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2005年02月09日

日本歴史学協会、「建国記念の日に関する声明」

日本歴史学協会
 ∟●建国記念の日に関する声明(2005年1月20日)

日本歴史学協会は,79の学会と数百人の個人からなる「歴史学の日本代表的団体」です。特定の立場ではなく,幅広い人が参加している団体であるだけに,この声明には重みがあります。(ホームページ管理人)

建国記念の日に関する声明


 日本歴史学協会は、一九五二(昭和二十七)年一月二十五日、「紀元節復活に関する意見」を採択して以来、「紀元節」を復活しようとする動きに対し、一貫して反対の意思を表明してきた。それは、私たちが超国家主義と軍国主義に反対するからであり、「紀元節」がこれらの鼓舞・浸透に多大な役割を果たした戦前・戦中の歴史的体験を風化させてはならないと信じているからである。しかるに、政府はこのような声明や申し入れにもかかわらず、一九六六(昭和四十一)年、戦前の「紀元節」と同じ二月十一日を「建国記念の日」に決定し、今日に至っている。
 私たちは、政府のこのような動きが、科学的で自由な歴史研究と、それを前提とすべき歴史教育を困難にすることを憂慮し、これまで重ねて私たちの立場を表明してきた。
 今日の状況をみると、現行の中学校社会科教科書の中に、「神武東征」や「神武天皇即位」が歴史叙述の流れの中にそのまま挿入されているものがあり、行政などの力によりその採択を進める動きが強まっている。また最近、各地の教育委員会が学校式典での「国旗掲揚」・「国歌斉唱」を法的拘束力をもって強制する動きが顕著となっている。それとともに、「国を愛する」ことを教育の目標に掲げ、行政による教育への介入を容認する教育基本法「改正」が目指されるなど、個人の内心の自由が脅かされ、教育が国民の国家主義的動員に利用される懼れが強まっている。
 私たちは、歴史研究・歴史教育に従事する者として、歴史学はあくまで事実に基づいた歴史認識を深めることを目的とする学問であり、歴史教育もその成果を前提として行われるべきであり、政治や行政の介入により歪められてはならないことを、あらためて強調するものである。

二〇〇五(平成十七)年一月二十一日

日本歴史学協会
会長   近藤 一成

日本歴史学協会
学問思想の自由・建国記念の日問題特別委員会
委員長  池  享

投稿者 管理者 : 2005年02月09日 01:16

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