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2004年06月25日

早大商学部9月入試 “進取の精神”で受験料稼ぎ?

東京新聞(6/24)より

 早稲田大学が二十二日発表した商学部「九月入試」にはいくつかの「進取の精神」が込められている。春の受験に失敗した浪人生に半年余りで再受験の機会を与え、成績優秀な学生は繰り上げ卒業できる特典もある試みだ。これは受験生側のメリットだが、大学側にもうまい話がある−。 (蒲 敏哉)

 「毎年、数字の上では日本最大の志願者数を誇る大学、とりわけ単独学部としておそらく日本最大の志願者を集める当学部にとっては、早稲田大学建学の精神の一つである進取の精神をもって本格的な九月入試を導入し、社会の望ましい変化に積極的に貢献していく責務があると考えます」

 記者会見用資料には気負いのこもった文字が躍る。確かに本年度の商学部入試は、募集人員五百八十人に対し、応募者は一般、センター試験合わせ約一万七千人だ。来年度から導入する九月入試の定員は五十人を予定している。

 受験生の数全国一をうたうだけに、入学試験での収入も多く、二〇〇三年度の資金収支計算書では早大全体で約四十六億円の収入を計上している。これに九月入試が加わった場合、どれほど試験料収入が膨らむのか。全国の浪人生は現在十三万人といわれる。九月入試はほとんど他大学と競合しないため、仮に一割が受けたとして、これに早大の試験料三万五千円を掛けると四億五千万円余りの収入になる。受験界の見立てはどうか。

 早稲田ゼミナールの入試担当者は「私大の志望校の頂点にある大学が九月入試するインパクトは大きい。もともと早稲田は『入れるならどこでもいい』とする併願者が多く、この機会を逃す人はいないでしょう」と分析する。しかし「定員が五十人というのは、学力の低い記念受験組でも二の足を踏む数字。結局、受験するのは千人前後では」。

 代々木ゼミナールの担当者は「浪人生は一年かけてステップアップを目指す。わずか半年で結論を出すことに実力がある生徒ほど抵抗感があるのでは。東洋大学が約十年前から九月入試を導入しているが、入学時期のずれなどに問題があって志願者は尻すぼみ。早稲田なら知名度は高いが、どうなるかはふたを開けてみるまで分からない。受験料収入はあてにできるほど入らないでしょう」。

 早大は春の受験の不合格者を含め、受験しなかった浪人生にも機会を提供することで「全国から優秀な人材をリクルートする」こともうたっている。

■不合格から半年 チャンス大きい

 前述の早ゼミの担当者は「受験科目に数学と小論文を入れている点から、明らかに国立上位校の東大、京大の受験生狙い。しかし、上位層は受かっても、本来の志望校を狙う。実際に入学してくるのは二番手の国立大志願者でしょう。結局、定員の二倍の百人前後を合格させることになるのでは」と予測する。

 早稲田大学の広報担当者は「英語試験は帰国子女も受験する関係から相当高レベルで設定する予定で、商学部が目指す国際人を養成できる人材が入学してくることを願っている。なによりも熱烈な早大志願者にとって、不合格から半年でチャンスが巡ってくることは大きい」と九月入試のメリットを強調する。

 慶応大学は一九九〇年から、自己推薦、面接によるAO(入試担当室)入試を九月に実施しているが、一般入試は「話題に上がっていない」という。だが「有名校が九月入試をやることで、経営に悩むほかの私大が同様の日程を組みだし、入試シーズンの二極化が進む可能性もある」(早ゼミ)との指摘もある。

 文部科学省大学入試室は「早大の商学部は春期、秋期と完全に分離したカリキュラムだったから九月入試が可能だった。導入を検討する大学は、まず自らの教育内容をきちんと整備してほしい」と訴えている。

投稿者 管理者 : 2004年06月25日 00:13

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