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2005年01月19日

横浜市立大、当局提示の勤務条件等案に関する教員集会声明

横浜市立大学教員組合、「教員組合週報」(2005.01.17)より

1.11教員集会 当局案に関する声明

 今月11日、瀬戸キャンパスにて、当組合主催により、横浜市立大学教員の集会が開催され、50名以上の教員の参加のもと、先月28日に提示された当局の勤務条件等案に関する討論が行われました。その結果、全会一致で下記の声明が採択されました。
 当局案の任期制、年俸制、就業規則、教員評価制度等のさまざまな点での不当性と根拠のなさを指摘し、当局に対して案の変更と、組合との誠実な交渉を要求する内容となっています。
 当局案の主要な部分がいずれも、教員の自律性を奪い、学問の自由を破壊すること、労働条件の不利益変更にあたること、組合との誠実交渉義務を果たしていないことが、おもな論点となっています。
 なお、集会においてはそのほかにも、組合員には、労働条件の不利益変更にあたる有期雇用契約への変更を拒否する権利があり、その場合、現行と同様の期間の定めのない雇用が継続することが法によって定められていることなどが、あらためて確認されました。また、教員として組合員としての今後の闘い方が検討され、今後、当組合を中心に、機動的に運動を展開することが確認されました。

当局提示の勤務条件等案に関する教員集会声明(全文)

 昨年12月28日、当局が教員組合に対し提示した勤務条件・就業規則等の案は、以下に述べるようにきわめて重大な問題を抱えている。
 まず全体として、学問の自由を始めとする大学において守られるべき原則を尊重する姿勢を欠いており、大学の学問・教育の正常な運営を破壊するものである。このことは教員の権利だけではなく、学生の受ける教育内容・学習環境を悪化させ、また、大学の知的営為を通じての社会への貢献を阻害するものでもある。
 次に、教員の労働者としての権利の観点からいえば、このような重大な労働条件の不利益変更であって、許すことはできない。また、その他具体面や手続き上も、法的に必要な説明と具体的条件の提示が欠けているなど、数えきれないほど多くの問題点がある。以下、特に重要な点を挙げる。
 当局案のような全員を対象とする任期制は、教員の雇用を著しく不安定化させることによって、自由な研究・教育活動を脅かす制度であり、大学の教育・ 研究をいちじるしく阻害する有害な制度以外のなにものでもない。
 また法的にも根拠が欠けた脱法的な制度であり、その実現が許されるものではない。当局は任期制導入を、大学教員等に関する任期法(以下「任期法」)の 「精神に則り」つつ、労働基準法第14条に拠るものとしているが、任期法は任期制を一部の職のみに限定的に導入することを定めるものであって、全教員を対 象として任期制を導入することは、同法から逸脱している。しかも大学の教員に関して任期制を導入する場合には、特例法としての任期法が適用されなければ ならず、労働基準法第14条を適用することはできない。
 任期制の内容は、「『普通にやっていれば再任する』しくみ」などと曖昧な表現があるのみで、この制度がどのようにして労働条件の不利益変更とならないのかが示されていない。また、この任期制がどのようにして、公正、客観的に透明性を持ったかたちで運用されるのかが、まったく示されていない。
 次に年俸制を含む給与制度も、収入を不安定化させる、労働条件の不利益変更をもたらすものであり、その運用の公正性、客観性、透明性がどのように確保されるのか説明されていない。
 教員評価制度も同様であり、また、任期制・給与制度との関連も明確に説明されてはいない。
 さらに、勤務条件を具体的に定めるべき就業規則においては、教員の活動を不当に拘束する一方で、使用者側の裁量権限が著しく大きなものとなっており、不公正である。
 また、任期制・給与制度・教員評価制度と同様に、本来労働条件として示されるべきことがらが示されておらず、そもそも勤務条件を提示すものとなっていない。例えば、就業規則の概要のなかの重要な項目の多くが、その具体的内容を下位の諸規定に委ねるものとなっておりながら、それら下位規定の内容が示されていない。
 法の定めるところにより、労働条件の重大な変更にさいしては、不利益変更を行わないこと、組合との誠実な交渉を行うなど適正な手続きを踏まえることが不可欠である。当局側が新制度導入をめざしている本年4月1日を目前とするこの時期に至ってなお、当局は、教員に対して勤務条件を説明することを怠りながら、杜撰なしかたで新制度を導入しようとしているのである。このような態度はまた、教員組合と誠実に交渉するという法的義務を怠るものでもある。
 われわれは、労働条件を不利益に変更し、教員の自律性を奪い、ひいては大学を破壊する当局案を許さない。横浜市立大学学長、同事務局および横浜市大学改革推進本部には、提示の案を改め、教員の活動の自律性を侵害せず、労働条件の不利益変更のない労働条件を提示すること、また、これまでの不誠実な態度を改めて、具体的な労働条件案の提示、説明をしつつ教員組合と誠実に交渉を行うことを強く要求する。

 2005.1.11横浜市立大学教員集会参加者一同

投稿者 管理者 : 2005年01月19日 01:22

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