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2004年10月13日

大阪府立大農学部大学院移転問題

大阪府立大農学部移転構想 地元選出府議の「綱引き」激化

大阪読売新聞(2004/10/08)

 府が府立大農学部の一部研究施設を、堺市から泉佐野市の「りんくうタウン」に移転する構想を打ち出したことを巡り、府議会で両地域選出議員の対立が鮮明になっている。堺市選出議員が白紙撤回を太田房江知事に迫れば、泉佐野周辺の議員は早期移転を要望。「わが地元に」と意気込む議員たちの「綱引き」が激しさを増している。
 二〇一〇年度をめどに、りんくうタウンに大学院の講義室や農園、動物飼育室などを整備する構想で、建設費は135億円。周辺の検疫所や、りんくう総合医療センターと連携できるメリットがあるとしている。
 七日の府議会一般質問で、泉南郡選出の松浪耕造議員(主権おおさか)は「早期移転を熱望している。りんくうタウン活性化につなげてもらいたい」と歓迎。一方、堺市選出の西村晴天議員(公明)は「具体性も実現性もない構想」と切り捨て「キャンパスの分散で運営費がかさみ、学際研究にも影響する。白紙撤回しては」と翻意を促した。

堺市の府立大、農学部大学院のりんくうタウン移転で綱引き

朝日新聞(2004/10/09)

 堺市にある府立大学をめぐり、農学部大学院のりんくうタウン(泉佐野市)への移転を進める府と、引き止めたい堺市との綱引きが激化している。開会中の9月定例府議会では「府のバランスのとれた発展のために移転は必要」「企業誘致が進まないりんくうタウンの穴埋めだ」と賛否両論が飛び交った。一方で、「地域エゴのぶつかり合いに過ぎない」との冷ややかな見方もある。
 府立大は49年、農、工学部を中心とした府立の「浪速大学」として設置され、キャンパスは堺、寝屋川、池田の3市に分かれていた。55年に大阪府立大に名称変更した。5月現在の学生数は5学部で約5千人。05年4月には、大阪女子大(堺市)と府立看護大(羽曳野市)と統合予定だ。
 府は02年7月、りんくうタウンに農学部と農学部大学院を移転するよう大学に申し入れた。関西空港の検疫所や、食品コンビナートなどの周辺施設と連携できるメリットを訴え、同年11月に府立大が移転を決めた。
 ■人口減
 だが、美原町との合併を控え、政令指定都市を目指す堺市は「人口減につながりかねない」などと猛反発。府は今年2月、農学部大学院のみの移転としたが、堺市は「移転しないのなら、大学の運営や施設整備など最大で約30億円を負担してもいい」と、あくまでも引き止めたい考えだ。
 りんくうタウンは関西空港開港に合わせ、府が87〜96年に約5900億円をかけて造成。バブル崩壊もあって分譲用地129ヘクタールの4割程度しか売れず、00年から定期借地方式での企業誘致を始め、土地の利用率がようやく6割を超えた。
 開会中の9月定例府議会の代表・一般質問で、府議23人のうち10人が移転問題を取り上げた。うち7人が反対の立場、3人が賛成の立場だった。
 ■穴埋め
 「反対派」は、移転理由に説得力がない、と太田房江知事を追及する。
 公明の西村晴天氏(堺市)は「理由は後付け。りんくうタウンの失敗を唐突な思いつきで埋めようとしている」、共産の岸上倭文樹(しずき)氏(堺市)は「りんくうタウンの救済策として府が押しつけた計画」と、それぞれ指摘した。
 約135億円と見込まれる移転費用について、民主の西川弘城氏(東淀川区)は、「行政改革効果の1225億円の1割以上を使ってまで移転する必要があるのか」とただした。
 一方、「賛成派」の主権おおさかの松浪耕造氏(泉南郡)は「関空など大型施設のある泉南地域に学術の拠点を置くことが、府の均衡のとれた発展につながる」と強調した。
 太田知事は「移転は大学側の意見を尊重した結果。大学の発展はもとより、バイオ産業の振興とりんくうタウンの街づくり促進につながる」などと、いささか苦しい答弁に終始した。
 こうしたやりとりに、府議会からは冷めた声も漏れる。府北部選出の府議は「単なる地域間競争で、府民の立場や長期的展望に立った議論が出てこない」と指摘した。


投稿者 管理者 : 2004年10月13日 01:12

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