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2004年05月10日

秋田大の就業規則、政治活動制限で波紋

朝日新聞(5/03)より

 4月に独立行政法人としてスタートした秋田大(三浦亮学長)の就業規則を巡り、教職員の間で波紋が広がっている。構内での政治的行為を禁止する内容の一文が盛り込まれたためだ。大学側は「みなし公務員である以上、一定の制約は当然」と禁止に踏み切ったが、教職員側は「憲法で認められた『表現の自由』や『学問の自由』を脅かしかねない」と危機感を強めている。3日は憲法記念日。
 就業規則は、労働基準法に基づき、独立行政法人化する国立大学に作成が義務づけられている。
 問題となった条項は、就業規則の順守事項。昨年7月に大学が教職員に示した素案では、職員が行ってはならない行為として、(1)構内で、政治的活動を行うこと(2)学長の許可なく、構内で放送・宣伝・集会又は文書・図画の配布・回覧掲示その他これに類する行為を行うこと、とする項目が盛り込まれていた。
 大学側はこの素案について、教育文化学部などがある手形キャンパス、医学部がある本道キャンパスごとに説明。さらに教職員組合にも説明する場を持った。
 すると、この二つの項目を巡り複数の教職員から反論の声が上がった。教育文化学部助教授で秋田大学教職員組合の佐藤修司委員長は「政治と全く関係のない学問や表現など考えられない。これでは署名活動や組合の広報すら学長の許可を得なければ配れなくなると思った」と振り返る。
 職員側の反発に対し、交渉の窓口に立った細川勉人事課長は「自由な表現を封じる意図などなかった。すでにスタートした別の独立行政法人の就業規則などを参考にした、あくまでたたき台だった」と説明する。
 大学側は7月以降、5回以上にわたって職員への説明会や組合との交渉の機会を設定。二つの条項のうち、学長の許可を求めた(2)の削除には応じた。だが、(1)については「政治的活動」が「政治的行為」に変わるなどしたものの、「独立行政法人は100%自由ではなく、何が不自由かを示す必要がある」と要求を退けた。
 独立行政法人化した国立大学の教職員は4月以降、いわゆる「みなし公務員」になり、スト権などの労働三権が民間と同様に認められる半面、公務員としての身分保障がなくなる。解雇の可能性が高まるとされる一方、守秘義務など公務員並みの制約を受ける。
 教育文化学部のある職員は「一定の制約は理解できるが、『政治』がどこまで指すのか。あいまいで、大学側の都合で恣意(しい)的に使われる可能性がある」と警戒感を隠さない。
 修正された就業規則は2月の評議会で承認され4月から発効した。細川課長は「『政治的行為』は選挙運動を念頭に置いたもの。特定の候補者や政党を直接的に支持するような運動でない限り、規制の対象にならない。これまで大学で行われてきたような表現活動を規制することは絶対にない」と説明する。
 一方、佐藤委員長は「今はよくても将来にわたって拡大解釈されないとは限らない。我々としてはあの条項を発動させないようチェックするしかない。あの条項のせいで職員側が委縮するのが心配」と話している。

■就業規則で禁止された行為(順守事項の一部)
 (1)素案:構内で、政治的活動を行うこと→成案:大学の敷地及び施設内で、選挙運動その他の政治的行為を行うこと
 (2)素案:学長の許可なく、構内で放送・宣伝・集会又は文書・図画の配布・回覧掲示その他これに類する行為を行うこと→成案:削除

投稿者 管理者 : 2004年05月10日 00:01

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