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2004年06月14日

有事関連7法案 本日14日参院で可決・成立の見通し!

JCJふらっしゅ(2004/06/13)421号より転載

政府与党世論を恐れているのか、国民をばかにしているのか

 テロや北朝鮮の脅威を名目に、自衛隊、地方自治体、企業、国民を動員して米軍主導の戦争行為を支援するための法体系が「有事関連法案」である。あす14日午後、参院イラク復興支援・有事法制特別委員会採決され、夕方には参院本会議に緊急上程されることになった。

 ご承知のとおり、日本は民主主義国であり、国会議員を選出しているのはわれわれだ。だから、これらの法案がいかに憲法違反であろうとも、手続き上成立すれば、国民が望んだことと見なされ、行政に執行権限を発生させる。もしに戦争協力を拒否すれば、そのときには、「あんたがたが決めたんでしょ」といわれることになる。日本はあいも変わらず、世論に基く政治体制ではない、といわざるをえない。

 その世論はきちんと形成されてきたか。重要な議題として国民に提起されたか。仮想敵、仮想敵国の恐怖や敵愾心を煽るような情報が優先され、冷静な議論や判断を促す環境づくりを阻害するようなことはなかったか。武力によって平和は実現できないのに、あたかもそれが正しい選択のようにいったり、時代の流れとして当然であるかのような論調が垂れ流されたりしなかったか。

 ブッシュ米政権の「国際法・国連憲章はもう古い」と国連を無視し、先制攻撃を正当化して単独行動主義に突っ走った時代に、追随して持ち出されたのがこの議論である。だが米国の残虐非道な戦争体質があらためて露呈し、世界中から非難を浴びている。米国に従ったブレア英政権は国民の支持を失っている。にもかかわらず、日本の小泉政権はそうした国際情勢の変化、人心の動きをつかめないまま、暴走の度合いを強めている。

 ここでもう一度確認しておきたい。
(1)このテーマについて、必要な情報が必要なときに得られただろうか(政府による正確な関連情報の開示、メディアによる法案内容の検証及び報道)、
(2)それらに基づく自由な討論と意見の発表が保証されただろうか(メディアは、重要な議題としての問題提起のほかに多様な視座・論点の提示・資料や解説の提供を十分行ったか、社会では地方自治体、産業、企業、教育現場、家庭などこの法案に関係する各単位で十分に議論されただろうか)、
(3)政府は反対意見に正対して十分耳を傾けただろうか。それらを考慮した適切な答弁を行っただろうか。民主主義国家の政治家としてふさわしい対応をしてきただろうか。法案のもつ違憲性や改憲の必要性とのかかわり、これを成立させることに負う国民の重大な責任を呼びかけただろうか(法案成立によって米軍の戦争に巻き込まれたり、人々がそれに駆り出されてひどい目にあっても、責任はもてないということを、きちんと明言しただろうか)。

 小泉首相はじめ、この法案の成立を切望している勢力は、年金法案をとおしてから出生率を明らかにするような姑息な「切り抜け」方ではなく、ここではっきりと展望を国民にわかりやすく、ごまかさずに明言して参院選に臨むべきであろう。そうすれば、おのずと憲法論議に発展する。憲法違反の実態づくりを優先させて、その後に憲法を改悪しようとするような卑怯な手を使わずに、最初から憲法を逸脱したビジョンであることを公言できないのはなぜか。本当の世論の生起を恐れているか、国民をばかにしているかのどちらかに違いない。

 日本が米国とともに戦争をできる国へと変貌を遂げ、国民も一致団結して命を賭して戦争に協力するように教育のありようも変え、言論表現の自由は規制して思うようにメディアを牛耳りたい。予算も米軍の支援と派兵のための財源を増税して確保したい。本気でそう考えている国会議員や候補者はだれなのか。同じ党派でも異なる考えをもって活動している人はだれなのか。

 メディアは各党、各候補者のたれながす広報宣伝の仲介役ではない。どこまでいまの日本政治の構造と政治家の実像に迫れるか、どこまで描き出して読者・視聴者の判断や行為に資することができるか、それが問われている。またこの危機を、メディア企業内部の民主化のエネルギーに変えるためにも、市民の側からのメディアへの要望・投稿・批判などアクセスを強め、かつ独自の情報発信と真の平和と民主主義を求める世論のうねりづくりに邁進すべきときを迎えているように思うが、いかがだろうか。

[関連ニュース]
有事7法案、14日に成立へ(読売新聞6/13)

投稿者 管理者 : 2004年06月14日 00:16

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