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2004年06月10日

大学院重点化は不明・大学院でも「大括り・弾力化」?一教学会議大学院部会

都立大・短大教職員組合、大学院重点化は不明・大学院でも「大括り・弾力化」?―教学会議大学院部会 (手から手へ第2289号)

 6月8日、都立大評議会で、前日に行われた第1回大学院検討部会の内容と結果が前田法学部長・鈴木工学研究科長(ともに同部会委員)より報告されました。そこでは2006年度に再編発足する新大学院の骨格が以下のように示されましたが、そこには大学院部局化が示されていないことや、専攻構成そのものが不明確な部分など、重大な問題点が多々含まれています。なお同部会の結果については各大学に報告されたあと、14日に予定されている教学会議に提案される予定とのことです。

1.大学院構成の考え方など

 資料1に示されているように、r設計の考え方」ではr大都市における人間仕会の理想像の追求」「アジア共通の「大都市性」への着目」「アジアをはじめとする世界に発信・貢献」など「首都大学東京の使命」が示されたあと、「使命に対応した研究科の設置」として都市環境科学研究科、システムデザイン研究科、人間健康科学研究科の3つ、「学問体系に沿った研究科の設置」として人間・仕会・文化科学研究科(仮称)、法律・政治・経営研究科、理工学研究科の3つをそれぞれ設置するとしています。なお、人間一と法律一の部分は、以前は人文・仕会科学研究科として一つにされていたものが分割されたものです。
 またそれぞれの研究科に対応して5つのワーキンググループを設置する(人間一と法律一は合わせて一つ)としていますが、都市環境科学研究科建築都市専攻からはそこに含まれる現都立大都市研メンバーの一部が第四ワーキンググループに、人間・仕会・文化科学研究科仕会行動学専攻のメンバーの一部が第三ワーキンググループにそれぞれ加わることが求められています。

2.教員設定数・専攻構成について

 資料2には教員設定数等が示されています。人間・仕会・文化科学研究科については専任教員数は85とされ、学部(都市教養一人文・仕会系)教員設定数64に基礎教育センター・オープンユニバーシティなどから21を加えることとなっています。法律・政治・経営研究科の経済・経営部分は経済学コースにこれまで配置される予定とされていた13が全て削られ、それに代わって経営学コース(学部)・経営学専攻を10増やすとしています。
 また「教員設定数」については、新規採用の管理は第一期中期計画期間中は「大学院重点化等の有無にかかわらず、学部各コースの教員設定数に基づき行う」とされています。したがって人間・仕会・文化科学研究科など大学院で積み増しされた部分の専任教員数が実際に第一期中期計画中確保されるのかどうかは不明です。
理工学研究科については、専攻名が()付きとなって、「専攻構成再検証後調整」となっていますが、部会の席上、委員から研究科全体を1専攻にするなど弾力的運用のできる枠組みを求める意見が出されたといいます。
 身体健康科学については、人間健康科学研究科に組み込むこと(キャンパス配置は南大沢)が示されたほか、委員からは独立した専攻とせず健康科学専攻のなかの1コースにすべきとの強い意見が出されたといいます。
 またシステムデザイン研究科の「新分野」については、60という同研究科(システムデザイン学部)設定数の中で調整することが示されています。

3.大学院重点化、人文系各専攻・身体健康科学教員数など一評議会で疑問・批判続出

 このような報告に対して、評議会では質問・疑問・批判などが続出しました。まず大学院重点化については、都立大委員からは、大学管理本部は「重点化のメリット・意味が未だに不明」としてはっきりとした方向性が示されなかったと説明がありました。人文系各専攻については、専攻ごと教員数を明記するよう強く求めるべきとの意見が出されました。また身体健康科学についても専攻ではなくコースとされた場合、安定した教員数が確保されないのではないかとの疑問が出されました。
 人間・仕会・文化科学研究科の専任教員数85が示されたことは、都立大学人文学部・人文科学研究科のこれまでの教育・研究の蓄積を継承するという点で、一定の前進ではあります。しかしそれとても安定的な教員数としての保障が定かでないことに加え、全体としては、これまで都立大学などが強く要求してきた「教育と研究の一体化した大学」という新大学のあり方に応える上で、重大な問題が多々含まれています。新大学の教学体制の骨格となるべきこの問題について、各大学教授会・評議会が真剣な対応をすること、また大学管理本部は教授会・評議会等からの要求・意見に真摯に応えることを、強く求めます。

投稿者 管理者 : 2004年06月10日 00:12

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