個別エントリー別

« 学生謝礼金1225万円流用 群大、工学部教授を懲戒処分 | メイン | 横浜市議会、横浜市立大学の独立行政法人化に伴う「法人評価委員会を設置する条例案」について »

2004年10月28日

京大・神戸大、発明届け出数急増―知財戦略、順調に始動

日本経済新聞地方(2004/10/26)

 文部科学省の知的財産本部がある近畿の国立四大学のうち、京都大学と神戸大学で、発明の届け出件数が急増している。京大は四―九月で二〇〇三年度の一年分を上回った。大阪大学と奈良先端科学技術大学院大学も今後、増加する見込み。特許を活用する国立大の知的財産戦略が四月の法人化を機に順調に動き始めた。
 京大は四―九月に二百四十六件の発明の届け出があり、〇三年度の二百六件を上回った。法人化前は年間数件だった学生の届け出も二十件前後に増えた。学科別にみると工学研究科からの届け出が最も多く、全体の約三分の一を占める。
 学内の発明評価委員会が届け出された発明を評価し、百七十二件の特許出願を決めた。特許出願件数も〇三年度の百十七件を上回った。松重和美副学長は「知財戦略が順調に進み、数字に反映された」とみている。
 神大では四―九月に約五十件の届け出があり、〇三年度の同期に比べて二十件近く増えた。四――九月の特許出願は二十五件程度だった。
 阪大と奈良先端大は四―九月に急増していないが、最近数年間は増加している。阪大は法人化前の旧制度を利用しようと教官が三月に駆け込みで届け出たため、〇三年度は五百三十八件に達した。〇四年度は三百―三百五十件と予想している。馬越佑吉副学長は「〇三年度は超えないが、〇二年度の二百六十八件を上回るだろう」と話す。
 奈良先端大は発明を届け出る前の相談件数が〇三年度より急増した。産官学推進室は「届け出前に実用化できるかなどを厳しく調査しているため届け出件数は減ったが、年度後半は増えるだろう」と説明している。
 件数増加の背景には届け出が義務化された側面もあるが、教官の意識の変化が大きい。法人化前は教官が発明を企業に譲り、企業が出願する場合も多かったが、研究者が実用化・事業化を期待して届け出る例が増えたとみられる。特許料収入を手厚くした影響もある。
 文部科学省の支援を受け、全国四十三の国公私立大学は〇三年度から知的財産本部を設けた。同省は特に国立大には法人化を機に知的財産を経営資源として扱うように促しているが、四月以降の集計はまだない。
 ▼大学の発明の届け出 国立大は法人化前、発明は原則として研究者ら個人に帰属し、一部を除いて届け出義務がなかった。法人化後では大学の資金や施設を使った研究から生まれた発明は、原則として大学が特許を受ける権利を引き継ぐ。大学の組織が発明を評価し、特許を出願したり、企業と共同で出願したりする。特許出願が難しいと判断すれば、発明者に返還する。法人化前は発明者が特許を出願したり、企業と共同で出願したりしていた。
【表】近畿の国立4大学の発明届け出・特許出願件数(2004年4―9月)
  発明届け出  特許出願
京都大学  246(206)  172(117)
大阪大学  116(538)  28(38)
神戸大学  50程度(31)  25程度(未集計)
奈良先端科学技術大学院大学  26(87)  ※25(※132)
(注)カッコ内は前年度の1年分。ただし、神戸大学は前年4―9月分。※は同一の内容の特許を複数の外国に出願した場合、1カ国ずつ1つの特許として計算した    

投稿者 管理者 : 2004年10月28日 01:31

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/2154

コメント