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2004年07月09日

京都大学職員組合、声明「エタノール医療事故控訴審判決にあたって」

京都大学職員組合ホームページ
 ●【声明】エタノール医療事故控訴審判決にあたって(2004年7月7日)

【声明】エタノール医療事故控訴審判決にあたって

 2000年2月に京大病院で発生した「エタノール医療事故」について、本日7月7日、大阪高等裁判所は、被告の看護師1名に対して、控訴を却下し、第一審の京都地裁が下した、禁錮10月執行猶予3年を支持する重い判決を言い渡しました。京都大学に働くものとして、京大病院で起こった事故で亡くなられた患者さんのご冥福をこころからお祈りいたします。また、ご遺族の癒えることのない悲しみを想い、あらためて哀悼の意を表します。そして、京都大学職員組合は自らの問題として、このような悲しい事故が二度と起こらない職場づくりに全力で努力する決意をあらたにしております。

 この事件は、結果的にはエタノールと蒸留水を最初に取り間違えた看護師1名が起訴され禁錮刑を言いわたされることになりましたが、その背景には個人の責任だけに帰することのできない、京大病院の構造的な問題を指摘せざるをえません。京大病院は、入院患者一人あたりの看護師の数が最も少ない国立大学病院の一つであり、月に10日を越える夜勤や頻繁な超過勤務のために、過労・睡眠不足での勤務が常態化しています。そのため看護師の定着率は低く、病棟には常に経験の浅い看護師が多数配属される状況になっており、その他の制度上の不備も重なって、劣悪な労働条件と言わざるをえません。

 京都大学職員組合は、長年にわたり病棟での事故の危険性を指摘し、夜勤回数の削減や看護師の増員を求めつづけてきました。しかし今日にいたるまで抜本的な業務改善が行われておらず、そのような業務体制を放置した京大病院に今回の事故を誘発した一因があったことは明らかです。

 わたしたちは、判決を前にした6月30日の総長交渉においてこの問題を取り上げ、「教職員が禁錮刑に処せられた場合には、解雇する」とする京都大学教職員就業規則第24条第1項を、横領や窃盗による禁錮刑とはまったく事情の異なる当該看護師への判決には適用しない旨の労働協約を結ぶように強く求めました。尾池総長もこの条項に問題があることを認め、京都大学役員会にて協議するとの回答を得ていました。

 しかし、7月5日に開催された役員懇談会の協議では、社会と遺族の理解を得られないとの理由で、規定の処分の減免をするような労働協約を結ぶことはできないとの結論が組合に通告されました。わたしたちは、京大が放置した業務体制に責任の一端がある事故であるにもかかわらず、一看護師の責任を解雇という形で問うことを到底是認できません。附属病院ではすでに千名を越える職員が、就業規則第24条第1項の変更を求める署名を寄せており、当該看護師が解雇されるならば、過酷な労働条件の中で懸命に勤務している病院職員のあいだに残るのは、京都大学への不信感と労働意欲の減退だけです。そのような事態は、亡くなられた患者さんのご遺族をはじめとする国民全体の共通の願いであり、また京都大学医学部附属病院基本理念に記されている「安全で質の高い医療の提供」に資するものではないと考えます。

 私たち京都大学職員組合は、京都大学総長および役員会に対して、京都大学教職員就業規則第24条第1項のすみやかな変更、あるいは同条項を本事案に適用しない旨の労働協約の締結をあらためて要求します。

2004年7月7日京都大学職員組合

[新聞報道]
看護師に2審も有罪=京大エタノール誤注入−大阪高裁(時事通信7/07)
医療死亡事故で看護師を停職1カ月 京大病院(京都新聞7/08)

投稿者 管理者 : 2004年07月09日 00:29

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