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2004年11月27日

国立大学の独立行政法人化の経緯(1999~2004年)

「意見広告の会」ニュース218より

首都圏ネット ポスターセッション報告 第2回
国立大学の独立行政法人化の経緯(1999~2004年)

第一期 (1999年春~秋)
文部省は当初「反対」していた(効率化は大学になじまない、活性化に結びつかない、学術研究水準が低下する―1997年10月文部大臣所信)→「条件付き賛成」に転換
有馬三条件(1)大学の特性に配慮する特例措置を設けること、(2)運営費交付金として予算が確保されること、(3)公務員型の特定独立行政法人となること→論点の中心は、文部省の統制と行財政改革

第二期 (1999年冬~2000年春)
自民党内部の意見調整(麻生委員会~2000年3月、2000.5.11に政務調査会の提言)、新たな論点は、大学の種別化と再編統合通則法+特例法(調整法)+「国立大学法人」の名称、という基本路線の確定

第三期 (2000年夏~2000年秋)
調査検討会議(2000年7月発足)において、国立大学を独立行政法人の枠組みに組み入れるための技術的議論(「イージーオーダー」「メリットの活用」―杉野文部省大学改革推進室長)議論が水面下に入り、国民の眼には見えなくなる通産省(現経済産業省)官僚グループの国立大学法人法案 (2000年秋)―大学を経済改革に利用しようとする路線が明示的に登場

第四期 (2000年冬~2001年春)
UT21(東京大学)、名古屋大学等大学別の検討
文科省: 経営と教学の分離を提案
経産省: 学外者が過半数(ないし三分の一以上)を占める「運営会議」設置を提案
これまでの独法化の枠を越えて、国立大学の組織やあり方そのものを改変する動きへ

第五期 (2001年春~2001年夏)
構造改革路線の登場(日本経済活性化のために大学の知的・人的資源を利用する意図)
小泉首相の民営化論(2001.5.11参議院本会議―民営化と地方移管という発言)
平沼プラン(2001.5.25)―「産官学総力戦」の開始
遠山プラン(2001.6.11)―平沼プランに対抗するため二週間で作成 (大学政策ではなく経済政策)

第六期 (2001年秋~2002年春)
再編統合とトップ30―大学間の連携の分断
非公務員化(事務職員を含む)の論点の出現(2002.1.25閣議決定「構造改革と経済財政の中期展望」)
調査検討会議最終報告(2002年3月)

第七期 (2002年春~2002年冬)
法制化に向けた政府部内の検討―文科省と国大協法人化特別委員会の結合(再び議論の内容は水面下に入り、国民の目に見えなくなる)

第八期 (2003年春~2003年夏)
国会審議の過程
1. 2月28日閣議決定、同日国会提出
2. 衆議院段階―問題点が明らかになるも、一語たりとも修正せず、委員長職権による採決
3. 労働安全衛生法対応問題で議論が延びる(~5月16日委員会、22日本会議採決)
4. 参議院の独自の意味―衆院より本質的な問題を議論
5. 6月10日民主党櫻井充議員の質問で審議ストップ(6月26日まで止まる、18日会期末の延長によってようやく審議未了廃案を免れる)
6. 文科省の対応
1. 封建制と家父長制による支配
2. 未定稿の連発と「行政の裁量権」という論理
3. 遠山文科相の「おわび」

第九期 (2003年夏~2004年春)
法人化の実質をめぐり、各大学で混乱
1. 運営費交付金の算定にあたって「効率化係数」を導入するという財務省に、文科省が屈服
2. いたずらに学長権限を強化する「授権法体制」(東京大学、名古屋工業大学など)
3. 労働安全衛生法対応の遅れ
4. 就業規則作成の混乱(2004年4月時点で、就業規則が存在しない大学が複数あった)

第十期 (2004年春~2004年秋)
法人化に随伴する諸問題が表面化
1. 応用科学も基礎科学も「知の生産工場」へ転換を求められる→知財戦略に特化した大学政策(利益相反が大きな問題に)
2. 地方大学:「国土の均衡ある発展」が放棄され、「地域間競争」の促進というスローガンに
3. 国立大学の支出格差(学生1人当たり最大7.4倍、東大718万円、大阪外語97万円)は放置
4. キャリア職員の異動システムは温存
5. 奨学金から教育ローンへ、返還免除の全廃(自己責任、自己負担、自助の論理)
6. 教員養成: 再編統合、教員の「計画養成」、初等・中等教育との連携
7. 法科大学院: 国際的な知的財産保護のための企業弁護士の育成
⇒誘致合戦、教授引き抜き、予備校化、基礎法・政治学の衰微


投稿者 管理者 : 2004年11月27日 01:13

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