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2005年02月14日

知事が学長再任に難色 高知工科大の理事会混乱

高知新聞(2/12)

 高知工科大理事会(理事長=橋本大二郎知事、12人で構成)は11日、臨時理事会を開催。岡村甫学長(66)の任期満了=3月31日付=に伴う次期学長人事を審議したが、理事長の橋本知事が岡村学長と東京の私立大名誉教授の2人を候補者として提示した上で、同名誉教授を推す考えを示したため混乱。結論が出ず、今月28日に郵便投票(無記名)で決定することになった。現段階では理事の多数が推す岡村学長の再任が有力だが、岡村学長続投の場合も大学運営に火種を残しそうだ。

 同大学長は理事長が候補者を選考し、理事会に諮って決定する。ただ、大学の内規では学長候補者選考委員会が議論し、適任者を理事長に報告する仕組みになっている。

 選考委は学内選出の委員4人のほか、理事長指名の理事と評議員5人の計9人で構成。学内から推薦のあった岡村学長と同名誉教授について1月に投票し、岡村学長が過半数を獲得した。

 これを受け、この日高知市の高知新阪急ホテルで開かれた臨時理事会(非公開)には橋本知事のほか、同大教職員の理事5人、宮地貫一・元文部事務次官ら学外理事5人の11人が出席。岡村学長を除く10人で学長選任議案を審議した。

 出席者によると、橋本知事は冒頭、岡村学長と同名誉教授を候補者として提示し、現在の大学の収支や学生確保の問題点などを指摘。現体制では「(全大学・短大の定員と志願者がほぼ同数となり、学生確保が極めて困難となる)『2007年問題』などに対応できない」などとし、同名誉教授を推す考えを示した。

 これに対し、岡村学長を支持する理事は「選考委決定を軽んじるのか」などと反発。橋本知事は「選考委の議論は重いものがあるが、最終決定は理事会で」と主張し、論議は平行線をたどった。

 結局、希望する理事は投票までに同名誉教授と面談した上で、28日必着で郵便投票。その結果を理事会の議決とすることを申し合わせた。

 「現状に問題ある」 橋本大二郎知事の話 大学経営の今後と、大学全入時代をどう生き残るかを考えた時、安易にこのままの運営を続けていいのか。新しい選択肢を含めて議論すべきではないか。その考えを理事に示した。大学の現状の問題点はるるある。

 内部のあつれき一因?

 次期学長人事をめぐって混乱した11日の高知工科大の臨時理事会。平成9年の開学以来、表だったトラブルもなかっただけに、理事長の橋本大二郎知事が学長続投に「待った」をかけるという事態に、大学関係者は不安を募らせている。

 岡村甫学長は13年に就任以来、文部科学省から予算の重点配分を受ける「21世紀COE(卓越した研究拠点)プログラム」の獲得に導くなど一定の実績を挙げてきた。しかし、橋本知事は満足していなかった。

 この日、橋本知事は同大幹部がはじいた大学の経営収支の見通しを解説。大学資産の減価償却を考えれば今後、赤字体質になることを説明した。さらに教育研究も含め、今後の同大の方向性をまとめた中期計画にも不満を漏らしたという。

 一方、教職員の中には「今回の混乱は、理事長の信望の厚い一部幹部と学内の主流派のあつれきが一因」と指摘する声もあることも事実だ。

 現時点では教職員も理事も岡村学長の支持者が多く、ある職員は「岡村学長の運営も完ぺきではないが、特段の失政があったわけではない。理事長はなぜいきなり、はしごを外そうとするのか」といぶかる。

 理事の一人は「最終的には現職の続投になるだろうが、今後、大学や理事会の運営に影響するかもしれない」。教員の一人も「今回の混乱が入試に影響しなければいいが」と心配する。

 当事者の岡村学長は「自分はまな板のコイ。決定に従うだけ」と複雑な表情で話した。


投稿者 管理者 : 2005年02月14日 00:47

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