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2004年11月16日

「このままでいいのか? 都立の大学」集会

都立大の危機 --- やさしいFAQ
 ∟●2004年11月14日に三省堂ホールで開かれた「都立の大学を考える都民の会」の集会はどうでしたか?

2004年11月14日に三省堂ホールで開かれた「都立の大学を考える都民の会」の集会はどうでしたか?

ポーカス博士
 初めのうちは参加者が少ないのではないかと思っていたが,次第に席が埋って,最終的には参加者数は190名になっていた。呼びかけ人である清水誠氏の挨拶から始まったのだが,都立大学の名誉教授でもある清水氏は,個人的な意見だがと断って,「私はこのような大学(「首大」)はできるだけ早く廃止すべきだと思う」,「知事も交替させねばならない」(字句は不正確)と主張した。「長いものにはまかれろ」というような考え方をしてはいけない,という主張も説得力があった。これまでの「都民の会」で,清水氏は,それほど強い口調で意見を述べてこなかったという印象があったのだが,初めから驚かされてしまった。わしは,この意見に賛成する立場だから,同じ意見を最初から正面きって述べてくれたので胸がスーッとしたが,違う立場の人達は,別な意味でびっくりしただろう。

 「都民の会」の基調報告の後,都政各分野からの訴えとして,「七生養護学校」,「日の丸・君が代強制に反対する教師・市民の取り組み」,都立病院の統廃合をめぐる取り組み,都立図書館をめぐる問題がそれぞれの関係者から説明された。これらの発表を聞いて,改めて再確認させられたのは,東京都が教育,文化,福祉を切り捨てをする際のやり方がすべて同じパターンだということだ。病院や図書館の場合,「近くにxxという立派な病院/図書館があるから,もうyyという病院/図書館はいらない」(必要性がない)と東京都は主張する。もう一方では,「これは改革である」と声高に叫び,反対するものを指して,それは「反対のための反対だ」と言う。そして「現場の声は聞かない」で,役人主導で「ずさんな改悪案を強行する」のだ。都立の大学統廃合の話は,都立の病院や図書館でもまったく同じ形で行われている。さらに都立高校の現状を聞くと,「日の丸・君が代」強制問題以上に,東京都の教育を徹底的に管理できる体制を整えていることが実感でき,非常に怖い思いをした。それと同時に,「都立の大学統合問題は,東京都の教育管理体制確立の最後の総仕上げ」であり,これが完了した段階で,東京都は,東京の教育を徹底的に管理できるようになる,という恐ろしい指摘があった。まさにそうだと思う。しかし,...,現状では都立大の敗北だろう。

 第2部では,学生自治会,人文院生会,「4大学教員声明」呼びかけ人会,「首大非就任者の会」,「開かれた大学改革を求める会」,教職員組合からの報告,発表が行われた。この中で印象的だったのは,「4大学教員声明」呼びかけ人会の小柴共一氏が,現状報告の中で,個人の立場からの報告であるとことわった上で,現状ではかなり,教員主体で「首大」の開学準備が進んでいるとの認識を示した点だ。大学管理本部は,自分達ができない仕事が山のようにあることに気づき,次々と仕事を大学に丸投げしていると言われている。そんな中で,無理やり管理本部が強制しようとしてもできないことが次第に明らかになり,現場の教員がこれまで大学で行われてきたやり方で,新たに提案をし,仕事をこなしているというのだ。ちょっと聞くと,「そうか,だったら少しはまともな大学になるかな」と期待を抱かせる発言だったが,果たして本当にそうなのだろうか?(結局,「長いものに巻かれている」のではないか?)昇任人事の件にしても,傾斜配分の件にしても,条件闘争の結果「譲歩を勝ち取ったぞ」と言って喜んでいる場合だろうか?いびつな「首大」をストップするのは,設置認可が認められた今では,確かに難しいかもしれない。しかし,12月の都議会で審議される予定の法人の定款に関して言えば,都立大の学則廃止,都立大総長は,「首大」学長が兼任する,というような,むちゃくちゃなやり方が強引に認められてしまいそうな勢いなのだ。これをストップしないと,2010年度まで残る都立の4大学の学生はどうなる? 「首大」へ行かずに都立大に残留することを決めた教員の研究・教育環境はどうなる? 上から降りてきた仕事を,多少自分達の思うように変えられたからといって,東京都の教育弾圧を止めることにはならないのではないか?そう考えると,「4大学教員声明」呼びかけ人会が力を持った時代はすでに終わった,という印象を強く持った。


投稿者 管理者 : 2004年11月16日 01:02

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