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2005年02月09日

東北大学職員組合、「総長候補者の選考及び総長解任の申出に関する規程」の撤回と公正で民主的な総長選考方法の制度化を求める署名活動

東北大学職員組合
 ∟●「総長候補者の選考及び総長解任の申出に関する規程」の撤回と,公正で民主的な総長選考方法の制度化を求める署名活動

国立大学法人東北大学
総      長  吉本 高志 殿
理      事       各位
総長選考会議議長  小田  滋 殿
総長選考会議委員       各位

私たちは「国立大学法人東北大学における総長候補者の選考及び総長解任の申出に関する規程」に反対し,その制定強行に抗議するとともに,以下の3項目を要求します。

1.総長選考会議および吉本総長は,多くの反対意見を無視して1月24日に制定を強行した「国立大学法人東北大学における総長候補者の選考及び総長解任の申出に関する規程」を一旦全面的に撤回し,次期総長を選ぶにあたって現総長の意向が反映されることのない,公正で民主的な総長選考および解任に関する規程案を作成し,国立大学法人法21条を遵守して教育研究評議会において十分に審議した上で再決定すること。
2.国立大学法人法第12条第7項にある「学長の選考は,人格が高潔で,学識が優れ,かつ,大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する者のうちから行わなければならない」を実現するためには,理事や教育研究評議会評議員だけではなく,一般教職員の意向をも問うことが是非とも必要である。それゆえ,再度作成される総長選考および解任に関する規程案には,総長選考・解任の過程における,一般教職員による「意向投票」の規定を必ず盛り込むこと。
3.再度作成される規程案の原案作成にあたっては,国立大学の法人化前に行ったように学内ネット等の手段を用いて広くパブリック・コメントを求めた上でこれを原案に反映させ,学内コンセンサスの形成に努めること。

署名者は東北大学の教職員に限ります.学生・大学院生の皆様,学外の皆様の協力を拒むものではありませんが,今回は声援のみ頂くこととさせて下さい.

解説とご協力のお願い

 東北大学で働くすべての皆さん!

 1月24日に開催された本学の役員会懇談会は,学内に存在する多くの反対意見を無視して,昨年12月13日の東北大学総長選考会議において作成された「国立大学法人東北大学における総長候補者の選考及び総長解任の申出に関する規程(案)」の,原案のままの制定を強行しました。この規程案は,12月21日の教育研究評議会において単に報告されたに過ぎないものであるにも拘らず,それを「議事」として処理するという脱法的手続きによって強引に教育研究評議会を通過した形を装わせているものであり,極めて重大な手続き上の問題を残したままで制定されたものです。しかも,1月25日付けの「朝日新聞」では,12月21日の教育研究評議会で多くの反対意見が出されて同意が得られなかったことについて,大学側は「選考方法を決めるのは,あくまで選考会議」と言い,しかも,「吉本総長の決裁」でこの規程の導入を決めたと報道されています。しかし国立大学法人法第12条は,最終的には学長選考会議が学長を選考すること,学長選考会議が「議事の手続その他学長選考会議に関し必要な事項」を定めることだけを求めており,総長選考方法とその決定方法は各大学にまかされているのです。その一方,法人法第21条は,教育研究評議会を「国立大学の教育研究に関する重要事項を審議する機関」と規定しており,ここでの審議を無視することは違法の可能性すらあります。同条第3項には教育研究評議会が審議する事項として「学則(国立大学法人の経営に関する部分を除く。)その他の教育研究に係る重要な規則の制定又は改廃に関する事項」が挙げられていますが,法人化後の国立大学においては「学長の教育研究に関するリーダーシップ」が一層喧伝されていることを考え合わせれば,総長候補者の選考や総長解任の方法がこれに該当しないはずはないからです。

 また,この「規程」による総長選考方法の内容は,経営協議会および教育研究評議会から各5人以内で推薦された総長候補者および本学の専任の教授・助教授30名以上の連名で推薦された者(第5条)について,総長選考会議が「前条に基づき推薦された総長候補者を基礎として,最終の総長候補者1人を決定する」(第6条)というもので,一般教職員による「投票」が一切規定されていないのみならず,また,総長選考会議には,いかなる経緯で最終候補者を1人に絞り込んだかを公表する義務すら全く課されていません。これは「総長の選考は密室で行う」と宣言するに等しい行為です。

 しかも,国立大学法人法20条・21条の定めにより総長と一部理事は教育研究評議会と経営協議会の双方において構成員となることができ,しかも,同12条の規定により,総長選考会議が決定さえすれば,総長選考会議自体の委員になることすら可能なのです。さらに,同13条によって,そもそも理事はすべて総長が任命することが定められています。これは,次期の総長を選考するに当たって現総長の意向が幾重にも働くことを十二分に可能にする,極めて不公正な制度であると言わざるを得ません。

 このように,「規程」による総長選考方法は,構成員にも社会にも開かれていない,独裁的・反民主的なものであり,法人経営に求められる説明責任に真っ向から反するものです。東北大学でこのような規程が制定される一方で,多くの他大学では,同じ国立大学法人法に基づきながら一般教職員の「意向投票」を盛り込んだ規程を制定しているのです。

 私たちは,総長,理事,総長選考会議議長,同委員に対して,この「国立大学法人東北大学における総長候補者の選考及び総長解任の申出に関する規程」を撤回し,あらためて公正で民主的な総長選考方法を制度化するよう要求します。署名へのご協力を宜しくお願いいたします。

2005年2月

学長選廃止撤回を 東北大 職員組合が署名活動

河北新報(2/08)

 東北大が学長選挙を廃止し、学長選考会議が審査、決定する新たな学長選考方式を決めたことを受け、同大職員組合は8日、学長選廃止を撤回し、教職員による学内投票を含めた選考方式とするよう求める署名活動を学内で始めた。今月末まで続け、吉本高志学長と小田滋・学長選考会議議長に提出する。

 経済学と情報科学の各大学院研究科も、新方式導入の理由や選考過程について問う意見書を既に選考会議に提出しており、新選考方式を巡って今後学内で反発や議論が広がりそうだ。
 組合は、新方式には学内投票が盛り込まれず、選考会議が候補者を1人に絞り込む経緯を公表するかどうかが規定されていないことを挙げ、「『学長選考は密室で行う』と宣言するに等しい行為」と批判している。

 その上で、候補者の大学運営への見解などを公表したうえで学内投票を行うことや、広く学内外の意見を募り、選考方式に反映させるように求めている。
 国立大学法人法は学長や理事(副学長)が選考会議の委員になることを認めている。組合は「次期学長を選ぶに当たり、現学長の意向が強く働くことを可能にする不公正な制度」と指摘している。
 批判に対し、同大学長選考会議事務局は「選考のプロセスはこれから詰める。議論を随時学内に公表するなど、透明性確保に努めたい」と説明している。

[新たな学長選考方式]学内の経営協議会(学内、学外委員各13人)と教育研究評議会(学部長ら52人)が各5人を推薦。両機関の代表12人でつくる学長選考会議が1人に決める。教授、助教授30人以上の連名の推薦も可能。候補資格を学外に広げ、現在1期4年(再選時は2年延長)の任期は1期6年とした。


投稿者 管理者 : 2005年02月09日 01:17

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