個別エントリー別

« キャンパス統合は予定通り 平安女学院大、大学側の見解 | メイン | 東北大学職員組合、寒冷地手当改定問題 »

2004年10月28日

札幌市立大問題、市立高専教員が労組結成 採用過程へ不信増幅

北海道新聞(10/27)

 二○○六年四月開学予定の札幌市立大学(仮称)の教員採用をめぐり、大学教員として採用されなかった札幌市立高専の教員らが二十六日、労働組合を結成する事態に発展した。新大学の教員選考に応募した高専教員二十九人中、十二人が不採用となったことが引き金。不採用になった教員にとって、選考結果は「一貫性がなく、過程が不透明」との思いが強いうえ、高専閉校後の処遇が見えないといういら立ちも大きく、市に対する不信感が加速度的に増していったようだ。

 「なぜ、この人が採用されて、あの人が採用されなかったのか、理由が全く分からない」

 ある高専教員の一人は、教員の研究業績が書かれた教員名簿を見ながら、いら立ちを隠そうともせず語った。選考結果は九月九、十日に言い渡されたが、教員側から見れば同じような経歴や研究業績なのに、採用で明暗が分かれたからだ。

 例えば大学院卒の学位を持つある教員は選考の結果「不採用」となったが、市側の説明では「研究論文が少ない」。別の教員は「研究業績は十分」との説明だったが、続けて「あなたの研究分野は大学が求めるカリキュラムと合わない」。

 このほか、採用条件が求める学位がないのに採用された教員もおり、不採用となった教員は「選考委員の好き嫌いなど、恣意(しい)的な判断が働いている」との印象を持ったようだ。

 教員の選考基準は、原則として教授は博士、助教授は修士以上の学位を持つことが条件で、その他、論文などの研究業績から判断される。ただ、この研究業績をめぐり、教員側に誤解があると指摘する声も多い。

 大学設置準備委のある委員は「一口に研究業績といっても、高専の紀要などに掲載された論文や、これまで開いた個展などいくら業績として並べても、文部科学省の審査は通らない。求められているのはその分野の専門家の査定をきちんと受けた論文や、権威ある展示会への出品といった業績。その点をよく理解していない研究業績書を提出した教員が多かった」と打ち明ける。

 学位が足りない教員を採用したことについても「業績があるのに不採用とするのは惜しいということ。ただ、文科省への大学設置申請までに学位を取得することが条件」。恣意的な判断は「全くない」と強調する。

 一方、高専閉校後の処遇が何も決まっていないことも、市に対する不信感を増幅させている。

 不採用となった高専教員は、教員免許を持つ場合は市立高校などの教員、それ以外は市の一般職や技術職への配転が予想されるが、教員の一人は「高専がなくなるのは市側の都合なのだから、こちらの業績にふさわしい処遇を決めてほしい」という。

 高専教員の労務を管轄する市教委は「来月早々にも、教育次長をトップにしたプロジェクトチームをつくり、採用されなかった教員の希望を聞きながら、今後の処遇を決めていく」とする。しかし、教員側からしてみれば九月に選考結果が出たのに、いまだにチームがつくられていないという点も納得できないという。

 市大学設置準備室は「選考過程に不透明な面は一切ない。今後の処遇については高専が閉校になるまでに誠心誠意対応していく」と話す。これに対し、労組委員長に就任した畑俊明・助教授は「市の教員に対する話し合いはすべて個別に行われている。このままでは今後の処遇について、何の確約も得られないのではないかという不信感がある。なぜ労組を結成することになったのかを、市はよく理解してほしい」と訴えている。


投稿者 管理者 : 2004年10月28日 01:21

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/2149

コメント