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2005年02月25日

2月23日の国会行動について

■「意見広告の会」ニュース 号外31より

民主党が授業料問題の追及へ
 一参加者からの投稿

*衆議院文部科学委員会
 民主党の達増(たっそ)拓也議員が質問の中で国立大学の授業料問題についてふれた。達増議員は国立大学法人化法案の議論の際の遠山文部科学大臣の発言「私としては、学生にとって今回の法人化によって授業料が高くなってしまったり利用しにくくなったりということは、これは絶対避けなくてはいけません」を引き合いに出して、今回の突然の国立大学授業料値上げの理由と妥当性をただした。中山文部科学大臣は、今回の改定は、私立大学との格差是正などのために2年おきに行ったきた授業料改定の延長線にあるもので独立行政法人化とは関係するものではなく、遠山大臣の答弁の主旨に反するものでないと述べた。達増議員はさらに、政府の答弁で値上げをしないと言いながらすぐに値上げをするのは約束の不履行であり、私立大学との格差を問題にするのならば高等教育への支出をOECD諸国並みに引き上げるべきである、今後も授業料問題は取り上げていくと述べた。
 今回の達増議員の質問は、民主党の質問のトップで教育基本法「改正」、学力向上など多くの問題を取り上げたために、授業料問題について十分な時間が割けなかったが、達増議員は民主党のネクスト・キャビネットの「文科相」であり、その議員の質問という形で「授業料問題」が国会審議に乗ったということは、民主党の全般的な政策の中に「交付金・授業料問題」が組み込まれたとものと認められ、その意味は大きい。今後も授業料問題を追及するよう働きかけを続ける必要がある。

 授業料問題は達増議員の質問のみであった。
 質問者は中野、馳浩(以上自民)、河合正智(公明)、達増拓也、長島昭久、肥田美代子、笠浩史、城井崇(以上民主)、石井郁子(共産)、横光克彦(社民)の各議員であり、主な質疑事項は衆議院のホームページによると以下の10項目であった。
1.山梨県教職員組合の政治活動に関する警察等の捜査方針及び文部科学省の県教育委員会からの状況把握
2.教職員に対する評価の必要性
3.芸術家等に対する社会保障制度を確立する必要性
4.教育基本法改正案を今国会に提出する見通し
5.多くの国立大学法人が17年度に授業料標準額の値上げを行うことの妥当性
6.義務教育費国庫負担金の減額が教育の地域間格差に及ぼす影響
7.学習指導要領の見直し及びゆとり教育の継続についての考えの有無
8.学校評価制度確立の必要性
9.不登校児童生徒の把握状況及びその対策の改善の必要性
10.学校への不審者進入防止等の安全管理の現状と強化の必要性
 この中で、6,7,10の問題が多くの質問時間を占めた。23日は、2月16日の文部科学大臣の所信を受けての最初の質疑であり、議論がかなり総花的であった。

*衆議院予算委員会
 予算委員会の公聴会では国立大学に関連する話題は出なかった。なお、25日と28日に分科会が開催される予定。その後の予定は、地方公聴会を実施すれば、予算案の衆院通過は3月3日以降となり、自然成立はなくなるが、見通しはたっていない。参議院での議論を盛り上げるためには,自然成立させないことが重要である.

*討論・交流会
 傍聴行動の後で、衆議院第二議員会館で、国立大学関係予算・授業料問題討論・交流集会が開催された。同会には、大学院生も含めた大学関係者11名に加えて2月15日に予算委員会で質問をした石井郁子議員と平野秘書、また今回の国会行動でいろいろ便宜をはかっていただいた加藤尚彦議員事務所の肥後秘書も参加された。話され た主な論点は以下の通りである。
1.昨年末以降に急浮上してきた授業料問題は、問題点のわかりやすさもあり、意見広告などもあり、国会質問が出る状態にまで盛り上げてきた。これにより、国立大学の授業料は高すぎるという認識が国会議員の中でも広がっており、今後の国会での議論を注目する必要がある。
2.予算については付帯決議をつけることもできず、組み替えを行うことは決して楽ではないが、今後の衆議院文部科学委員会、参議院予算委員会、同文教科学委員会などで、より腰を据えた議論を行う必要がある。
3.授業料を含めてこの間我々が問題としてきた予算問題は、2月16日の国大協理 事会で述べられた「初期故障」のようなものではなく、法人の仕組みそのものに由来することをを鮮明にさせるとともに、「初期故障」をなくす道筋を文部科学省との協議に矮小化している国大協の姿勢を変えさせる。
4.文部科学省の授業料標準額の値上げ予定の通知に対して、詳細な財務分析をせず、学生や教職員に対する説明も不十分なまま、安易に値上げをしようとしている多くの 国立大学執行部の態度も批判されなければならない。
5.義務教育の国庫負担金減額の動きも国立大学の法人化と同じ構造と考えられるので、教育に対する国のあり方という点から共通する土俵で議論できる。また、私立大 学との格差是正論を打破するためにも私立大学との連携も重要。国立大学だけの問題に閉じていたのでは限界があるので、広い視点から運動を進めることが必要。
以上

衆議院文部科学委員会速記録(議事速報)抜粋

平成17年2月23日

○達増委員 では、次に国立大学法人の授業料値上げ問題について伺います。

 国立大学が国立大学法人になりまして、それで国会審議の際に、法人化してしまったら急に授業料値上げとかなるんじゃないかというような指摘もありました。これに対しては、おととしの参議院文教科学委員会で、遠山当時文科大臣が次のように答弁しています。「私としては、学生にとって今回の法人化によって授業料が高くなったり利用しにくくなったりということは、これは絶対避けなくてはいけないと思っています。」と。「絶対避けなくてはいけない」と遠山文科大臣が答弁している授業料の値上げが、何か突如起きてしまう。年額五十二万八百円から五十三万五千八百円、一万五千円の値上げであります。

 これは、国立大学法人への運営費交付金が削減され、その分授業料値上げ、というか、大学が授業料を値上げするということで運営費交付金を削減するというか、その辺はあうんの呼吸で行われる中、我慢して授業料を上げないところも幾つかあるようですけれども、ほとんどの国立大学法人が一万五千円ずつ一律に授業料を上げる。これはやはり、国立大学法人制度を導入する際に、まず基本的に、政府としては絶対やりませんと言っていたことをやっちゃっていることにはならないんでしょうか。

○中山国務大臣 国立大学の授業料標準額につきましては、従来から、高等教育の機会提供という国立大学の役割等を踏まえつつ、大学教育を受ける者と受けない者との公平の観点、あるいは私立大学の授業料の水準など、社会経済情勢を総合的に勘案いたしまして、結果としてほぼ二年ごとに改定を行ってきたところでございます。

 今回、十七年度からの授業料標準額を改定することとしておりますが、これは、これまでの経緯を踏まえまして、私立大学の授業料の状況等を考慮したものでございまして、適正な水準の範囲内にあるものと認識しておりまして、法人化を契機に授業料改定が大幅なものになったということではないと考えております。

 国立大学法人法の審議の際の遠山文部科学大臣の国会答弁は、法人化によって授業料の大幅な値上げとなることは避けることが望ましいという趣旨の発言、このように理解しておりまして、今回の授業料標準額の改定は、この答弁の趣旨に反するものではないと考えております。

○達増委員 義務教育国庫負担制度問題もそうですけれども、政府の中に二枚舌があってはならないと思うんですよね。負担はふやさない、また、国がきちっと負担すべきところは国が負担するという、そうならきちっとすべきであって、そう言っている一方で、そうじゃないことをしてみたりといかいうのは、これは教育上よろしくないことですし、憲法のもとで国としても非常にこれはよくないことだと思います。

 特に、日本は大学にお金がかかり過ぎる、個人負担が多過ぎる、公的な高等教育への支援が他の諸外国に比べても見劣りしているのが現状でありますし、奨学金にしても、五十万以上になってしまいますと、学費だけで奨学金も吹っ飛ぶくらいの奨学金しか今もらえていないのが実情なわけですから、まだ予算の方は可決していないわけでありまして、この問題については、予算の問題も含めて、まだまだここはあきらめずに取り組んでいきたいと思います。

(後略)


投稿者 管理者 : 2005年02月25日 00:47

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