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2004年05月28日

改正私立学校法,法案審議過程における私大教連の役割,参議院審議における役立つ政府答弁、および付帯決議について

日本私大教連News Letter No.48,2004年5月11日発行より

4月28日に私立学校法改正案が成立

 4月16日に衆議院を通過した「私立学校法の一部を改正する法律案」は、4月23日に参議院本会議で趣旨説明と質疑が行なわれ、審議入りしました。4月27日参議院文教科学委員会において、参考人陳述と質疑、法案審議が行われ、同日、全会一一致で可決されました。可決後、7項目にわたる附帯決議が採択されました。法案は翌28日の参議院本会議において成立しました(2005年4月1日施行)。
 日本私大教連は、法案が衆議院で審議入りする以前の3月末から、政党・議員に対する積極的な働きかけを展開し、衆参を通じて国会審議をリードする大きな役割を果たしました。

 27日の文教科学委員会では、午前中に参考人陳述と質疑が行なわれ、参考人招致を受けていた日本私大教連から今井証三中央執行委員長が出席しました。日本私大教連の役員が参考人となったのは初めてのことで、衆議院段階から政党・議員に対して要請を行ってきたことによって実現したものです。
 陳述において今井委員長は、私立学校法の原点と現在にふれ、今回の改正について「いくつかの前進がある一方で私学の現状からみるとまだまだ不十分な点、新たな危倶を抱かざるを得ない点がある」との基本的な見解を示した上で、「学校法人の業務」と教育研究活動・「校務」との峻別、監事機能の充実、財務資料等の公開など主要な事項について問題点を指摘するとともに、改正によっても多くの課題が残されており、私立学校法のさらなる検討が必要であることを述べました。
 なお今井委員長のほかに、田村哲夫氏(日本私立中学高等学校連合会会長)、孫福弘氏(横浜市大学改革推進本部最高経営責任者)が参考人として陳述を行いました。

日本私大教連の見解も反映した法案審議

 午後から自民、民主、公明、共産、無所属の各党委員によって政府に対する質疑が行われました。質疑では、監事機能の充実強化に関連して、「学校法人の業務」の具体的な範囲、内部監査組織の整備などの問題、財務情報公開に関する「利害関係人」の範囲、閲覧を拒否できる「正当な理由」の明確化などの問題、また、私立学校の管理運営の上で重要な問題となっている理事会と教学組織との関係のあり方、私立学校の公共性・透明性を高めるという法改正の目的に照らして不十分な部分の是正、新たな危倶を生じさせる部分を追及する質疑が行われました。衆議院と同様に、日本私大教連の見解が生かされていました。またほとんどの委員が、私立学校が果たしている役割の大きさと私学助成充実の重要性を指摘し、積極的な私学振興策をとるよう政府に求めました。
 質疑終了後、法案は全会一致で原案通り可決されました。また全会派の共同提案で7項削こわたる附帯決議案が提出され、全会一致をもって採択されました。


参議院審議における役立つ政府答弁(要旨)

■財務書類等の公開について
○財務書類等の閲覧対象である「利害関係人」は教職員も対象となる。
○閲覧を拒否できる「正当な理由」は、具体的には恐喝等の悪用・乱用、個人のプライバシーの侵害などを想定しているが、窓意的に拡大しないように施行通知で趣旨徹底を図る。
■監査対象である「学校法人の業務」について
○個々の大学教員の教育研究の内容にまで理事会もしくは監事が深く立ち入ることは適当ではない。
■監事機能の強化に関わって
○教職員を含めて内部の人が自主自律の立場から問題点を監督する内部監査も非常に重要。監事の常勤化、監査を支援するための監査室の設置等、施行通知や監事の研修会などで督励していく。
■経営と教学の関係について
○理事会が学長、教授会、教学サイドの意思または決定に配慮することは当然。両者が適切な私学経営に求められる相互の役割分担を理解し、協力しながら学校経営の責任ある運営に当たるべき。

 *これから改正法の具体的な適用の段階に入り、国会から各大学の現場へと舞台が移っていきます。
文科省は答弁の中で、ほとんどの重要課題について施行通知や説明会で趣旨徹底を図るとしています。
日本私大教連は引き続き、私大の公共性・透明性を真に高めるための取り組みを進めていく方針です。

私立学校法の一部を改正する法律案に対する付帯決議
2004年4月27日 参議院文教科学委員会

一、学校法人の管理運営制度の改善に当たっては、学校法人の自主的.自律的な取組が一層求められることにかんがみ、学校法人関係者に対し、本法の趣旨・制度の内容等について十分周知し、その理解と自主的な努力を促していくとともに、改善の状況についての検証を行うこと。

ニ、我が国の学校教育において、私学が大きな割合を占め建学の精神に基づく特色ある教育活動を通して重要な役割を果たしていることにかんがみ、私学振興策の促進に努めるとともに、私学助成の在り方については、私学の自主・自律の確保、学費負担の軽減、適正な管理運営等の観点から不断の検討・見直しに努めること。

三、理事長及び理事の権限の明確化に当たっては、教学面における自律性の確保を図るよう配慮するなど、評議員会、教授会等との信頼関係の確立に努めること。

四、監事による監査の実効性を高めるため、適切な監事の選任、常勤監事の導入等監査体制の充実に努めるとともに、監事の意識や資質の向上等のための施策の充実にも配慮すること。

五、学校法人に求められる高い公共性にかんがみ、財務書類、事業報告書等については、外部からも分かりやすい内容となるよう留意すること。
 また、設置する学校の種類や規模等、学校法人の多様な実態を踏まえ、各学校法人が自主的な判断により、より分かりやすい公開内容や方法を工夫し、積極的な財務情報の公開に努めること。

六、私立学校審議会の委員の選任に当たっては、当該都道府県の教育全般にわたる充実と発展を図ることができるよう配慮すること。

七、今回の法改正と外部評価制度とがあいまって、私学の公共性がより担保されることとなるため、大学等については、公平・適切な認証評価が行われるよう努めるとともに、初等中等教育については、自己点検.評価結果の公表を更に進めること。

右決議する。


投稿者 管理者 : 2004年05月28日 00:04

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