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2004年10月07日

開かれた大学改革を求める会から都議会への陳情書

開かれた大学改革を求める会から都議会への陳情書
Academia e-Network Letter No 193 (2004.10.07 Thu)経由

都立4大学を統合する法人の設立,新大学・大学院の設置に関する陳情

2004年10月5日提出


「東京都議会議長
内田 茂 殿

郵便番号 192-0397 東京都八王子市南大沢1−1
東京都立大学人文学部仏文研究室内
電話番号 #(転載時省略)
開かれた大学改革を求める会
代表
(西川 直子)


(願意)
 都立4大学を統合する法人の設立及び新大学・新大学院の設置にあたって,都は,学生・大学院生が安心して学習研究に取り組み,大学人が安定した教育研究を継続することを保障する定款・学則その他の諸規程を作ってください.

(理由)
 都立の新大学については9月に認可が下りたものの,「大学説明会」(南大沢キャンパス,8月末)も例年に比べ著しく低調であり,『入学者選抜要項』(7月発表)でも,かなりの項目が「未定」とされています.

 都立4大学を統合する法人を設立する「定款(案)」・「条例(案)」や,新大学の「学則(案)」・新大学院の「学則(案)」は,東京都大学管理本部から7月までに示されましたが,いずれも現4大学の大学人(教員・職員・学生)による事前検討がなされていません.また,その内容も大学側からのこれまでの要望に十分配慮したものとは言えません.

 示された案によれば,教育課程・カリキュラムについて「科目登録委員会(仮称)」「学位設計委員会(仮称)」,教員の採用・承認について「人事委員会(仮称)」「教員選考委員会(仮称)」などが構想され,委員会には外部委員の参画が構想されています.しかしながら,現行法では「教授会」が「重要な事項を審議」する(学校教育法59条1項)とされているのであり,現に都立現4大学でも,カリキュラムの設計や教員の選考は専門家が行っております.学長の選出について,大学の学長選考機関は,「教育研究審議機関を構成する者」と「経営審議機関を構成する者」のうち,それぞれの機関から選出された者によって構成すると定められています(地方独立行政法人法71条4項).学長候補者等の選出方法について,法には特段の定めはありませんが,教員の選挙によって新総長を選出した東京大学のように,大学人の意思が直接反映される仕組みを「学則」等の規定に盛り込むことは可能です.

 4月に都が行なった新大学の設置申請は,7月段階の「早期認可」が見送られ,自然科学及び社会科学系大学院の9月入試は不可能となりました.9月には認可されましたが,4月の開学までになすべき作業はかなりの分量になり,大学人との共同作業があってすら実現可能であるとは言えない部分があります.また現時点においても,入学後の学生寮など「未定」のことが多数あるのは,大きな不安となっています. 新大学の発足時も発足後も,いたずらに新奇さや見かけの効率を求めるのではなく,現在及び未来の学生・院生・教員に不安を与えない制度が保障されなければなりません.

 これから提案される予定の公立大学法人の設立にかかる「定款」「条例」,新大学の設置にかかる「学則」及び新大学院の設置にかかる「学則」その他諸規程の作成にあたっては,これまで以上に大学人の意見に耳を傾け,法に定められた三つの機関(教授会と教育研究審議機関・経営審議機関)の役割分担を明らかにし,法定事項でない事柄については,大学人との意見交換を十分に行なっていただきたい,また、現行4大学の学則は法人化後も現在の学則に準ずるものを維持していただきたい,と考えます.これらの要請は,これまで都民の共有財産である都立の大学が高い評価を得るのに貢献してきた大学人に共通した願いでありましょう.このことに配慮が及ばないならば,法人の設立,新大学の設置に向けての準備と発足後の運営に大きな障害を生むことになりかねません.

 瑣末な数字にとらわれるのではなく,百年先を見越して,内外に誇れる大学・大学院を作ることが求められています.」


投稿者 管理者 : 2004年10月07日 12:41

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