個別エントリー別

« 広島大教職員組合、割増賃金不払いで大学当局を労基署に告発! | メイン | その他大学関係のニュース »

2004年07月14日

広島大教職員組合、声明「広島中央労働基準監督署への告発にあたって」

Academia e-Network Letter No 136 (2004.07.14 Wed) より転載

声明:広島中央労働基準監督署への告発にあたって

平成16年7月13日
広島大学教職員組合執行委員長 佐藤清隆

本日(平成16年7月13日)私たちは、国立大学法人広島大学・ 東広島事業場で行われている労使協定違反、および不払い労働を 根絶するために、国立大学法人広島大学を広島中央労働基準監督署(以下、労基署)へ告発しました。これまで6月16日と6月30日の2度にわたり、労使の話し合いで状況の改善を求めて来ましたが、法人当局の施策に根本的な改善が見られず、また申入れに対する回答に誠意が欠けているために、やむを得ずに告発する事態となりました。

1.なぜ告発するのか

私は東広島事業場の労働者の過半数を代表して、本年4月からの非公務員型の国立大学法人広島大学の発足にあたって、東広島事業場の職員の労働条件を規定する労使協定を、広島大学長との間で締結しました。その中で、教員を除く職員の一定の時間外・休日労働を認めるとともに、厳しい限定をつけながら、特別時間外労働を設けることをやむを得ず認めました。これは特別な場合に限定されることを前提として、通常の時間外労働の限度を越える時間外労働についての特別枠を設けるものです。

しかし4月の法人化後に、東広島事業場の多くの職場では、この特別時間外労働の制限をオーバーする時間外労働が恒常的に野放しになってきました。法人化後4ヶ月目になっても、この事態は根本的に変わっていません。この事態を黙視することは、過半数代表者として許されるものではありません。さらに基本的な問題は、法人当局が職員の勤務時間の把握を怠っていることにあります。また労働基準法は、時間外労働に対する割増賃金の支給を使用者側に義務付けていますが、本事業場においては(1)勤務時間の適正な把握が行われておらず、(2)使用者側の予算の範囲内に時間外労働の支払時間が制限されているため、不払い労働が生じています。これらの違反はいずれも刑事罰(30万円以下の罰金、ないしは6ヶ月以下の禁固刑)の対象となる重要な問題です。

ここに述べた労使協定違反と不払い労働を根絶するためには、労基署の調査が不可欠と認識して、広島大学教職員組合は、広島中央労働基準監督署に告発をいたします。

2.このままでは未来永劫、過重労働と不払い労働がつづく

私たちは広島大学が高度な教育研究を行い、その社会的な責任を果たすために誠実に勤務しています。しかしその勤務条件は、労使協定と労働基準法に則るべきであり、それらからの逸脱があってはなりません。使用者の責任とは、「労使協定の範囲において働かせ、働いた分の賃金は払う」ことに尽きます。事あるごとに「大学も民間を見習わねば」とされている民間企業では、これが常識です。広島大学が、このような社会的常識を逸脱していてよいのでしょうか?

仮に大学の運営上に必要な過重任務が生じ、なおかつ運営費交付金を中心とする財政的保証に問題がある場合には、必要で最適な人事配置と可能な限りの勤務の軽減化を図ることが求められます。まさに、そこにこそリーダーシップが問われるのです。しかし残念ながら本事業場では、正確な労働実態が把握されないままに、次から次へと新しい仕事が上から降りてきて、「自分の仕事はきちんとやりたい」という労働者の誠実さにつけ込んで、脱法的な過重勤務と不払い労働が放置されているのです。職員の物理的な勤務能力以上の仕事が押し付けられ、その上ただ働きをさせられている状態が続けば、職員は疲弊し、いずれは正常な勤務が妨げられ、広島大学の社会的責任を果たせなくなります。

法人当局は、法人への移行期だけの、一時的な過重労働だといいますが、それは不払いの理由にはなりません。さらに来年度からは、効率化係数により運営費交付金が減額され、いっそうの財政難となります。今ここで事態を根本的に改善しなければ、現在以上の過重労働と不払い労働が、未来永劫続く可能性があります。私たちは、それを認めるわけにはいきません。

なお本学の他の事業場においても、同じような労働実態が放置されています。今後ともそれが改善されない限り、同様な告発を行わざるをえません。

[広島大学教職員組合の最近のニュース]
昼休憩問題「大学側が謝罪」(2004/06/07)
サービス残業の即時根絶を要求(2004/06/16)
広大の「休日・時間外労働記録簿」と厚生労働省基準はこんなに違う (2004/07/06)

投稿者 管理者 : 2004年07月14日 00:40

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/1441

コメント