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2005年02月07日

大学評価学会「2006年問題特別委員会」、12月6日国際人権活動日本委員会・外務省との懇談・要請についての報告

大学評価学会暫定ホームページ
 ∟●大学評価学会、通信第4号(2005年2月5日)

12.6懇談・要請についての報告

2006年問題特別委員会

 2006年問題特別委員会では、2004年12月6日に、国際人権活動日本委員会(午前)と外務省(午後)を訪問しました。これには、田中昌人委員長のほか、重本直利、細川孝の専門委員、他に2名の会員が参加しました。
 国際人権活動日本委員会(以下、委員会)は、懇談との位置づけで訪問しました。事務局次長の小林靖夫氏、井川昌之氏が対応してくださりました。冒頭で田中代表から、大学評価学会の概要と「2006年問題」へのとりくみを説明しました。続いて、国際人権活動日本委員会から、設立以降の経緯について、活動は1993年(国連経済社会理事会へのレポート提出の年)からスタートし、当初は自由権規約に関わる問題を中心にとりくんできたこと、国連からの指摘もあり社会権規約に関わる問題にもとりくむようになったこと、2004年2月に経済社会理事会の特別協議資格NGOとなったことなどが紹介されました。
 また、委員会が毎年行っている経済社会理事会への要請行動や、2001年8月に行われた社会権規約委員会第26会期の「日本政府第2回報告審査」の模様についてもお話しを聞くことができました。高等教育における無償教育の漸進的導入に向けたとりくについて、貴重なアドバイスを得る機会になりました。
 外務省では、大臣官房国際社会協力部人権人道課に要請を行いました。田中代表はまず、大学評価学会の概要と要請の趣旨を説明しました。これに対し、外務省の担当者からは、「近々に留保の撤回を行う状況にはない」との回答があり、これに関して、次のような説明がありました。
 厳しい財政事情の下で、人権関係の予算は後回しにされている。それでも言われなき差別については優先的にとりくみをすすめている。「留保」については、外交関係に関するウィーン条約にもとづいた適切な手続きにもとづいたものである。中等教育および高等教育における無償教育の漸進的導入については、文部科学省の政策的判断が行われた後に、財務省との議論が行われるであろう。外務省が対応するのはその後のことである。外務省の側から文部科学省に働きかけることは出来ない。日本ゆえに要求のレベルが高いということがあるだろう。すでに日本の大学進学率は世界有数であり、社会権規約に書かれた権利が実現できていないわけではないと考えている。
 これに対し田中代表は、「漸進的導入」の検討が必要ではないか、ヨーロッパでは20~30年の時間をかけてとりくんできている、留保をはずしたら何か不都合があるのか、と述べました。また、経済的状況による制約、経済的地位による教育的差別の実態を指摘しました。担当者からは、制度を変え、法律を変え、その後になって、最後に留保が撤回される、との発言がありました。
 重本委員は、ヨーロッパの考え方、理念と日本は大きく異なっていることを指摘しました。そして、文部科学省は無償化の理念そのものに疑義を感じているように思われるが、外務省はどうか、と質問しました。これに対しては、「国全体の予算配分の問題である」との回答でした。
 最後に、2006年の回答に向けて、次のような説明がありました。現在、自由権規約、拷問等禁止条約に関する報告書の作成が遅れており、これが終わった後に社会権規約の報告書にとりくむことになる。自由権規約、拷問等禁止条約と同じように、社会権規約の報告書作成に向けて必ずヒアリングを行う。ヒアリングについては、文部科学省と一緒にやることもあり得る。
 6月に行った文部科学省への要請の際に、「管轄は外務省」との反応であったことも、今回の要請のきっかけとなったわけでありますが、「留保」の撤回に向けて学問的な探究を深めると同時に、社会的な広がりをもったとりくみの重要性を改めて感じた次第です。(文責、細川)


投稿者 管理者 : 2005年02月07日 00:15

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