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2004年10月13日

走り出す大学知財本部(29) 東京都立4大学−産学公連携に注力

日刊工業新聞(2004/10/07)

 東京都立大学など都立4大学は、05年4月の統合・法人化で「首都大学東京」として新スタートを切る。教員らの発明はこの公立大学法人化後から大学所有に変わるため、各種制度の整備はまだ途上にある。
 しかし、地域連携の意識は国立大の比ではなく、東京都の中小企業を支援するための”産学公連携“に注力。将来は企業の知財化支援も手掛けたいと考えている。統合予定の都立4大学による知財本部活動は、国立大に比べて遅れてみえる。例えば、年間30数件程度の発明は今も個人や共同研究相手の企業が出願しているからだ。しかし、そもそも法人化は国立大学の1年後なので当然のことだ。
 現在、新大学の将来像を踏まえた最終体制の構築や、職務発明規定・利益相反ポリシーなどの整備に取り組んでおり、むしろ国立大の問題点などを参考にできるメリットがある。
 もっとも国立大と違う点が地域連携だ。知財本部が入る「東京都産学公連携推進室」の福田収一室長は「東京都の技術・人材育成に役立つ知財であることが欠かせない。知財を活用し、都の中小企業をいかに支援するかが問われる」と強調する。同準備室は法人化後に「産学公連携センター」になり、「産学公連携本部」と「知財本部」を抱える形にシフトする予定だ。
 統合後も使用していく各キャンパスのある西東京地域は、中小企業が多く、先端技術が集積する。都の中小企業振興公社から産学公連携の助成金を受けたり、産業技術研究所が持つ中小企業ニーズを教員らに伝えたり―といった連携をさらに強化する方針だ。また、中小企業の発明の知財化指導を将来は行いたいというのも、国立大にはない発想だ。各種の整備において、調整相手は4大学間のほかに都庁内の教育関係、産業振興など多部門なのがたいへんなところ。
 一方で、シーズ説明会や産学公交流会の企画・案内などで、都の各種機関を利用できる魅力もある。教員らが都立の工業高校に出向いて知財セミナーを実施するなど、都立ゆえの高大連携も手掛けている。課題は地元の技術移転機関(TLO)である「タマティーエルオー」との関係づくりだ。これまで教員個人がTLOに参加していたが、新大学では特許の販売、市場調査、特許化などどの点を任せるべきか―。
 知財を生み出す中心となる工学系は、都立大工学部と都立科技大の再編で、都市環境学部とシステムデザイン学部に移る。教員のキャンパス移動もあってしばらくは落ち着かないが、「全国の公立大のモデルに」(福田)なるべく、高い意識で半年後の統合・法人化に向けて進んでいる。


投稿者 管理者 : 2004年10月13日 00:19

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