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2004年07月21日

留学生多く…大学ガクガク経営危機!

夕刊フジ(7/20)

 少子化が影響を及ぼすのは何も年金問題ばかりではない。すでに「今そこにある危機」になっているのが、全国各地の大学だ。もはや存続を支えるのは、アジアからの留学生という大学も多い。そんな中、千葉の私立大学が多数の不法在留の留学生を抱えていることが発覚した。不法就労目的の留学生が続出したことで入国管理局も審査を強化しており、経営難に苦しむ各大学は、“禁断の果実”に頭を悩ましている。

 「インターナショナル」「国際化」−。最近は多数の留学生の在籍をウリに、こんな“看板”で学生を勧誘している大学が目につく。だが、大半は、深刻な少子化で定員割れが続出しているため、留学生の受け入れ枠を増やすことで生き残りにかけているのだ。

 今月12日には、城西国際大(千葉県東金市)で、昨年までの2年間に在留期間の更新が必要だった留学生のうち、計227人が不法在留になっていることが判明した。

 同大は全国でも4番目に留学生が多い。平成8年度には55人ほどだった留学生も、11年度には約250人、13年度には750人と“急成長”。今年度は、全学部生約5000人のうち、約1000人が留学生という。

 同大は「留学生は入学金免除や授業料減免など、普通の学生より“手が掛かる”。とても入学金や授業料収入で、経営を支えていることはない」と反論、「留学生頼み」を否定する。

 とはいえ、少子化の波が、私学の経営を直撃しているのは間違いない。都内の学校法人関係者も「大学といっても、あくまで『法人』。学生とはすなわち『お客さん』でもあるわけで、学生の減少が経営に与えるダメージは大きい」と話す。

 文部科学省によると、少子化による定員割れは私立大学の3割近く、短大に至っては半数近くにのぼる。

 定員枠が埋まらず学生募集を停止した大学・短大は、平成12年度は1校しかなかったが年々増加。14年度は9校、15年度は18校に及んでおり、大半が「偏差値が50以下で、歴史が浅く『新しい』、そして地方にある大学」(大手予備校関係者)だという。

 苦しい台所事情を支えるのが、台湾、韓国などアジア諸国からが大半を占める留学生。長年にわたり大学の入学状況をみてきた予備校関係者も、「少子化をもろに受け、結果的に留学生を受け入れることで、存続させている状態の大学が多い」と話す。

 しかし、ここ数年は就労目的で来日した“不埓(ふらち)な留学生”の相次ぐ失踪が表面化。入管当局も留学申請を認めないケースが急増し、安易に留学生に頼れなくなってきている。

 萩国際大(山口県萩市)では、14年度の募集定員300人のうち、約200人が留学生という事態となったことで入管当局が問題視。今春には留学生が22人に減ったことで、経営が立ち行かなくなる事態に陥った。

 13年には中国人留学生の不法就労問題から経営難に陥っていた酒田短期大(山形県酒田市)が、文科省から解散命令を出されている。少子化対策の“切り札”だった留学生にも頼れなくなった大学の多くが、今後、続々と破綻(はたん)していく可能性は高い。

 ある日、突然、母校がなくなってしまう、そんなことも珍しくなくなるかもしれない。


投稿者 管理者 : 2004年07月21日 00:05

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