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2004年12月06日

国会ポスターセッションの報告(連載)第4回 「役員出向問題」「法人化経費」

「意見広告の会」ニュース221より

国会ポスターセッションの報告 連載 第4回 

2-1 役員出向問題

文部科学省からの出向役員(理事に限る)の所属する国立大学法人

*出向役員は文字通り文科省からの出向者であり、天下り理事ではありません。
以下の49大学(全国立大学の56%)で、ほぼ旧事務局長が「役員出向」しています。

北海道大学 旭川医科大学 秋田大学 宮城教育大学 山形大学 宇都宮大学 茨城大学 千葉大学 東京大学 東京医科歯科大学 東京農工大学 東京芸術大学 新潟大学 上越教育大学 富山医科薬科大学 金沢大学 福井大学 信州大学 山梨大学 岐阜大学 名古屋大学 名古屋工業大学 三重大学 滋賀大学 滋賀医科大学 京都大学 京都教育大学 京都工芸繊維大学 大阪大学 大阪教育大学 大阪外国語大学 神戸大学 奈良女子大学 和歌山大学 鳥取大学 岡山大学 広島大学 徳島大学 香川大学 愛媛大学 高知大学 佐賀大学 九州大学 長崎大学 熊本大学 大分大学 宮崎大学 鹿児島大学 琉球大学

*役員出向者は国家公務員身分を失っていない。
「本籍=文科省、現住所=国立大学法人」 である文科省の役人である。

 12万にも達しようとする旧国立大学教職員は、本年3月にその公務員身分を失い、4月に国立大学法人職員に移行した。一方、役員出向者(理事)は平成16年3月に文科省を退職、4月に出向者となった。出向辞令を発した者は文部科学大臣である。すなわち出向者は、純粋な法人職員の身分に移行することもないまま、再び文科省の職員に復帰し退職金もまた文科省より受け取るわけである。 国会審議でも明らかなように、多数の教職員が本人の意向に反して国家公務員身分を失ったことは重大な問題と言わねばならないが、それにも関わらず一部の文科省幹部職員は、事実上の公務員身分のままより高度な地位の理事職に就任しているわけである。まことに不公平・不公正な「火事場の焼け太り」と批判されても仕方がないのではないか。
 また役員出向者は、文部科学大臣から出向辞令を受け取っている以上、「本籍=文科省、現住所=国立大学法人」という事実上の文科省官僚である。国立大学法人法によって、国立大学の運営の自主性・自律性を高めると説明しながら、実際には多くの事務局長が事務局内にとどまらず、法人の最高の意思決定機関である役員会の構成メンバーに入り込んだわけであるから、国立大学に対する文科省コントロールは一層強化されたと言わねばならない。
 そればかりではない。役員出向者は、人事交流の名のもとに文科省の都合に従って本省と国立大学法人や他の独立行政法人の間を転々とする。現に既に本年7月に、二つの国立大学法人で「役員出向者」(理事)が交替している。「適材適所」で配置された役員が、最も重要な法人発足後のこの時期にわずか3ヶ月で交替しているのである。これでは一体どのようにして国立大学法人の「運営の自主性、自律性と自己責任」が保てるであろうか。

*「役員出向」は、官僚OBの天下り以上に問題である。
 以上は何も旧事務局長の国立大学法人理事就任を頭から排除する主張ではない。役員に出向役人を起用することの問題点を指摘している。各理事の任命権がそれぞれの国立大学法人の学長にあると言っても、出向者たちは事実上の人事権を持つ本省の意向を汲み取ろうとするであろう。文部科学省は自らの既得権益の確保に汲々とすることなく、法の趣旨に照らして「役員出向」を自粛すべきである。
 なお、本パネルの内容に誤りがあればご指摘をお願い致します。

2-2法人化経費 推計355 億円以上

 「法人化にあたって新たに発生した経費」を詳しく見積っている東京大学の推計額を基礎にして、それと全国の国立大学の教職員数や、支出総額などの比率に応じて355 億円以上と推計しました。この推計では、病院、理系部局の有無による保険料、労安法対策費の多寡については考慮できていません。特に保険料の推計はこの見積もりよりも60 億円程度多くなる可能性もあります.推計の詳細は下の説明をごらんください.

全国国立大学の教職員数と支出総額(ともに2004 年度)
実数     比(対東京大学)
教職員数  116816 人   15.45 (a)
支出総額  23381 億円  10.91 (b)

法人化に必要な経費の内訳 費用(億円)
1. コンピューターシステム・サポート経費 7.63
2. 職員研修費用 2.78
3. 職員採用試験実施経費 4.02
4. 銀行手数料 10.47
5. 保険料 199.51
6. 法定監査法人費用 18.24
7. 役員人件費(503 名) 100.60
8. 労働安全衛生法見合いの維持費 11.59
総費用 354.84

*「法人化にあたって新たに発生した経費」の推計方法について
 上記各費用の算出は、極めて困難である。その理由は、(i) 法人化1年目のため、正確な値が分からず、他のデータ等から予測しなければならないため,(ii) 上記予測に必要な信頼に足る詳細なデータが公開されていないため,等である。一方、東京大学においては、法人化前に上記費用の詳細な予測が行われており、そのデータは利用可能である。
 そこで本算出方式においては、国立大学におけるおおよその費用を見積もるため、入手可能な「教職員数」および「総支出額」のみを用い、東京大学の試算額との比を用いて計算を行うことを考えた。
 まず「総支出額」と深い関わりを持つと考えられる1,4 の項目については、全国立大学と東京大学の「総支出額」の割合に東京大学の予測経費を掛けることにより、算出を行った。同様に、「教職員数」と深い関わりを持つと考えられる2,3,5,6,8 の項目については、東京大学の「教職員数」の割合に東京大学の予測経費を掛けることにより、算出を行った。
 また7 については、役員1名あたり0.2 億円の経費とした。

1. コンピューターシステム・サポート経費(人事,財務会計,病院管理会計)
2. 職員研修費用(労務・人事管理, 会計基準等・衛生管理者研修等)
3. 職員採用試験実施経費(募集要項・問題作成等)
4. 銀行手数料(振込手数料,ファームバンキング利用料等)
5. 保険料(雇用保険,労災保険,児童手当拠出金,火災保険,自動車保険,損害賠償責任保険等)
6. 法定監査人費用等(弁護士・会計士等費用)
7. 役員人件費
8. 労働安全衛生法見合いの維持費


投稿者 管理者 : 2004年12月06日 00:12

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