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2004年11月04日

企業との関係(1)インターンシップ―制度普及目的多様に(大学が動く)

日本経済新聞(2004/11/01)

学生、経験・雰囲気学ぶ
企業、採用戦略の一環
 京都の五十一大学と連携して様々な教育プログラムを提供する「大学コンソーシアム京都」は今春、経済産業省の委託を受けて「インターンシップ導入マニュアル」を作製、全国の大学、企業に配布した。夏休みなどを利用して、大学生が企業や自治体で就業体験するインターンシップ制度について、学生、大学、企業三者の立場から意味や実習方法を解説した。学生向け、企業向けなど一方の立場に立ったガイドはあったが、総合的な視点のマニュアルは全国初だ。
 コンソーシアム京都は昨年春、実習プログラムの成功事例やトラブル、法的問題などについての調査報告書をまとめたばかり。インターンシップ事業推進室の水野健児室長は「当初は一部の就業意識の高い学生が参加していた。普及に伴い『友人が参加するから』『単位になるから』と目的意識が希薄な学生が増える一方、受け入れ目的が明確でない企業も目立ち始めた」と、マニュアル作製の背景を説明する。
6年前の4倍
 文部科学省の調べによると、単位が取得できる授業扱いにしている大学は二〇〇二年度時点で約四六%、三百十七校。現在は過半数に達したとみられる。
 コンソーシアム京都が実施するインターンシップに応募した学生は昨年、約千三百人で、取り組みが始まった六年前の約四倍。このため、企業に派遣する前後にリポートを書かせ、コミュニケーションのトレーニングをするなどの授業を実施。「この授業に欠席、遅刻するようでは企業に迷惑をかける可能性があるので、該当者は原則派遣しない」(水野室長)と、厳しい姿勢で臨む。
 関西屈指の実績を持つ関西大学では今年、約千四百人の応募があった。志望動機が希薄な学生などを面接で落とし、派遣数を約七百人に絞り込んだ。
 コンソーシアム京都のプログラムに参加、サッカーの京都パープルサンガで実習中の同志社大商学部二年の栗本鉄平さん(20)は「将来、教師になりたいので、いろいろな経験を積むため申し込んだ。来年は別の企業で体験したい」という。実習と並行する講義「サンガ・カレッジ」は午後九時半まで開かれるが、「自主的に参加しているので全く苦にならない」ときっぱり。
 京都パープルサンガの担当者、横谷亮さんは学生受け入れの狙いを「スポーツを通じた地域貢献、京都の活性化を学んでほしい。当社の雰囲気を知ってもらいたいが、採用を意識して実施しているわけではない」と説明する。
“指定校制”も
 一方で、入社希望者を受け入れる採用連動型のインターンシップを実施している企業も増えつつある。ある在阪の企業は全国の有名大学のみに案内状を出し、事実上の“指定校制”を採っている。
 「これまでは教育や社会貢献が前面に掲げられたインターンシップの普及期」とみる関大キャリアセンターの吉原健二事務長は「米国では採用と連動するのが一般的で、今後、日本でも学生、企業双方の参加目的や実習プログラムが多様化する可能性がある」と指摘。関西経営者協会は「当初は大学の要請を受けて教育目的で実施していたが、企業戦略の一環としてとらえ始めるケースが出てきた」という。
 文部科学省は制度の質的な向上と一層の普及を目指して来年度約八億円を確保、全国の大学を中心に斬新な実習プログラムを公募し、一年かけて研究する考え。学生にとって企業の選択肢や実習内容はますます広がるだけに、目的意識や事前学習の有無が、有意義な就業体験のカギを握る。


投稿者 管理者 : 2004年11月04日 00:35

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