個別エントリー別

« 第7回愛知県立の大学あり方検討会議 「報告書」を知事に提出 | メイン | 平安女学院統合問題 山田・守山市長、補助金返還要請も 大学側をけん制 »

2004年12月17日

大学のリストラ、私学「補助金の食い逃げ」でたった五年でのキャンパス移転に対し「就学権確認訴訟」で対抗

自由法曹団
 ∟●団通信1149号(2004/12/11)より

大学のリストラ、私学「補助金の食い逃げ」でたった五年での
キャンパス移転に対し「就学権確認訴訟」で対抗

滋賀支部  吉 原  稔

1 滋賀県守山市に平成一二年四月に開校した平安女学院大学びわこ守山キャンパスが、わずか五年で閉校され、大阪府高槻市に統合されることになった。統合閉鎖に反対する在校生を原告として「守山キャンパスでの就学権確認訴訟」なる訴訟を提起した。

2 この裁判の請求原因は、

(一)在学契約では、守山キャンパスで就学することが契約の重要な説明事項であって、債務の本旨であり、大学が一方的に変更できない。在学契約には、消費者契約法が適用される。

(二)この大学は、守山市と滋賀県が誘致し補助したもので、守山市は二五億八六〇〇万円、滋賀県は八億円の補助金を出した。これは建設事業費七〇%が公金によって賄われている。文部科学省は、私学助成金として二年で六〇三二万円を出している。大学は、守山市と協定を結んで守山キャンパスの長期(半永久的)(期間の定めはない)存続を約束したのに、たった五年で「補助金の食い逃げ」である。この協定による契約は、在学生(受益者)を「第三者」とする第三者のための契約であり、在学生はこれにより守山キャンパスで就学する権利を取得した。

(三)仮に、「第三者のための契約」ではないとしても、補助金適正化法(地方自治体の補助金には適用されない。)により補助金の交付をうけた補助事業者は補助者に対して、事業遂行義務があるから補助者に対する事業遂行義務は在学契約における大学の義務の内容となった。これは規範設定契約(市町村と会社との間で決めた料金、水圧等の許可条件が消費者との契約内容となり、消費者は会社に契約不履行責任を問いうる。来栖三郎)又は、付従契約論からも導かれる。という構成である。被告の反論はまだないが、大学の自主決定権の行使だという反論が予想される。この事件は、少子化のもとで入学者の減少となった大学がリストラ専門家を役職に入れて行った大学リストラ校舎廃止の一環である。本来、補助金を出した滋賀県と守山市がなすべき大学存続を求める訴訟を学生が代わって提起したのである。

 今後も同種事案が発生すると思われるが、勝訴の先例を勝ち取りたい。しかし、初めての事例なので、判例もなく、「在学契約」理論を強化する必要がある。団員から有益なアドバイス、教示をお願いしたい。


投稿者 管理者 : 2004年12月17日 00:54

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi311/mt/mt-tb.cgi/257

コメント