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2004年05月06日

ミルトン・メイヤー『彼らは自由だと思っていた−元ナチ党員十人の思想と行動−』(未来社)の一節

憲法改悪に向けた日々の1つ1つの出来事を知ること

 今日の急速な9条改憲論の台頭とそれに向けた実践的な動向を見聞きするにつけ,あらためて政治学者丸山眞男の名著『現代政治の思想と行動』(未来社)を連休中に読んだ。その中で第三部第八章「現代における人間と政治」は,チャップリンの映画「独裁者」の2つのシーンにあるセリフ「What time is it ?」の興味深い説明から論を始めている。このセリフ(日本語で「今何時?」)の意味とチャップリン映画の神髄については,丸山氏の論説を借り受け,これまで学生に対して幾度となく話してきた。
 しかし,今後,同著同章においては別の個所を学生に耳にタコができるまで繰り返し話そうと思う。それは丸山氏がナチ支配下における過酷な弾圧と暴行,市民相互の監視と収容所における残虐行為が繰り返された12年間の支配の下で,多くの一般ドイツ市民はそれをどのように受けとめてきたのか,つまり一般国民が何故下からのファシズムを容認したのかを日常生活の意識の面から取り上げ,それを考える上で数多く引用するミルトン・メイヤー『彼らは自由だと思っていた−元ナチ党員十人の思想と行動−』(未来社)の文章である。1つ引用をあげれは,以下のものである。

 「何十人,何百人,何千人という人が自分と一緒に立ち上がるというようなショッキングな事件は決して来ない。まさにそこが難点なのです。もし,ナチ全体の体制の最後の最悪の行為が,一番はじめの,一番小さな行為のすぐあとに続いたとしたならば,−−そうだ,そのときこそ何百万という人が我慢のならぬほどショックを受けたにちがいない。33年に,ユダヤ人以外の店先に『ドイツの商店』という掲示がはられた直後に,43年のユダヤ人にたいするガス殺人が続いたとしたならば…。しかしもちろん,事態はこんな風な起こり方はしないのです。」
 「気がついてみると,自分の住んでいる世界は,かつて自分が生まれた世界とは似ても似つかぬものとなっている。いろいろな形はそっくりそのままあるんです。家々も,店も,仕事も,食事の時間も,訪問客も,音楽会も,映画も,休日も…。けれども,精神はすっかり変わっている。にもかかわらず,精神をかたちと同視する誤りを生涯ずっと続けているから,それは気付かない。いまや自分の住んでいるのは憎悪と恐怖の世界だ。しかも憎悪と恐怖する国民は,自分では憎悪し恐怖していることさえ知らないのです。誰も彼も変わって行く場合には誰も変わっていないのです。」

 われわれの今の時代は,どの地点まで進んでいるのだろうか。
 ともあれ,1つ1つの行為,1つ1つの事件で抵抗する意思と行動を持たねばと思う。その意味で,これから可能な限り毎日,9条改憲の動向について1つ1つの出来事を新聞報道から記録しておこう。(ホームページ管理人)

沖縄基地縮小は「米軍再編の中で」 額賀氏に米国防長官(朝日新聞)5/05
天皇は国家元首、女性天皇を容認 鳩山氏が改憲試案(朝日新聞) 5/04
対テロの研究開発に重点 政府の総合科学技術会議 - 共同通信5/04
<自民憲法調査会>保岡会長「改憲常任委、06年に設置」 - 毎日新聞5/03

投稿者 管理者 : 2004年05月06日 00:02

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