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2004年05月19日

鹿児島国際大学解雇事件、5月17日に本訴裁判第10回口頭弁論,仮処分再申立裁判第5回審尋が開催!

 5月17日、鹿児島地裁において,鹿児島国際大学解雇事件「本訴裁判第10回口頭弁論」と原告3人の賃金仮払い延長を求める「仮処分再申立裁判第5回審尋」が開催されました。傍聴者は原告側17人程度、被告学園側17人程度、新聞記者など数名でした。以下,傍聴者からのリポートを踏まえつつ,経過をご報告致します。

[本訴裁判第10回口頭弁論]の経過報告(傍聴者からのリポートより)

 第10回口頭弁論は10時から12時過ぎまで開かれ、被告学園側証人の衣川恵(鹿児島国際大学経済学部教授)への尋問の続き(70分)と、被告代表菱山泉理事長への尋問(約50分)が行われました。裁判長は今回から高野裕裁判官に交代しました。

 衣川証人は処分者側が申請した証人なので、処分理由を正当化するための証言を続けましたが、前言を撤回したり、「記憶がありません」など証言を行いました。尋問の中で裁判官の一人からも証人に対して質問がありました。
 最初に被告側弁護士が衣川証人に対する主尋問を続行したので、その分だけ菱山理事長への尋問時間が足りなくなり、今回で完結すると思われていた菱山氏への尋問が半ばで中断し、次回まで続くことになりました。

 菱山氏は、裁判所に提出された高名な専門家たちの「意見書」も、三教授らの主張や弁明も無視して、以前からの一方的な主張を繰り返しました。また、自己の判断を正当化してくれた教授らが、いかに立派な経歴を有する学者であるかを力説しました。さらに,菱山氏は「科目適合性」の争点について次のような証言,−すなわち自ら外部評価委員として依頼したA教授(元京都大学副学長,2005年4月某県立大学学長予定)の実名を出し,彼は批判経営学の論点を踏まえた上で,採用候補者の業績は科目適合性に欠けると判断したと証言−を行いました。 

 次回は、6月7日(月)午後1時半から4時半で、菱山泉被告への主尋問の続きと反対尋問、原告田尻教授への尋問が行われる予定です。今回の被告側衣川証人への尋問が引き延ばされた結果、口頭弁論が一回多くなるかもしれません。

学園当局側、先に下された仮処分異議申立裁判の決定(3月31日地裁決定)を不服として「福岡高裁宮崎支部」に抗告

「仮処分再申立裁判第5回審尋」の経過報告

 午後1時からは、賃金仮払い延長申立裁判の第5回審尋が平田豊裁判官の下で行われました。
 この中で学園側の金井塚康弘弁護士は、「仮処分異議申立却下の決定に対して福岡高裁宮崎支部に抗告したので、裁判所の対応を見てから決定をしてほしい」という主張をしたようです。新たな仮処分決定を何としても引き延ばそうというのが、この間の債務者学園側の対応です。裁判官は、5月末までに双方の追加書面を提出してもらい、それを踏まえて決定を出したいとのこと。

[補足説明]
上記A教授(元京都大学副学長,2005年4月某県立大学学長予定)は,鹿児島国際大学解雇事件において,2000年2月津曲学園 (同大学設置法人)理事会で決定・設置された「大学問題調査委員会」の外部評価委員2名うちの1人として,2000年4月5日の第1回委員会から同年11月25日の第5回委員会まで,実質審議に加わった。この「大学問題調査委員会」(委員長は菱山泉前学長・現理事長)は,当該解雇事件の「懲戒事由」となった採用人事のプロセスおよび採用候補者の科目適合性について「調査」・議論した。
 同委員会において,A教授は採用候補者は「『人事管理論および労使関係論』の専門家ではない」等と記載した報告書を提出した。仮処分裁判では,被告学園側は同教授の報告書を裁判証拠資料(乙20号証)として提出し,同教授自らも陳述書(乙84号証)を提出している。さらに現在係争中の本訴裁判でも,被告学園側は同教授の報告書を証拠資料として提出している(乙32号証)。
 因みに,A教授は,上記裁判書面(乙32号証)において,採用候補者の業績中12本を検討して,うち3本は「労使関係論」の業績に該当すると明言していた。

投稿者 管理者 : 2004年05月19日 00:35

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