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2005年02月14日

大学の新産業育成度調査

大学の新産業育成度調査、教員のVB参加、倍増―大学間競争、研究事業化促す

日経産業新聞(2/13)

 日本経済新聞社が実施した二〇〇四年の「大学の新産業育成度調査」によると、ベンチャーの運営に参加している教職員数は七百九十二人で前回調査(四百十七人)に比べ二倍近くに増加した。教職員が運営に参加するベンチャー企業の数も六百二社と同百三十九社増えた。国立大学法人化など大学間競争の激化を背景に、研究成果の事業化への意欲が一層高まっている。(関連記事3面に)
 日本の大学教員は国公立私大を合わせて約十五万八千七百人(二〇〇四年五月時点、文部科学省調べ)。一%にも満たないだけに、ベンチャー経営に参加する教員数はまだ増える可能性が高い。
 大学別では大阪大学が六十一人でトップ。伝統的に実学重視の研究風土が特徴で、森下竜一客員教授が創業したアンジェスMGが上場企業となるなど成功事例もあり研究者の起業意欲は高い。文科系OBらが中心となって構築した経営ノウハウや人材の供給体制、地場有力企業各社が出資したVBファンドなどを巧みに活用し、二十代の若手OB主導で起業するベンチャーが目立つ。
 二月にはアンジェス、総合医科学研究所など阪大発ベンチャー二十四社と研究者、OBらが集まり、産学連携組織「青い銀杏(いちょう)の会」を発足。金融機関や企業とのネットワークづくりや採用活動を通じ、さらなる勢力拡大を狙う。大学本部も三月から職員を対象に産学連携や知財管理の学内ルールを学ぶ研修会を開き、教員のサポート体制を強化する。
□  ■
 早稲田大学は二〇〇一年に設立した学内の起業支援施設「研究開発センターインキュベーション施設」で入居企業の入れ替えを毎年実施。〇四年は原則入居二年を超えた十社近くが、建築構造物の健全度を診断するキーパース(東京・新宿)など同大教職員・学生の運営する企業と入れ替わった。
 同大インキュベーション推進室は「経営コンサルタントやベンチャーキャピタリストが支援する仕組みであることが広く知れ渡り、起業を目指す教員はますます増えている」と話す。
 各大学は起業支援を進める一方で、企業の利益追求と教育上の倫理・責任がぶつかるのを避ける「利益相反規定」の作成も始めた。今回の調査では二二・〇%が指針を「作成済み、または作成中」と回答した。
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 東京農工大学は昨年四月の法人化に合わせて作成。関連企業の株式保有や寄付を受け取る行為に際して開示審査の必要性の有無を一覧表で分かりやすく表示。同大研究支援産学連携チームは「ガイドラインを配布しただけでは即座に内容と重要性を理解できない」として、監査法人から講師を招き〇五年度から定期的に勉強会を開く計画だ。
 教員が運営に参加するベンチャー企業数のランキングには、ヒト肝臓マウスを使った新薬開発受託サービスを手がけるフェニックスバイオ(広島県東広島市)などバイオ関連ベンチャーの多い広島大学も上位に入った。阪大は一社に複数の教員が運営にかかわる例が多いため、教員数に比べ企業数が少ない。


新産業育成度調査―民間と共同・委託研究、早大750件トップ

日経産業新聞(2/13)

 日本経済新聞社の「大学の新産業育成度調査」で尋ねた二〇〇四年度計画の民間との共同研究・委託研究件数では早稲田大学がトップになった。産学連携の機運の高まりから件数自体は着実に伸びている大学が多く、国立大学では法人化により態勢が整ったことも追い風になっている。特に医療分野などで伸びが目立つようだ。(1面参照)
 共同・委託研究は公益法人や地方自治体など企業以外との案件を含み、大学によって算出方法が異なるため同一基準での比較が難しい。一位となった早大は〇四年度の共同・委託研究の件数が前年度比九・六%増の七百五十件となる見込み。
 医学部は持たないが、昨年に「先端科学と健康医療の融合研究拠点の形成」とのテーマで文部科学省の戦略的研究拠点育成事業(通称・スーパーCOE)に採択されたこともあり、理工学部を中心とした医療・バイオ分野などでの伸びが活発になったとしている。
 ただ「件数の割には受け入れ資金額が伸びない」(産学官研究推進センター)と指摘しており、今年度の研究資金(寄付金含まず)全体では三%前後の増加で三十八億円にとどまる見通し。
 大阪大学は「医学部と工学部の伸びが目立つ」という。〇一年に戦略的に工学研究科に新産業創出などを狙いとしたフロンティア研究機構を設置しており、こうした成果が表れてきたとみている。来年一月にはバイオテクノロジーをコンピューター部門などと融合した研究を進めるための新研究棟を開設する予定だ。
 東大は〇四年度の計画件数を明らかにしていないが、〇三年度実績は千三百七十四件(企業以外を含む)だった。

新産業育成度調査―海外拠点、1位は東北大、31校開設済み

日経産業新聞(2/13)

 海外拠点の有無を聞いたところ、七・六%に当たる三十一校がすでに拠点を持っており、計画中を含めると一五%近くになる。地域別では計画中を含めて北米と中国が三五・〇%で並んだ。
 設置理由は「現地の大学・研究機関との研究」が六六・七%で最多。「在校生の留学への対応」(五五・〇%)、「留学生の確保」(五〇・〇%)と続く。計画中と答えた二十九校のうち、十一校が中国、六校が東南アジアへの開設を予定しており、アジア重視が鮮明に出ている。
 トップの東北大学は中国など海外十一カ所に拠点を持ち、さらに北京の清華大学内にも設置を計画中。金属材料研究所を中心に英ケンブリッジ大学、米ハーバード大学内に事務所を構え、情報の収集などに利用してきたが、法人化などを背景に全学的な活用拠点としていく考えだ。
 早稲田大学はシンガポールと北京に拠点を持ち、来年には上海にも復旦大学との連携拠点を設ける計画だ。
 ▼調査の方法 二〇〇四年十一月に全国六百八十九校の国公私立大学を対象に日経リサーチを通じて実施。四百八校(国立七十八校、公立四十六校、私立二百八十四校)から回答を得た。回収率は五九・二%。


投稿者 管理者 : 2005年02月14日 00:49

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