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2004年07月21日

大学設置の日米欧比較−法政大学総長清成忠男氏(あすへの話題)

日本経済新聞(7/20)

 米国では、多くの州で大学設置はかなり自由である。しかし、第三者評価機関によるアクレディテーション(認定)を取得しない限り、受験生は集まらない。設置を自由化すれば、当然に設置バブルが生ずる。質の低い大学が急増する。学位を売るディグリー・ミルも登場する。こうした質の低い大学を排除するために、優良大学が結集し、民間の評価機関を設立してアクレディテーションを行う。こうした質保証の仕組みがすでに百年以上の歴史を有している。
 これに対して、欧州では国立大学がほとんどであり、大学設置は政府の認可事項である。ただ、ドイツでは私立大学の設立ブームが生じている。設置は政府の認可事項であり、学術会議による事前のアクレディテーションが行われている。
 高等教育のグローバル化に対応して、学位と質保証の共通化をはかるために、一九九〇年代以降欧州各国において第三者評価機関が次々に設立されている。評価機関の国際的ネットワーク化も進んでいる。
 わが国においても、学部・学科の設置は大幅に自由化された。第三者評価を受けることも大学に義務づけられた。
 ただ、米国のようにアクレディテーションの仕組みが確立するまでには、かなりの時間とコストを要する。それを無視して大学設置を自由化すると、質の低い大学の過剰参入が生じ、市場における淘汰(とうた)も進む。すでにかなり規制が緩和され、大学設置が急増している。こうした事態の最大の被害者は、受験生であり、在籍学生である。人格形成期のやり直しは、自己責任というには重い。要は、事前規制と事後チェックのバランスである。


投稿者 管理者 : 2004年07月21日 00:07

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