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2004年09月29日

共同通信、教育基本法世論調査について

[問題の記事]
教育基本法改正6割賛成 世論調査(東京新聞9/26)
教育基本法改正 賛成59% 現状への不満背景 全国世論調査(西日本新聞9/26)
教育基本法 改正「賛成」が59% 世論調査 愛国心66%肯定(中国新聞9/26)
■教育基本法 改正に「賛成」59% 全国世論調査 現状の不満反映 「愛国心」法制化66%肯定(北海道新聞9/26)
 記事内容は上記各社と同じ。ただし,以下のような調査の方法の記載あり。
▽調査の方法 層化二段無作為抽出法により、1億人余りの有権者の縮図となるように全国250地点から20歳以上の男女3000人を調査対象者に選び、11、12の両日、調査員がそれぞれ直接面接して答えてもらった。転居、旅行などで会えなかった人を除き1800人から回答を得た。回収率は60・0%で回答者の内訳は男性50・5%、女性49・5%だった。

<解説>教育基本法世論調査 国民は現実対処要請 道徳重視の与党とずれ(北海道新聞9/26)

 〈解説〉教育基本法改正に関する世論調査で賛成が過半数を占めたのは、深刻な問題を抱える教育現場を「何とかしてほしい」という切実な思いからだ。「教育の在り方」という理念的なアプローチで改正を進めようとする政府・与党の立場との乖離(かいり)は大きい。政府・与党が改正だけで「事足れり」とし、現場の課題に有効な処方せんを提示できなければ、改正に賛成する国民の期待を裏切り、支持を失うことになりかねない。
 学校では、いじめや不登校が解消せず、校内暴力も増加、懲戒処分を受ける教職員も増えるばかり。調査で改正に賛成する人の55%は、理由として現行法が「現代の教育を取り巻く問題に対応できていない」とした。「学校がより良くなるのであれば」と改正に期待を寄せていることが分かる。
 一方、改正案作りを進める与党の検討会は、六月の中間報告で「教育基本法は教育の基本的理念を示し、具体的な内容は他の法令に委ねる」と明記。道徳心、愛国心など「公」に関する議論を中心に据える。いじめや不登校対策は封印したままだ。
 検討会のメンバーの一人は「改正で、今起きている問題に対処できると考えるのは無理がある」と述べ、国民の意識とのずれが埋まる気配はみられない。
*深刻さ伝わってない
 西原博史・早稲田大教授の話 問題の深刻さが十分に伝わっていない数字で、ショックを受けている。愛国心法制化は単なるイメージの問題ではない。既に今の段階で、愛国心を持つ意欲が通知表で点数化され、自衛隊イラク派遣を支持することが愛国的と教えるよう教師に圧力がかけられるところが出ている。この延長線上で愛国心教育が要求されれば、子どもの心の隅々まで政府の意向を受け入れさせる教育体制が実現しかねない。

教育基本法全国世論調査 小学英語82%賛成 6・3制弾力化54%反対(北海道新聞9/26)

 教育基本法改正をめぐる全国世論調査で、すべての小学生に英語を学ばせる「小学校の英語必修化」に対し「賛成」と「どちらかといえば賛成」を合わせると82%が支持した。二十歳未満の子どもがいる人に限ると88%で、いない人よりも7ポイント高く、子どもには英語を身に付けさせたいと考えている人が多い。
 賛成理由は「国際社会では英語が大切」43%、「英語教育は早いほどよい」38%、「国際感覚を身に付けられる」14%、「他の教科にも役に立つ」6%の順。賛成の二十代の女性のうち過半数の51%が「国際社会で大切」と考えていた。
 不支持は16%で、その理由は「国語を身に付ける前に英語を学ぶと混乱する」49%、「子どもの負担が重くなる」20%、「小学生からすべての子どもに教える必要はない」18%、「中高の英語教育の充実が先決」10%の順だった。
 河村建夫文部科学相が八月に公表した小学校六年、中学三年の「六・三制」の弾力化案では、反対が過半数を占めた。
 賛否の内訳は「反対」21%、「どちらかといえば反対」33%。「賛成」10%、「どちらかといえば賛成」が23%。
 反対理由では「現行制度が定着し、大きな問題はない」に次いで「地域によって教育の水準や内容に格差が生じる」31%、「学校現場が混乱する」16%、「異なる制度を採用している地域の学校への転校が難しくなる」10%と続く。
 賛成理由は「現行制度が子どもの心身の成長に合わなくなっているから」が37%で最多。「小中一貫など柔軟な学習指導が可能になる」の31%が続き、「地域の特色や実情に合った独自の教育が可能になる」も23%。「現行制度ができて六十年近くになるから」は7%だった。

教基法改正全国世論調査 質問項目と結果 表(信濃毎日新聞9/26)

<教基法改正全国世論調査 質問項目と結果>
               (数字は%)
問1 1947(昭和22)年に「新しい日本の教育の基本を確立する」として制定された教育基本法について、与党が改正の協議を進めています。あなたはこの問題に関心がありますか、ありませんか。次の中から一つだけお答えください。
 関心がある       32.2
 ある程度関心がある   35.8
 あまり関心がない    20.2
 関心がない        9.2
 分からない・無回答    2.6
問2 あなたは教育基本法の改正に賛成ですか、反対ですか。次の中から一つだけお答えください。
 賛成          23.0
 どちらかといえば賛成  36.0
 どちらかといえば反対  16.4
 反対           6.9
 分からない・無回答   17.7
問3 (問2で「賛成」「どちらかといえば賛成」と答えた人に)あなたが賛成する最も大きな理由は何ですか。次の中から一つだけお答えください。(回答者1062人)
 制定以来、一度も改正されていないから
             15.4
 当時の連合国軍総司令部(GHQ)の意向が強く反映されているから
              6.3
 現代の教育を取り巻く問題に対応できていないから
             55.4
 伝統文化の尊重や愛国心、道徳心を育てるといった項目を入れる必要があるから
             17.4
 憲法と結び付いた重要な法律で改正すれば憲法改正にもつながるから
              3.1
 その他          0.6
 分からない・無回答    1.8
問4 (問2で「どちらかといえば反対」「反対」と答えた人に)あなたが反対する最も大きな理由は何ですか。次の中から一つだけお答えください。(回答者420人)
 現行法に問題はないから 17.9
 個人の尊重や平和主義など、現行法の理念は大切だから
             20.0
 改正しても教育の問題に対応できるとは限らないから
             41.8
 改正すれば戦前の軍国主義教育に戻る恐れがあるから
              8.1
 教育基本法の改正は憲法改正に結び付く恐れがあるから
              7.6
 その他          1.7
 分からない・無回答    2.9
問5 改正をめぐっては「愛国心を育てることが重要」という趣旨を盛り込むかどうかが最大の焦点になっています。あなたは、盛り込むことに賛成ですか、反対ですか。次の中から一つだけお答えください。
 賛成          30.4
 どちらかといえば賛成  36.0
 どちらかといえば反対  17.8
 反対           8.1
 分からない・無回答    7.7
問6 英語を小学校の教科に加え、小学生全員に学ばせようという動きが出ています。あなたは賛成ですか、反対ですか。次の中から一つだけお答えください。
 賛成          53.8
 どちらかといえば賛成  28.2
 どちらかといえば反対   9.5
 反対           6.1
 分からない・無回答    2.4
問7 (問6で「賛成」「どちらかといえば賛成」と答えた人に)あなたが賛成する最も大きな理由は何ですか。次の中から一つだけお答えください。(回答者1476人)
 英語教育は早ければ早いほどよいから
             37.7
 外国語を学ぶことで他の教科に役立つから
              5.8
 国際社会では英語が大切だから
             42.5
 英語を通じて国際感覚を身に付けることができるから
             13.6
 その他          0.3
 分からない・無回答    0.1
問8 (問6で「どちらかといえば反対」「反対」と答えた人に聞く)あなたが反対する最も大きな理由は何ですか。次の中から一つだけお答えください。(回答者280人)
 国語の基本を身に付ける前に英語を学ぶと混乱するから
             48.9
 小学校からすべての子どもに英語を教える必要はないから  
             17.9
 子どもの負担が重くなるから 
             20.0
 中学、高校の英語教育を充実させるのが先決だから
              9.6
 その他          2.9
 分からない・無回答    0.7
問9 義務教育9年を小学校6年・中学校3年に分ける「6・3制」について、河村建夫文部科学相が8月、自治体が独自に「5・4制」などに変えられるようにする改革案を公表しました。あなたはこれに賛成ですか、反対ですか。次の中から一つだけお答えください。
 賛成           9.9
 どちらかといえば賛成  22.6
 どちらかといえば反対  33.1
 反対          20.7
 分からない・無回答   13.7
問10 (問9で「賛成」「どちらかといえば賛成」と答えた人に)あなたが賛成する最も大きな理由は何ですか。次の中から一つだけお答えください。(回答者584人)
 地域の特色や実情に合った独自の教育が可能になるから
             22.9
 現行制度が子どもの心身の成長に合わなくなっているから
             37.2
 現行制度ができて60年近くになるから
              7.0
 小中一貫など柔軟な学習指導が可能になるから
             30.5
 その他          1.0
 分からない・無回答    1.4
問11 (問9で「どちらかといえば反対」「反対」と答えた人に)あなたが反対する最も大きな理由は何ですか。次の中から一つだけお答えください。(回答者970人)
 現行制度が定着し、大きな問題はないから
             41.2
 地域によって教育の水準や内容に格差が生じるから
             31.0
 学校現場が混乱するから 16.4
 異なる制度を採用している地域の学校への転校が難しくなるから
              9.7
 その他          0.7
 分からない・無回答    1.0
 ▽調査の方法=調査は層化二段無作為抽出法により、1億人余の有権者の縮図となるように全国250地点から20歳以上の男女3000人を調査対象者に選び、11、12の両日、調査員がそれぞれ直接面接して答えてもらった。転居、旅行などで会えなかった人を除き1800人から回答を得た。回収率は60.0%で回答者の内訳は男性50.5%、女性49.5%だった。

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 ●9月26日教育基本法世論調査への疑問(9月28日)

04年9月26日の地方紙各紙に,教育基本法改正についての世論調査の記事が出ましたが,これについてはいくつか疑問があります.記事のタイトルは次のようです.

(西日本)教育基本法改正 賛成59% 現状への不満背景 全国世論調査
(佐賀)教育基本法改正「賛成」59% 現状へ強い不満反映 全国世論調査
(東京)教育基本法改正6割賛成 世論調査

 まず調査主体ですが,「日本世論調査会」というのは,独立した組織というより,実体は共同通信のようです.地元の新聞にこの名前で電話番号を教えてもらったところ,共同通信につながりました.この名前でウェブ検索をかけてもサイトは出てきませんし,ウェブ電話帳でも番号は出てきません.

 また,記事となった調査結果の元データの提供を共同通信に依頼したところ,「共同通信からの出稿がすべてであり,それ以上は出せない」とのことでした.そこでその出稿記事全文をファクス11ページで送ってもらいました.しかしこれも十分詳細なデータを含む物ではありません.例えばその中には年齢や支持政党と質問項目の相関について書かれていますが,回答者の年齢・支持政党の内訳は不明です.回答者の内訳で示されているのは男女の比のみでした.

 このように調査結果の元データが開示されないのでは第三者による最小限の検証も不可能であり,客観的な,アカウンタブルな世論調査と言えるのかどうか疑問です.

 内容の問題で私が最も疑問に思ったのは次のことです.教基法改正についての賛否を問うのが主な目的ですから,その前提,つまり教基法について回答者がどの程度の認識があるのかというのが,最小限必要な質問項目であるはずです.ところがその質問項目はありません.では,調査者は教基法全文を用意していたのかと聞いたところ,これも持たず,回答者に提示可能だったのは簡単な要約(“とは物”と表現されました)だけとのことです.

 以上のように,責任の所在も曖昧であり,データの開示もされない,内容や方法にも問題ありということで,これはまともな世論調査とは受け取れません.むしろ世論誘導作業ではないのか,その疑いを強く持ちました.(04年9月28日)

五十嵐仁の転成仁語
教育基本法改正賛成6割をどう見るか(9月26日(日))
罪は教育基本法にあるのか(9月27日(日))

教育基本法改正賛成6割をどう見るか

 「教育基本法改正6割賛成」という見出しが目に飛び込んできました。今日の『東京新聞』の朝刊です。
 この報道によれば、日本世論調査会の全国世論調査が行われ、教育基本法改正について「賛成」が23%、「どちらかといえば賛成」が36%で、合計すると59%が賛成したそうです。反対は、計23%にとどまっています。
 賛成する人の55%は、その理由として「現代の教育を取り巻く問題に対応できていない」ことを挙げ、特に20歳未満の子どもがいる層では69%に達しました。「教育の現状への根強い不満が改正への支持につながっていることを浮き彫りにした」というのが、この記事の解説です。
 政治の介入によって教育基本法が無視され、それによって歪められた教育の現状への不満が高まり、それが教育基本法の改正論に結びついているというわけです。憲法原理が歪められ、現実との乖離が拡大したためにその改正論が高まるという、憲法をめぐる世論状況と似たような展開になっています。
 この世論調査では、愛国心についても聞いています。教育基本法に盛り込むことに「賛成」「どちらかといえば賛成」が計66%ですから、約7割弱の人が賛成してることになります。
 「反対」「どちらかといえば反対」は計26%しかありません。改正論が多数、反対論は少数という結果です。自民党などは、この結果を見てニンマリしていることでしょう。……

[以下,教育基本法関連ニュース]

共同通信(9/28)より

「国を愛する心」が適当 教基法改正で文科相

 中山成彬文部科学相は28日、報道各社のインタビューで、教育基本法改正案にどう盛り込むかが与党間で焦点となっている「愛国心」に関する記述について「愛国心という言葉でいいと個人的には思う。(だが、)国を愛する心と愛国心は同じだ。そういう理解になればいいし、その方向で進んでもらいたい」と述べ「国を愛する心」などの表現が適当だとの考えを示した。
 また宗教教育の在り方についても「非常に大事だ。宗教を信じろ、信用するなということではなく、宗教が大事であると分かるような文言を入れてほしい」と述べ、改正案に盛り込む必要性を強調した。

公明新聞(9/27)より部分抜粋

教育基本法改正 教育の未来へ国民合意図れ
与党間で“愛国心”など継続論議へ

合意点は作業着手
 与党の教育基本法改正に関する協議会は、与党内で合意した内容から、文部科学省が同法改正案作成の準備作業に着手することを了承した。
 見解が一致していない、愛国心や宗教教育をはじめ、同法の前文にある「憲法の精神に則り」の扱い、義務教育の年限、教育における国と地方の役割分担など、11項目については論議が継続される。
 教育基本法の改正は、故小渕首相が設置した私的諮問機関「教育改革国民会議」が2000年12月に提言。文部科学相の諮問機関・中央教育審議会も昨年3月、「国を愛する心」の盛り込みなどを柱とする改正を答申していた。
 答申を受けて公明党は、拙速に改正案を国会提出するのではなく、国民的議論を広く喚起しながら与党間で十分に協議していくことを主張。与党間に幹事長らによる協議会、実務者による検討会が設置され、議論が続けられてきた。……


投稿者 管理者 : 2004年09月29日 01:03

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