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2004年05月24日

法人化した茨城大、「地域連携」を重視 学外委員に地元経営者

東京読売新聞(5/22)

 ◆原子力関連分野で強み
 茨城大(宮田武雄学長)が四月、国立大学法人としてあらたなスタートを切った。大学運営や予算執行で自由度が広がる一方、少子化による学生数減少を背景に、他大学との競争は激しさを増す。地元の研究施設や自治体、企業との結びつきを強める、「地域連携重視」を旗印に、生き残りをかけた戦いが始まった。(小林直貴)
 水戸市文京の茨城大の水戸キャンパスで四月二十三日、大学院理工学研究科に今年度新設された「応用粒子線科学専攻」の入学式が行われた。「我が国唯一の設備を利用する、オンリーワンの教育研究部門」と宮田学長は胸を張る。同専攻は、近隣の原子力関連施設・研究機関との連携が最大のセールスポイントだ。東海村の日本原子力研究所(原研)で建設中の大強度陽子加速器施設を利用するなど、総合原子科学の最先端研究や技術・研究者の育成を目指している。
    ◇
 少子化の影響で、大学を取り巻く環境は厳しい。法人化によって大学間の格差は一層拡大すると予想され、優秀な学生をひきつける努力が不可欠だ。とりわけ、戦後の国立学校設置法により発足した新制国立大学では苦戦が続き、茨城大も例外ではない。
 同大は二〇〇二年度、将来の法人化を見据えて、近隣の宇都宮大、福島大と単位互換制度を導入した。同じ地方国立大の両大学と連携、多様な学習機会を提供して独自の魅力を高める狙いがあった。
 ところが、過去二年間の利用者はほぼ皆無。長期休暇の集中講義や通信衛星を使った遠隔授業を売り物にしたが、学生の関心を呼ぶことはできず、失敗に終わった。
 全国八十九大学・短大が個別にまとめた今後六年間の中期目標・計画案を見ても、茨城大の案は、数値や期限が十分に盛り込まれたとは言い難く、総花的、抽象的な印象は否めない。
    ◇
 同大が活路を見いだそうとしているのが、県内での地域連携。法人化に伴って設置された経営協議会の学外委員には、原研の研究員や地元企業の経営者などを選んだ。田切美智雄副学長は、「産官学連携を一層進めたい」と狙いを語る。二〇〇二年度から、文部科学省の「地域貢献特別支援事業」に選ばれ、地元高校との連携や霞ヶ浦の水質保全など十分野で事業を進めるなど、地味ながら実績を積み重ねてきた。
 茨城大が、地元に求められるとともに、学生にも魅力的な大学として存続できるのか。青写真を現実にするには、具体的な成果が厳しく問われそうだ。


投稿者 管理者 : 2004年05月24日 00:05

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