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2004年10月19日

横浜市立大の初代学長就任ブルース・ストロナクさん

東京読売新聞(2004/10/18)

 ◇来春に独立行政法人となる横浜市立大学の初代学長に就任する ブルース・ストロナクさん54

 ◆競争力を持つ大学を
 壁際に本が詰まった段ボール箱、机には大学に関する資料が山積みになっている大学の一室。部屋を見回しながら、開口一番、流ちょうな日本語で「毎日、資料の津波と戦ってます」と笑った。妻道子さんら家族を米国に残しての単身赴任で、住居を探す暇もなく、今月上旬まで約一か月間大学のゲストハウスに仮住まいしていた。
 米マサチューセッツ州のベッカー大学で大学改革に携わった経験を買われ、慶応大学の研究員時代からの知己だった故・孫福弘さん(元市大改革推進本部最高経営責任者)の招きで、今年、通算四回目の来日を果たした。当初は、顧問として大学経営のアドバイスをするとばかり思っていたが、急逝した孫福さんの後任の宝田良一さんから学長就任を要請された。驚いたが、経験を見込まれたと思い、受けることにした。
 フレッチャー大学院(米マサチューセッツ州)の学生時代、国のイメージが他国にどう伝わっているかなどを研究する国際関係学を専攻した。その時、慶大と共同研究をしたことをきっかけに、一九七六年に初来日。慶大の講師時代には、横浜市緑区に住んでいたことがある。
 ベッカー大があるマサチューセッツ州には、私立大だけで六十校、州立も入れると九十近い大学がひしめき、学生の獲得競争にしのぎを削っているという。また、長女の麻里子さん(18)が通う他州の大学を訪れたときには、職員が駆け寄って荷物を持ってくれたこともあった。「アメリカの大学は『学生はお客様』という視点で経営に当たっている。日本の大学が見ているのは文部科学省だけ」と言い切る。
 日本では終身雇用制度が崩れ、これからは複数の会社を渡り歩く人が増える。少子化の影響で学生数は減ると同時に、大学は新しい社会に対応した教育内容が問われる、と分析する。「その時までに変われない大学は、なくなる」というのが持論だ。
 新しい市立大は、多様化して変化し続ける社会に対応できるように、幅広い領域の学問を学ぶリベラルアーツ(教養教育)を重視し、「日本で一番競争力を持った大学」を目指す。「市立大は生まれ変わる。だから、学生も元気と意欲がある人に来てほしい。さぼる学生はいりません」。冗談めかしながらも、真剣な表情で理想を語った。
 妻の道子さんとは日本で知り合い、子供は娘が二人。年末に、麻里子さんが遊びに来るのを心待ちにしている。


投稿者 管理者 : 2004年10月19日 00:54

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