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2005年02月07日

飛び入学、3私大は出願ゼロ…試験実施を見送り

読売新聞(2/05)

 今春の入試から、優秀な高校2年生の大学入学を認める「飛び入学」制度を導入した成城(東京)、昭和女子(同)、エリザベト音楽(広島)の3私大が、いずれも出願者ゼロに終わり、試験の実施を見送った。少子化で大学間競争が激化する中、個性を打ち出す“秘策”と期待されたが、肩透かしを食った格好だ。

 既に実施している千葉大と私立名城大(名古屋市)は今回も着実に合格者を出しており、明暗が分かれた。

 「優れた学生に、早くから力を伸ばす機会を」と、文芸学部英文学科で導入した成城大。2月1日まで約1か月間、願書を受け付けたが、「該当者がいなければ仕方ない」と戸部順一学部長は残念そうだ。

 付属高校の3年生が大学の講義を聴講できる制度のノウハウを生かし、昭和女子大は人間社会学部福祉環境学科と生活科学部生活科学科で導入。エリザベト音大は「世界に通じる人材を」と作曲や声楽、楽器演奏などの分野で募集した。

 「PR不足だった」(昭和女子大)、「大学院修了程度の実力というハードルが高かったのかも」(エリザベト音大)など、各大学とも分析に躍起だが、教育評論家の尾木直樹さんは「少子化の今は、大学のブランド力を高めないと学生は集まらない。飛び入学だけでは魅力に乏しく、この結果では宣伝効果としてもマイナス」と手厳しい。

 3大学とも来春以降も制度を続ける予定だが、尾木さんは「飛び入学は海外では理数系が主流。文系で実施するには、もっと効果やメリットを打ち出さないと」とも指摘する。

 飛び入学は千葉大が1998年度に初めて導入し、2001年度に名城大が続いたが、以後、実施大学が現れなかった。合格者が高校中退を余儀なくされるうえ、「教育効果が疑問」「エリートの青田買いにつながる」などの否定的な意見も少なくないためだ。優秀な生徒を途中で引き抜かれる高校側には、「東大合格者の実績が下がる」などの声もあるという。

 それでも、“先発組”の千葉大はこれまで25人が入学し、今年も理学、工学、文学の3学部に計7人が合格。理工学部数学科で実施する名城大も毎年2―5人の合格者を出している。東大や京大、米国などの大学院に進む卒業生も多く、千葉大では大学院にも飛び入学した学生がいた。

 千葉大理学部物理コース3年の川口孟(たけし)さん(20)は2001年度、「受験勉強だけの1年間を送りたくない」と飛び入学。航空技術者を目指し、来春の大学院進学を目指している。

 飛び入学生を指導している大高一雄・千葉大教授は、「当初は学内にも反発があったが、卒業生の進学実績などが評価され、かなり定着してきた。優秀な学生相手に質の高い授業ができるのは、教員にとっても喜びだ」と話している。

 ◆飛び入学=特に優れた資質を持ち、高校に2年以上在学した生徒に大学入学を認める制度。1997年に数学と物理学の分野に限って制度化され、2001年の学校教育法改正などで、対象分野を問わずに実施できるようになった。入試では高校の推薦のほか、学力考査や面接、小論文などを課す大学が多い。


投稿者 管理者 : 2005年02月07日 00:05

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