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2004年12月09日

国会ポスターセッションの報告 連載 第5回 「首都圏ネット」分の最終回

「意見広告の会」ニュース222より

非常勤職員の均等待遇化におよそ320 億円

国立大学における非常勤職員とは?

 国立大学には、さまざまな種類の非常勤職員が存在して「ます。
 時間雇用職員、日々雇用職員の他、教員が獲得した科学研究費から給与の支払われている職員も存在しています。
 彼ら・彼女らは、他の常勤の職員と同じ仕事をしていながら、非常勤ということで、劣悪な労働条件の下に置かれています。しかし、国公法の世界から労働法の世界へと国立大学が移行した以上は、同一労働・同一賃金の原則に基づいて、常勤職員と同じ労働をしている場合には、彼ら・彼女らに対して、同一賃金が支払われなければなりません。
 ところが、運営費交付金においてはこのことが考慮されていないために、劣悪な労働条件の下に置かれ続けています。非常勤職員の処遇を改善する一番の方法は、彼ら・彼女らの時給を上げるなど常勤職員と均等待遇化することです。では一体どれくらいの予算が必要なのでしょうか。

時間雇用職員および日々雇用職員の均等待遇化経費 推計320 億円
 その実数が比較的良く把握されている、時間雇用職員および日々雇用職員についてだけ、推計してみます。時間雇用職員および日々雇用E員の人数の出典は国大協法人化特別委員会が2002 年に作成した資料です。調査年度である2001 年においては、時間雇用職員は18,107 人、日々雇用職員は5,455 人で、非常勤職員は計23,562 人となっていました。データとしては少し古いのですが、「法人化」の前後でどこの大学でも非常勤職員数は削減されていると推測されるので、百の単位はカットして、現在の非常勤職員数と推定して、概算しました。

A) 時間雇用職員(週30 時間)の総雇用費:309 億6000 万円
一人当たりの平均年雇用費:約172 万円
時間雇用職員の人数:18000 人

B) 日々雇用職員(週40 時間)の総雇用費:163 億5,000 万円
一人当たりの平均年雇用費:約327 万円
日々雇用職員の人数:5000 人

C) 非常勤職員の総雇用費: 473 億1,000 万円 (A + B)

D) 常勤職員として同世代の労働者を雇用すると想定した場合の人件費:約791 億2,000 万円
推定法:一人当たり時間雇用職員の2 倍の年平均雇用費(344 万円)がかかるとし,それに時間雇用職員と日々雇用職員の合計人数(23000 人)を乗じた.
→ 344 万円 x 23,000 人 = 791 億2,000 万円

E) 常勤職員並み保障に必要な原資 :318 億1,000 万円 (D - C)
791 億2,000 万円 - 473 億1,000 万円 = 318 億1,000 万円

科学研究費などによって雇用されている非常勤職員の実態はナの中!!
 以上の推計は、時間雇用職員および日々雇用職員以外の科学研究費などによって雇用されている非常勤職員を含んでいません。彼ら・彼女らの人数、労働実態を包括的に明らかにする調査は行なわれていません。しかし、日々雇用職員や時間雇用職員と同じくらいの人数の人々が、存在しているといわれる場合も有るので、労働法上の原則を実現するためには、その実態を迅速、かつ包括的に明らかにしていく必要があります。

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開会中の臨時国会への要請
国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

 昨年の国立大学法人法案の審議過程では同法を提案した政府・文科省の方々はこぞって「法人化によって現在より予算が減額されることはない。いっそう旺盛に教育研究活動を行う基盤が作られる。」「もちろん、法人化に伴う非公務員化に伴って労働基準法をはじめとする労働法制は完全に適用される。」と答弁されていたことは記憶に新しいことです。また、法人法案成立に際しての国ム決議で「運営費交付金等の算定に当たっては、・・・法人化前の公費投入額を踏まえ、従来以上に各国立大学における教育研究が確実に実施されるに必要な所要額を確保するよう努めること。」(12項)を、国会の名によって厳粛に政府に求めました。
 しかし、本ポスターセッションで、1)法人化に必要な諸経費等によって各大学が実際に用いることが可能な予算が実質的に 減額され、学科(専攻)などの現場では昨年比50%減という状況が続出している
 2)非常勤職員の均等待遇を求める「パート労働者法」や同法に関わる「指針」の精神に 反して、依然として各大学では非常勤職員への差別的待遇が続けられている3)労働基準法に明白に違反する「サービス残業」(超勤費未払い)が常態化していることがあきらかとなっています。さらに重大なことに、運営費交付金の算定方式は国会審議過程では「収支差額補填方式」であったのに、国立大学法人法成立後になって「総額管理方式」に強引に切り替えられました。このため、平成15年度を出発点に効率化係数、経営係数によっト運営費交付金が確実に逓減することになったのです。つまり、本ポスターセッションが紹介した現実がもっと深刻になるのです。国立大学法人法が引き起こした事態が明らかになった以上、私達は国権の最高機関たる国会におかれてはャやかに以下の措置をとられるよう強く要請するものです。

1.本年度において以下の項目を補填する補正予算を組むこと
(1)運営費交付金を実質減額させた法人化必要経費
(2)同一労働・同一賃金の原則と「パート労働者法」の精神に反する状態を解消するための非常勤職員均等処遇経費
(3)労基法に反する「サービス残業」解消経費
 私達の試算では少なく見積もっても(1)355億円(2)320 億円(3)274億円であり、補正予算の総額は949億円となり ます。

2.運営費交付金算出方法を「総額管理方式」から当初想定されていた「収支差額補填方式」に戻すこと

3.国立大学法人法と同法に基づく法人化の問題点を広く大学関係者から聞き、改善・改革のための審議を国会で行うこと

以上

投稿者 管理者 : 2004年12月09日 00:53

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