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2005年02月21日

[家計2005・制度改定に備える](4)国立大授業料値上げ

東京読売新聞(2/19)

 ◆奨学金の利用考えて 「親が負担」見直し
 東京都世田谷区の主婦、芳恵さん(41=仮名)は気が気でない。長男(18)が受験する東京大学理科一類の入試が、六日後に迫っているからだ。「私立を併願せず、東大一本。浪人も覚悟していますが、今はとにかく、体調万全でその日を迎えさせたい」と話す。
 受験に合格すれば、もちろんうれしいが、気になることもある。新年度から東大の年間授業料が1万5000円値上げされて、53万5800円となるからだ。
 同大広報課は「国立大学の年間授業料の目安となる『標準額』が引き上げられたのに伴う措置です」と説明する。
 国立大学が昨春に法人化された際、これまで国が一律に定めていた授業料の決定権は大学側に移った。その一方で国は、授業料の目安となる標準額を設けた。これが今回、1万5000円値上げされた。東大以外の国立大学も、大半が標準額通りの値上げを行う方向だ。
 国立大学の授業料は二年に一度の割合で値上げされており、デフレ下でも教育費負担は膨れ上がる。
 芳恵さんは「私立大学の理系に進学するのに比べれば、家計への負担は少ない」と話すが、長男の下には高校一年の二男、中学二年の長女が控えており、今後さらに教育費は増加しそうだ。
 しかも、最近の傾向としてファイナンシャルプランナーの紀平正幸さんは「晩婚化などの影響で、子どもが大学に進学するという最も教育費のかかる時期に、親の年齢が五十代半ばに達するケースも珍しくない」と話す。この年代は給料が伸び悩んだり、リストラの不安にさらされたりしており、教育費の負担で家計が赤字になりがちという。
 紀平さんは「親が教育費の面倒を全部見るという発想では、自分たちの老後資金が準備できなくなる。これからは奨学金制度の利用など、子どもにも教育費を負担させる方法を検討してはどうか」とアドバイスする。
 四月からの制度改定の中には日本学生支援機構(旧日本育英会、東京)の育英奨学金の貸与人数枠拡大がある。二〇〇四年度の九十六万五千人から、六万九千人増の百三万四千人にまで広げるのだ。
 ほかにも、地方自治体や大学で、独自の奨学金制度を設けているところがある。親の所得や居住地など、それぞれ利用条件が違うので、こうした点の情報収集は、親が積極的に対応したい。
 「家計の実情を親子できちんと話し合うことも大事。そのうえで子ども自身の意思として奨学金を利用し、将来自分で返済すると決めさせれば、社会人としての自立を促す効果もあるのではないか」と、紀平さんは話している。


投稿者 管理者 : 2005年02月21日 00:17

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