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2005年02月02日

私立大学法人の財務状況、「平成16年版 今日の私学財政」より 厳しい経営状況の学校法人

日本私立学校振興・共済事業団
 ∟●「月報私学」No.86, (2005/02/01)より一部抜粋

平成十五年度決算集計から
大学法人・短期大学法人・高等学校法人の財務状況

はじめに

 昨年十二月に、私学事業団では『平成十六年度版今日の私学財政』を刊行しました。
その集計結果をもとに、十八歳人口のピークであった平成四年度から十五年度までの学校法人の財務状況の推移を分析します。
景気はややト向き傾向にあるとはいうものの少子化は一段と進んでおり、引き続き学校法人の財務に深刻な影響を及ぼしています。

大学法人
大学法人(全体)

…… 図1-1の人件費比率は、人件費の帰属収入に対する割合を示します。帰属収入とは、学校法人の負債にならない収入であり、人件費には、教員及び職員人件費、役員報酬、退職給与引当金繰入額等が含まれます。消費支出の中では最大の比重を占めてお1厳しい経営状況の学校法人1り、この比率が高くなると、消費支出全体を大きく膨張させ収支の悪化を招きます。また、その性格上、一旦上昇した比率を低下させることは容易ではありません。
 この人件費比率は、十四年度初めて五〇%を超えましたが、十五年度は○・ニポイント下降しました。帰属収入が伸び悩む中、人件費を圧縮又は抑制した結果が表われています。
 学生生徒等納付金の帰属収入に占める割合を表す学生生徒等納付金比率は、五〇%台で推移しています。学生生徒等納付金は、帰属収入の中で最大の比重を占めており、学校法人にとって、補助金や寄付金と比べて第三者の意向に左右されることの少ない重要な自主的財源です。十五年度は十四年度に比べて○・五ポイント下降しました。学生生徒等納付金以外の収入では、事業収入が年々増加しています。
 人件費依存率は、人件費の学生生徒等納付金に対する割合を示します。これは、四年度の九二二%から減少傾向でしたが、十五年度では八八・五%となっています。学生生徒等納付金が伸びない中、人件費も抑制されています。
 消費支出比率は、消費支出の帰属収入に対する割合を示します。消費支出には、人件費、教育研究経費管理経費、借入金等利息等が含まれます。四年度からなだらかにト昇していましたが、十五年度は十四年度に比べ○・ニポイント改善しました。
 表1-2は、消費支出比率が一〇〇%以トの大学法人数を示しています。この比率が一〇〇%を超えた場合は、基本金組入前で既に帰属収支差額が支出超過であり、著しく経営が窮迫していることを意味します。
 消費支出比率一〇〇%以上の法人の割合が七年度以降増え続け、十二年度に大学法人の一割を超え、十四年度以降は全体の四分の一以トに増加しています。学生生徒数の減少により、納付金収入を含む帰属収入が縮小して、消費支出を帰属収入で賄えない法人が増えていることがわかります。多額な資産処分差額による一時的な消費支出の急増の例もありますが、消費支出比率が一〇〇%以トの法人数が年々増加してきた状況は、多くの大学法人の収支が確実に悪化していることを示しています。自己資金(基本金+消費収支差額)を減少させる法人が増加し、深刻な状況が生まれています。……


投稿者 管理者 : 2005年02月02日 01:27

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