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2005年02月25日

第2回東京都公立大学法人評価委員会

都立大の危機 --- やさしいFAQ(2005年2月24日)より

◎ 2005年2月24日:第2回公立大学法人評価委員会(1/14)の配布資料及び議事録が東京都大学管理本部の評価委員会のページに掲載された(2/22)。 第2回公立大学法人評価委員会(1/14)議事録(PDF)から,委員の発言と都の役人の返答がよく分かる。ちなみに,法人評価委員会のメンバーを復習しておくと:
  原島 文雄 (東京電機大学学長) <委員長>
  青木 利晴 (株式会社NTTデータ取締役相談役)
  柴崎 信三 (日本経済新聞社論説委員)
  仙波 春雄 (新日本監査法人代表社員)
  西尾 茂文 (東京大学生産技術研究所長)
  芳賀 徹  (京都造形芸術大学学長)
そして,公立大学法人評価委員会は,次のような位置づけ。
知事は,議会の議決を経て中期目標を定める。
法人は,中期目標に基づき中期計画を作成し,知事が認可。
中期目標・中期計画の作成にあたっては,評価委員会に意見を聴かなければならない。
評価委員会は,中期目標・中期計画に照らして,各事業年度及び中期目標期間(6年間)における法人の業務実績を評価。
評価委員会は,その評価に基づき,必要な場合は,法人の業務運営について改善勧告をすることができる。

COMMENT:芳賀氏(京都造形芸術大学学長)の知事よりの過激な発言が目立つ。青木氏(株式会社NTTデータ取締役相談役)はそれを積極的に援護,原島氏(東京電機大学学長)はこれまで深く関わった当事者として,もちろん基本構想支持派。この体制で法人の業務実績を評価し改善勧告を出すということは,「首都大学東京」が将来完全に東京都の行政をサポートする大学に変化する ことを予見させる。いろいろな問題発言がある中で,今回は3つの発言を取りあげる。
 1つは,宮下参事が「首都大学東京」成立過程を説明している部分。ようするに大学の教員なんて関係ないところで構想したことを認めている。2番目は,西尾氏(東京大学生産技術研究所長)が都立の大学の継続性についての発言をしている部分。ゼロから作った「新大学」ではない,ということを理解していない委員が多い中では唯一まともな発言。東京都が税金を使ってこれまで作り上げてきた都立の大学の研究教育資産を有効に引き継ぐという基本前提がない委員ばかり。そんなに「大都市問題」に特化した大学を作りたいなら,お金をかけてゼロから本当に新しい大学を作るべきだった。今現在在学する学生・院生や教員の権利をただ無視し,排除することを前提にするのは違法。 そして,最後に数ある芳賀氏の過激発言の内の1つから引用。この方は,「これからの大学運営はトップダウンに行って当然」(ボトムアップの民主主義的やり方は「古い」[と考えるので,石原都知事と意見が合う])という考え方の持ち主。

宮下参事: 1つは,この新しい首都大学をつくるに当たって,まず知事の公約があってそこから出発して,それでこういう理念で新しい大学をつくっていこうということで,文部科学省にもこういう構成で新しい大学をつくりますと,あるいは法人の定款はこういう形でやりますという中でここまできたわけでして,ですからそこを全部土台から変えるとなると,まず知事の公約から始まってますので,そこまではちょっとまっさらにしてというわけにはいかないと思うんですが,今 ,本部長が申し上げたように,これはこれからずっと6年ごとに目標を定めていくわけですから,将来に向かってどうあるべきかというのは並行して議論していく必要があるかと思います。(P. 15)
西尾委員:… 1つは新しいことにチャレンジされているというプラスの面があると思うんですけれども,今までの4大学を全く全否定して新しい大学ができるわけでは必ずしもないわけで,今まで例えば東京都立大学がやってきたこと,あるいはそこに蓄積されてきたことがこの中のどの辺に反映されて,それがどういうふうに変えられていくのかというのがよく見えないような気がするんですね。ですから,全く白紙のところに絵を書くとすると,書かれている文字が,例えばこの前 問題になった都市教養,大変魅力的に思うけれどもイメージが余りよくわかない。もとも と全く白紙のところにはないわけですよね。既に4大 学があって ,その中で蓄 積されてき たものが,いいものも当然あるわけですから,そ こ か ら何か残っていくものが ,あるいは 発展していくものがあるはずで,その筋 がこの中にはほとんど見 えない気がするんです。(P. 9)
芳賀委員: この首都大学東京で理科系でも,例えば物理学があっても化学があっても,この首都大学は別 にノーベル賞なんかは要らない,関係しない。 大都市経営に必要な限りでの物理学である,この都庁のような建物をつくるのに必要な物理学であり数学であるというぐらいにやると本当に実学,実践的になっていって非常に特徴が出てくるんです。人文系はもうもちろんのこと, 社会科学研究もそう,一般行政学とかそんなのは要らない。 大都市経営の行政学,パリはどうか,ロンドンはどうやっているか。東京はどうやっているか,北京は今一体どうなっているか,そういうことを教える。北京からも教えに来る, ロンドンからも教えに来る,こっちからも向こうに教えに行く,それくらいにならないとせっかくの首都大学東京に値しないんじゃないですか。 … (P. 19)


投稿者 管理者 : 2005年02月25日 00:40

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