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2004年11月02日

「高等教育無償化」条項留保撤回を国連が勧告

しんぶん赤旗(11/01)より部分抜粋

「無償化」条項の留保は3国だけ
 これは、世界の常識から見れば異常事態です。一九六六年に国連総会で採択された国際人権A規約の十三条二項(C)は「高等教育は…無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること」と定めています。ところが、日本政府は、同規約を一九七九年に批准しながら、同項は留保し続けています。こうした国は日本、マダガスカル、ルワンダの三国だけです。

 欧米諸国では、学費は無償か安価で、奨学金も返還義務のない「給付制」が主流です。高等教育をうける権利を保障するために、その無償化をすすめる――これが世界の流れとなっています。これに対し、日本は高等教育機関の私費負担割合が56・9%と、OECD加盟二十六カ国中三番目の高さです。各国平均21・8%より極めて高く、高等教育をうける権利保障という面で後進国となっています。

 これが二〇〇一年の国連社会権規約委員会で問題となり、同委員会は、日本政府に対し、「高等教育の漸進的な無償化」条項の留保の撤回を検討することを勧告し、二〇〇六年六月末までに勧告にもとづいてどういう措置をとったのか、NGOや市民とどのような協議をしたのか、報告を要請しています。

人権問題として高学費を告発
 いま、大学関係者の間で、これを「二〇〇六年問題」と呼び、高学費を人権問題として広く告発しようという議論がひろがっています。

 全国百十五大学の三百四十一団体が加盟する「国庫助成に関する全国私立大学教授会連合」は六月十日、採択した活動方針のトップで「二〇〇六年問題」をとりあげ、政府などに要請し広く社会に訴えるとしています。同連合が六月十八日に刊行した『私立大学の未来―改革と展望』でもこの問題を解説しています。

 大学評価学会(代表、田中昌人京都大学名誉教授、益川敏英京都産業大学教授)も六月二十一日、文部科学省に対して勧告に基づいて具体的措置をとるよう要請しています。……


大学評価学会・国連社会権委員会2006年問題特別委員会より

文部科学大臣  河村建夫 殿

「2006年問題」に関する文部科学省への要請書

要請趣旨

 大学評価学会は、下記の要請に関する事項を「2006年問題」として学会内に特別委員会を設けて、緊急的課題として取り組んでおります。
 一つは、1966年12月16日に国際連合総会において採択され、日本では1979年9月21日に発効した国際人権規約の「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」の内、第13条2項(c)の高等教育における「無償教育の漸進的導入」について、日本政府が、それに「拘束されない権利を留保する」としていることに関して、2001年8月31日における国際連合の「経済的、社会的および文化的権利に関する委員会の最終見解―日本―」は、「拘束されない権利の留保の撤回を検討することを要求する」として日本政府に対し2006年6月30日までに回答を求めている問題です。
 関連するいま一つは、国際連合の児童の権利委員会が、日本における「過度に競争的な教育制度の改革」を行い、「高校を卒業したすべての者が高等教育に平等にアクセスすることを確保する」ように求めて、2004年1月30日に行った勧告に対して、日本政府に2006年5月31日までに回答を求めている問題です。
 この期限に向けて、日本政府および文部科学省が勧告に基づいて各方面に広く意見を求め、協議を行い、その経過を公表し、具体的な措置を講ずることを求めます。第一の件に関しては、1984年の日本育英会法の制定に際しても衆参両院文教委員会の各付帯決議において「諸般の動向をみて留保の解除を検討すること」とされています。以来、20年が経過し、今日、学費の負担が高等教育を受ける機会均等を損なう教育上の差別を生ずるまでになっており、「無償教育の漸進的な導入」に基づく政策の具体化は、世界人権宣言第26条、国際人権規約の社会権規約第13条、児童の権利に関する条約第28条、第29条を誠実に履行し、日本国憲法第14条、第26条、教育基本法第3条、第10条、第11条を生かす上で不可欠の事項になっていると考えます。 

要請内容

1.日本国憲法第98条に基づき、国際人権規約の内、社会権規約第13条2項(c)の「高等教育における無償教育の漸進的導入」に対する日本政府の国際連合「経済的、社会的および文化的権利に関する委員会」への回答(2006年6月30日が回答期限)に向けて、早急に具体的な協議および措置を講ずることを求めます。
2.日本国憲法第98条に基づき、国際連合「児童の権利に関する委員会」が、2004年1月30日に日本政府に対して行った勧告第50項(a)への回答(2006年5月31日が回答期限)に向けて、早急に具体的な協議および措置を講ずることを求めます。

2004年6月21日
大学評価学会・国連社会権委員会2006年問題特別委員会
(略称;2006年問題委員会、委員長・田中昌人)

投稿者 管理者 : 2004年11月02日 01:29

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