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2004年12月24日

「都立の大学を考える都民の会」ニュース10号(2004年12月18日)

「意見広告の会」ニュース229より

***入会など返信はganbare_toritudai@yahoo.co.jpまでお願いします。***
都立の大学を考える都民の会ニュース10号(2004年12月18日)

--目次--
1.「このままでいいのか? 都立の大学」集会・総会のご報告
2.最近の動向と主な資料 (略)

■1■ 「このままでいいのか? 都立の大学」集会・総会のご報告

 去る11月14日、新宿の三省堂ホールにおいて「このままでいいのか? 都立の大学」集会を開催しました。会場には約190名の参加がありました。ご参加くださった方々に改めてお礼申し上げます。
 「都立の大学を考える都民の会」は、12月都議会での「新大学」法人定款論議を前に、「本当にこんな大学の設置を認めていいのか?」という点での一致を求め、都民の立場から改めて「都立の大学の良質な蓄積を守り、学生・院生の権利を守るという点で一致した取り組みをしていこう」との声を発信するため、本集会を開催しました。
 集会は、「都民の会」呼びかけ人の一人である清水誠名誉教授による「開会の挨拶」から始まりました。清水先生は、都立の大学をめぐる未解決の問題が山積する中、本集会を4月以降に向けてどう対処していくかの一歩にし、石原都知事の一連の常識はずれな発言や現在の危機的な状況を都民に訴えていく必要があると話されました。
 集会の第一部では、「都民の会」から基調報告として「都立の大学改革」をめぐる主な経過、新大学の設置手続き、新大学設置の目的、地方独立行政法人化、新大学の学部編成、「意思確認書」「就任承諾書」、「単位バンク制度」、新大学教職員の人事制度・労働条件、現行の大学の運営、教育への行政の介入・教育制度の改悪・学問の自由について、次々と問題点があげられました。
 その後、東京都で今起こっていることとして、教育・文化・医療の各分野からの報告がありました。東京都障害児学校教職員組合からは、昨年夏、都立七生養護学校で起こったことは、「性教育批判」を利用した管理強化であり、都教委の意に添わない管理職への「処分」ルールの確立であり、教育基本法改悪への道であるという訴えがありました。「学校に自由の風を」ネットワークからは、「学校現場への日の丸・君が代強制に反対する教師・市民の取り組み」が紹介されました。こうした強制の教育の流れを変えるため、2005年1月10日の日比谷公会堂大集会への参加の呼びかけがありました。東京都庁教職員組合教育庁支部からは、「都立図書館をめぐる問題」について報告がありました。都立図書館の蔵書廃棄は累計30万冊にのぼり、日比谷図書館は廃館に追い込まれるとの報告がありました。「東京の保健・衛生・医療の充実を求める連絡会」からは、都立病院の統廃合をめぐる取り組みについて、報告がありました。 以上のような東京都の各分野への攻撃は、いずれも東京都という権力による強制であり、「都民のため」という題目の下での切り捨てであると、「都民の会」からコメントをさせていただきました。
 集会の第二部では、学生・院生をはじめ、学内の諸団体からそれぞれの立場からの報告を受けました。
 都立大学生自治会からは、新大学は学生主体の大学であるべきであり、大学管理本部は学生の声に耳を傾けるべきである、入学時の権利を保障するべきであるとの訴えがありました。また、都立大大学院生から人文院生会の取り組みや学生院生連絡会議の活動が紹介され、現在の大学改革において最も弱い立場にあるのが院生・学生であり、都立大のこれまでの蓄積の上に充実した大学を望むとの訴えがありました。
 「四大学教員声明呼びかけ人」のメンバーの方からは、新大学が「研究ができる大学」になるという点では一定の成果があったが、未だ多くの未解決な問題があり、在学生・院生・教職員の教育研究条件の保障するため、新大学をつくる立場から真剣な議論をし、新大学を自分たちのものに取り戻すことが大事であるとのという訴えがありました。
 「首大非就任者の会」会員からは、首都大学構想は東京都による教育破壊の中に位置づけられる大学破壊であり、それも一握りの首謀者による破壊である、それに大学側が敗北し、都立大と首大は断絶され、都立大は破壊されつつあるという訴えがありました。
 「開かれた大学改革を求める会」からは、多くの問題を未解決にしたまま新大学を開学することは危険であり、在学生・新入生に甚大な被害を及ぼすことになるので、「新大学開学1年延長」を速やかに決断することが最善の方策であるとの訴えがありました。
 東京都立大学・短期大学教職員組合からは、都立四大学をめぐる状況と法人化問題について報告がありました。大学管理本部のずさんな計画に任せるのでなく、自主的運営に押し戻し、教員・職員が希望をもって働けるようにしていきたいとの訴えがありました。
 これらの報告を受けて、フロアの参加者を含めた意見交換を行いました。意見交換では、侮濶・A卒業生、高校生を持つ親、学生などの立場からの発言がありました。
 最後に、「都民の会」からの訴え*を集会参加者が確認して、集会を終えました。
 
集会後、「都民の会」の総会が開かれました。最初に世話人会から、この一年間の会務についての報告と、今後の活動についての行動提起(案※)が行われました。次いで会計報告として、決算の報告と来年3月までの暫定予算案が提案され、その後質疑応答・討論が行われました。
 討論では、新大学の設置が認可され、来年確実に「首都大学東京」が設置されるという状況で、どのような運動を展開するべきか、ということをめぐって様々な意見が出されました。しかし時間の関係もあり、長期的な活動の方向性をどのようにしていくのかについての結論は次回総会へと持ち越しとなり、当面来年3月までの行動提起および暫定予算を承認して、総会は終了となりました。
 都民の会としては、現状で会の活動のあり方について様々な意見があることを踏まえ、再度来年3月(または4月)に次期以降の活動の方向性を決める総会を開催することにしました。この間運動を支えて下さったみなさんに、今後の都民の会の活動について、ご意見をお寄せ頂ければと思います。よろしくお願いします。


*「都民の会」からの訴え

1、「都立の大学」の現状について、次のことを緊急の要求として訴えます。

●都立の大学が現在直面している問題を明らかにし、その解決に真摯に取り組むことを求めます。
 新大学の開設準備は、去る9月に、設置認可にあたって出された大学設置・学校法人審議会の答申で、量・質ともに前例のない「留意事項」「意見」が付された事実に象徴されるように、きわめて多くの問題を抱え、「危機的状況」(10月7日付都立大学総長による声明)とも指摘される不備な経過で強行されつつああります。このままでは、長年にわたる都立の大学における研究・教育の蓄積を維持・発展させることが到底できないばかりか、大学の維持・存続そのものが危ぶまれる事態になりかねません。都立の大学という我々の文化的財産を守るためにも、設置審を始めとした各方面からの指摘を真摯に受けとめて、問題点の改善に最大限取り組むよう強く求めます。その際、とりわけ学生・院生・教職員からの意見や意思表明が尊重されることを望みます。

●大学の「法人化」について指摘されている懸念・問題点を解消するために必要な議論を尽くすことを求めます。
 来る12月議会で審議が予定されている新大学法人の「定款」についても、大学運営のあり方や、教員の身分・研究教育条件などの面で、既に多くの問題点が指摘されています。新大学法人が、設置者の財政支出削減のみを最優先して発足するならば、その大学は将来の学生・院生や教職員にとって、魅力ある学習・研究・教育の場とはけっしてならないでしょう。「定款」の審議にあたっては、このような懸念を十分に受けとめ、当事者はもちろんのこと都民に対しても、それが十分魅力的な大学の枠組みであると説得力のある説明がなしうるよう、内容を慎重に議論することを求めます。

●在学生・院生の学習権、現大学に残る教員の研究条件の確実な保障を求めます。
 現在の開設準備状況は、現大学の在学生・院生への学習権の保障、現大学に残る教員層の研究教育条件の保障という点で、全く立ち後れています
。このまま進行すると、早晩深刻な人権問題が発生することは避けられません。「設置者権限」によって都立の大学の「廃止」を強行した東京都と大学管理本部に対して、行政機関としての公共的責任を全うし、事態の解決を図るために全力を尽くすことを強く求めます。

2、「都民のための大学づくり」のために、学内・学外を問わず様々な立場の人たちが力を合わせていくことを訴えます。

 私たち「都立の大学を考える都民の会」は、この夏に作成したリーフレットにおいて、私たちの求める大学像を以下のように提示しました。
 ●学生・院生・教職員の意志を踏まえた大学
 ●父母・都民に正確な情報を公開し、開かれた大学
 ●都立4大学がこれまでつちかってきた研究と教育の蓄積を大切にする大学
 ●働く若者や社会人、障害者の学ぶ機会を広げる大学
 ●児童虐待・環境悪化・長期不況など、都民が抱える問題に取り組む大学
 現在、都立の大学の当事者層には、新大学への対応をめぐってさまざまな意見や行動の広がりが生まれています。しかしそうした違いを超えて、実現を希求し志向する大学像には共有するものがあると私たちは考えています。それぞれの現場やそれぞれの方法で、「都立の大学」さらには日本の大学・高等教育をより豊かなものにしていくために、この場にある者たちが今後もなお力を合わせていくことを、あらためて強く訴えます。

3、東京の教育・文化・医療・福祉を守り、発展させていく取り組みを広げていくことを訴えます。

 2月の日比谷集会に引き続いて今回の集会でも、現在の都政の下で様々な課題や困難に直面する教育・文化・医療・福祉の関係者の方々に参加・発言いただきました。大学の発展は、それが立脚する地域・生活基盤の豊かさなしにはありえません。暴走ともいえる状況で進行する東京都の行政「改革」のもとで、都民の生活・文化を守り、次代に向けて発展させていくために、今後一層この輪を大きくしていくことを強く訴えます。

以上

※「都立の大学を考える都民の会」総会 活動方針の提起(案)

 以上の活動報告を踏まえて、「都民の会」の今後の活動方針について次のように提案します。

1)中長期的な活動について
 ①会の基本的な活動の方向性について
 私たち「都民の会」は、「私たちの求める大学」として引き続き次の5点の要求項目を掲げ、学内外との連携を取りながら、活動を行っていきます。
 ●学生・院生・教職員の意思を踏まえた大学づくりを進めること

 ●父母・都民に正確な情報を公開し、開かれた大学づくりを進めること

 ●都立4大学がこれまでつちかってきた研究と教育の蓄積を大切にすること
 ●働く若者や社会人、障害者の学ぶ機会を広げること
 ●児童虐待・環境悪化・長期不況など、都民が抱える問題に取り組み大学にすること
 特に様々な懸念が指摘されている都立の大学の「法人化」については、引き続き事態の推移を注視し、必要な問題提起を行います。また現在の都政の下で困難に直面する様々な個人・団体との連携を重視した取り組みを行います。

 ②行動提起
 以上の点から、私たちは「都民の会」の活動として以下の5つの柱を提案します。
 (1)都民版「都民カレッジ」(仮称)
 (2)都民版大学白書づくり
 (3)日常的な「情報発信」・「情報公開」への取り組み
 (4)学内での教育研究条件の保護・保障のための取り組みへの支援
 (5)都政革新のための教育・福祉・医療・労働を横断したネットワークの形成

 ③運営上・組織上の課題の改善
 活動の継続・発展のために、組織・運営の見直しを行います。具体的には事務局の交代や新たな担い手の拡大、世話人会の拡大など、担い手を広げていく取り組みを進めます。また安定した財政基盤の確立のために、「会費制の導入」など検討します。また年度末の3月にもう一度臨時の総会を開き、規約など組織上の詳細の確定を行います。

 2)当面の活動について(04.11~05.3)
 今年度末までの都民の会の活動について、次のことを提案します。
  ①在学生・院生・教職員の研究教育条件の保障のための取り組み
  ②都立の大学の「法人化」をめぐる問題について
  ③規約・趣意書、その他組織上の体裁の整備について
                                 
以上


投稿者 管理者 : 2004年12月24日 00:36

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