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2005年06月06日

全大教、「学校教育法の一部改正案」に対する見解

全大教
 ∟●「学校教育法の一部改正案」に対する見解(2005年6月3日)

「学校教育法の一部改正案」に対する見解

2005年6月3日
全国大学高専教職員組合中央執行委員会

 学校教育法を一部改正する法案が今通常国会に提出され今後審議に入ります。この内容については、すでに全大教として「中央教育審議会『大学の教員組織の在り方について』(審議経過の中間的な整理)に関する意見」(2005年1月9日)を提出したところです。
 本格的審議が始まるにあたり、改めてこの法案に対する見解を明らかにするものです。

1,現行制度の「準学士と称することができる」に変えて「短期大学は、短期大学を卒業した者に対し短期大学士の学位を授与する」としたことは、学位についての国際的な動向を反映し、大学の責務も明確にしたものであり、異存はなく、その規定はできるだけ早く実施されるべきものです。

2,「大学の教員組織の整備」、「高等専門学校の教員組織の整備」に関っては以下のような問題点に特段の配慮が払われることを期待します。
(1)「教授の職務を助ける」ことを主たる職務とする現在の助教授を廃止し、「学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する」ことを主たる職務とする「准教授」として学校教育法に盛り込むことに異議はありません。ただし、それにふさわしい処遇の改善が求められます。
(2)「教授及び助教授の職務を助ける」現行の「助手」を廃止し、「知識及び能力を有する者」を「助教」として「准教授」と同じ職務内容にすることは、職名は別として歓迎すべきことです。
 「准教授」の場合も含めて「教授(及び助教授)の職務を助ける」ということがともすれば、講座制とも相俟って教授に対する個人的な従属関係をも強制しかねなかったことを改めて、研究教育分野が多様化している現状にふさわしく教員全体が教員組織に所属して、その職務を遂行する形になることが期待されるものです。この点からしても「助教」という名称はふさわしいものではなく、再検討されるべきものです。
 現在の助手の教員組織における位置付けは曖昧であり、どのような種類の職務をどの程度担っているかは、各分野、各大学、各助手によって異なっており、制度上の制約とあいまって、様々な問題が出ていることは、私たちも長年指摘してきたところです。とくに大学教員と明確に位置付けられていないため授業科目の担当者になれない等の問題がこれを機に独立した教育研究者として制度的に確立される必要があります。
(3)一方、現行の助手のうち上記職務以外の者を、「所属組織の教育研究の円滑な実施に必要な業務を行う」「助手」に区分けするとしています。
 区分けする場合に本人の意向を尊重することを当然の前提として、たとえば国立大学法人においては、教授会・研究教育評議会の審議を尊重して教員の採用・昇任等にかかわる手続きをとり、公正性・透明性が保証されるものでなければなりません。その場合、本人等の異議申立権を保障することが不可欠です。
 現在の輻輳した「助手」職にあるものについて、何を基準に、どのような方法で区分するのか、新「助手」として固定化するのではなく、一定の審査の上で、教育研究者への道を保障することや希望や職務をふまえ、技術職集団への転換等多くの検討すべき課題があります。新「助手」の身分や賃金等の悪化があってはなりません。

3,本法律案の附則において、教員組織の整備に関わる事項については施行期日を「平成19年4月1日」として、今国会で成立しても、施行までに1年半の猶予を置いていることは重要なことです。大学の自治・自律性を十分発揮し、教員の労働条件改善・地位確立と社会的責務を自覚した教育研究の充実という観点から教員組織のあり方について深い検討と合意形成がはかられなければなりません。実施に当たり、それぞれの大学の英知を集めた創意工夫が必要であり、当事者の意思が尊重されねばなりません。また、その検討において、教職員組合の果たすべき役割は大きなものがあります。


投稿者 管理者 : 2005年06月06日 00:01

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