分として2148万円の合計6032万円を被告
 に交付している。
(4)滋賀県は平成10年9月25日付被告の施設等整備補助金交付の請求を受
 けて、平成10年9月30日付で補助金(平成11年、12年の2カ年で8
 億円)の交付決定を被告に通知したが、その交付決定通知書の3(4)「補
 助金等により取得した、又は効用を増加した財産については、処分制限期間
 〔補助事業者等が補助金等により取得した財産のうち、処分を制限する財産
 及び補助金等により取得した財産の処分期間(昭和60年3月5日文部省告
 示第28号に規定する処分制限期間、鉄筋コンクリート造の学校の場合60
 年)〕を経過するまで、この補助金の交付目的に反して使用、譲渡、貸付又
 は担保に供しようとするときは知事の承認を得なければならない」と規定す
 るところから、処分制限期間60年間は、被告が補助金交付の目的に反した
 使用処分をしないことを約定しているものである。守山市が補助金の交付決
 定をしたときの付款条件及び補助金交付要綱にも同様の処分制限期間の規定
 がある。
(5)守山市と被告との平成12年3月30日付念書は、平成16年4月2日か
 ら平成20年3月3,1日まで4年間で8億円を被告が守山市に返還するとさ
 れている。これは校舎の建設費が不足したので、守山市が当初の補助金の交
 付予定額を約8億円増額したので、その分を4年かかって守山市に返すとい
 うものである。このことは存続期間は平成20年3月未よりも長期であるこ
 とが前提となっている

(6)補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する法律は、地方公共団体の補
 助金に直接適用されるものではないが(同法2条1項)、同法11条第1項
 は、補助金をうけた補助事業者の事業遂行義務を明示的に規定していたとこ
 ろ(小滝敏之著、補助金適正化法解説p157)、被告のこの事業遂行義務
 は、前述のように守山市平安女学院大学創設費補助金要綱及び守山市平安女
 学院大学創設費補助金交付決定通知書の交付条件、及び滋賀県平安女学院大
 学施設等整備費補助金交付要綱及び交付決定の交付条件によっても規定され
 ている。

(7)上記の守山市と被告との合意、及び、滋賀県との補助金交付における合意
 は、在学生を受益者(第3者:学生)とし守山市及び滋賀県(要約者)と被
 告(諾約者)の間に交わされた受益者(第3者:学生)のための契約であり、
 この契約により、被告は在学生を第3者として、守山市及び滋賀県に対し、
 相当の長期間(少なくとも60年間)守山市に本件学舎を存続をする債務を
 負担したものであるところ、民法537条により第3者たる原告は在学契約
 を締結し、入学し授業を受けることにより契約の利益を受益する意思表示を
 したものであるから、被告に対し、この場所で授業を受けることの給付を請
 求する権利を有するものである
。なお、第3者のための契約の「第3者」は、
 契約当時存在していなくともよいし、特定していなくても特定可能であれば
 よい(潮見佳男、債権総論p425)。
 よって、被告はこの契約によっても本学舎において教育を提供する義務が
 ある。そして、民法536条により、第3者の権利が発生した後は当事者た
 る被告はこれを変更し、又は消滅させることができないので、本件学舎にお
 いて就学させることをやめることはできない。


投稿者 管理者 : 2005年05月26日 00:48

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