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2005年02月18日

[聞く]国立大学法人佐賀大の運営 佐賀大学長・長谷川照さん

西部読売新聞(2/16)

 ◆地方に学生呼ぶ時代へ 「授業料上げず、質下げず」
 行政のスリム化の一環として、国立大は2004年4月から法人化された。大学が自主性を獲得するための独立行政法人化だが、18歳人口の減少や財源確保などの問題が山積している。県内唯一の国立大である佐賀大はどのように対処していくつもりなのか。同大のかじ取りをしている長谷川照学長に話を聞いた。
 ――少子化が進んでいますが、対策は。
 これまでは地方から都心の大学に出て行くというのが定番だったと思いますが、これからは逆になると考えています。地方には青空と大地があり、人がいて、文化がある。科学技術の進歩に見合った心の豊かな人間を育てるためには、そのような地方の環境が最も適しています。
 都心から地方に学生を呼ぶ努力をしなければなりません。佐賀大は昨年十月、東京に東京オフィスサテライトを作り、大学の宣伝や企業への呼びかけを行っています。ほかの九州・山口の国立大と協力して、東京の千三百の進学校に大学説明会のパンフレットを投げ込みました。十人しか来なかったのですが、あきらめていません。これからも続けていきます。
 国際化も重要です。中国や韓国の大学と佐賀大の学生が交流して、両大学で単位が半分ずつ取れるようにすれば、就職市場も広がると思います。
 ――財源はどのように確保していきますか。
 財源の問題は二〇〇五年度の一番の課題で、これからが踏ん張りどころ。授業料を上げてやりくりするというのは、経営とはいわないと思うんです。だから佐賀大は来年度の授業料を上げなかった。都心から学生を呼ぶには、それも魅力の一つのはずです。教職員の超過勤務を減らすなど運営の効率化をすることで、大学を支えていくべきでしょう。優れた教育研究をすることで、国に教育研究費を認めてもらうよう努力する必要もあります。
 ――優れた教育研究のための具体的な方針は。
 現在、修士課程は全五学部にありますが、博士課程があるのは医、理工、農学部だけ。二〇〇七年度には、医、経済、教育、理工を融合させた総合大学院を設置します。これからは専門だけではなく、別の視点で専門を見るという目が必要な時代です。
 学部では、理工で、海洋温度差発電、シンクロトロン、有明海に関する研究をさらに深め、文化教育では地域貢献をやっていきます。医学部は面接を重視して、人の気持ちが分かる医者をつくっていくべきだと思っています。
     ◇
 大学も自己責任が問われる時代。優れた教育と健全な経営ができなければ淘汰(とうた)されても仕方がないだろう。「教育は誰にでも平等。教育の質は下げず、授業料は上げずに経営努力で乗り切りたい」という長谷川学長。その力強いリーダーシップのもと、佐賀大のあるべき姿について教職員も真剣に、大いに議論してもらいたい。(浴野朝香)
 
 〈独立行政法人化〉 文部科学省が2001年6月、「国立大の構造改革方針」を打ち出した。少子化や国の財政難を理由に「大学の大幅削減を目指す」とし、04年4月から独立行政法人化が始まった。
 法人化により、各大学に配分される運営費交付金は使途を特定せず、大学の判断で使えるようになった。教職員の身分は非公務員型となり、給与や勤務時間は雇用契約で決める。また、教育や研究のあり方について6年間の中期目標を立て、文科省の認可を得て実施。目標をどの程度達成したか、大学評価・学位授与機構と、第三者も入れた評価委員会による評価を受ける。評価は交付金額の算定に反映される。


投稿者 管理者 : 2005年02月18日 01:20

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