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2005年03月03日

国大協、次期会長に相澤氏-大学改革先取り・バランス感覚を評価

日刊工業新聞(2/28)

国立大学協会は3月4日の通常総会で次期会長に相澤益男副会長(62、東京工業大学長)を選出する。
佐々木毅会長(東京大学長)が3月末で学長任期満了となることから、国大協理事会の選挙で相澤学長を会長候補に選んだ。
就任日は未定(総会で決定)、任期は2年。
東大、京大学長以外からの就任は異例。
相澤学長のリーダーシップと都市部と地方、大規模と小規模など多大学の声を受け入れられるバランス感覚が評価されたとみられる。
(33面に解説)国立大学協会は全89国立大学と関連機関のトップが会員で、会長となった学長は1950年以降で東大13人、京大5人、東工大と一橋大が1人ずつ(代行・代理除く)。
現在は03年6月就任の佐々木会長、梶山千里副会長(九州大学長)と、石弘光前一橋大学長の後任として04年11月に就いた相澤副会長の3人体制となっている。

【略歴】相澤益男氏(あいざわ・ますお)71年(昭46)東工大大学院博士課程修了、同年同大資源化学研究所助手。
80年筑波大物質工学系助教授、86年東工大工学部教授、90年生命理工学部教授、00年副学長、01年学長。
03年日本学術会議会員、04年大学基準協会副会長、国立大学協会副会長。
神奈川県出身。
相澤益男東京工業大学長が国立大学協会長に就くのは、モノづくり立国の日本の理工系大学トップとして、東工大の存在感を旧帝大と同格以上に引き上げてきたリーダーシップと、地方大学の声にも配慮できるバランス感覚が評価されたためだ。
文部科学省の大学設置・学校法人審議会会長、中央教育審議会委員という要職経験も大きい。
国立大学法人化からまもなく1年。
実際上の課題がようやく明らかになってきた面もあり、多様化が進む国立大をどう束ねるか注目が集まりそうだ。
(山本佳世子)東工大は従来、国立大工学部長会議のメンバーの表現でみられるように「旧7帝大プラス1」の“プラス1”という位置づけだった。
しかし、相澤学長は01年10月の学長就任以来、「世界トップクラスの理工系大学」を目指し、研究戦略室を学内に置くなど大学改革を先取りしてきた。
理工系出身学長は近年増えており、早稲田大、慶応義塾大の私学2強のほか、東京大の次期学長もそうだが、相澤学長の個性はしばしば注目を集めてきた。
その結果、米国の著名雑誌による日本の大学の総合力ランキングで東工大は東大、京大に次ぐ3位になるなど評価は高まっている。
予算や教員数など規模ではなく、教員一人当たりの特許数・論文数が注目されるようになり、東工大の評価がより高くなった面もある。
今回、「国大協会長は東大か京大の学長」の伝統には反したが、異論は少なかったとみられる。
人格的には相澤学長のバランス感覚や、リーダーシップに評価が高い。
国大協は4月からの授業料標準額引き上げで国に激しく抗議してきたが、89の全国立大でも事情はさまざま。
東京遊学が無理な地元学生を集める地方大と全国区のトップ大では、値上げによる影響も微妙に異なる。
相澤学長は学部出身大学が横浜国立大で、筑波大の助教授の経験もある。
東工大でも本流ではなく新設の生命理工学部出身で、多様な視点を持つうえでプラスになっている。
2月に中教審の委員に就き、義務教育費負担や子どもの基礎学力低下などの重要課題に対し、高等教育・人材育成の面からの視点を期待されている。
また、大学設置審会長としては、賛否渦巻く株式会社立大学を構造改革特区で認めるなど、教育・研究の中長期視点と変革のバランスを取ってきている。
国立大学法人化から4月で1年がたち、新組織での問題点が実感されてきたという声は少なくない。
国立大全体の真の改革はまだこれからだ。


投稿者 管理者 : 2005年03月03日 00:39

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