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2005年03月08日

全大教、横浜市大・都立4大学の問題について総務省へ要望書を提出し会見

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー (2005.3.7) より

全大教、総務省と会見

横浜市大・都立4大学の問題について市・都への指導を要請

総務省、「労使の意思疎通は重要」

 先月25日、当組合の加盟する全大教(全国大学高専教職員組合)は、総務省と会見し、横浜市大と都立4大学の問題について申し入れを行いました。当組合からは中西執行委員長が参加しました。
 横浜市大と都立四大学では、今年4月の独立法人化にさいして、横浜市と東京都が、ともに任期制・年俸制など重大な問題をはらんだ諸制度を導入しようとしています。
 それぞれの制度の内容と、それら制度の導入過程は、いずれも地方独立法人法や同法案についての国会附帯決議など、関連諸法とルールに違反したものです。
 このことに関して、全大教は、当組合と東京都立大学・短期大学教職員組合の要請を受け、横浜市、および東京都に対し、是正指導をするよう申し入れました。
 これに対し総務省側は、「国会の附帯決議や総務大臣の答弁にもあるように、法人移行に当たっての労使の意思疎通は当然重要なことである」とし、「要請の趣旨は両自治体に伝える」と表明しました。
 現在、市大では、当局が当組合との交渉を経ないまま、不当にも任期制・年俸制等を導入しようとしています。当組合は、このような不正常で法の趣旨に反したやりかたを許さず、誠実な交渉を行うよう要求しています。
 総務省の回答は、当然のルールの確認であるとはいえ、あらためて当組合の要求の正しさを証左するものとなりました。

(次頁に、全大教書記長による報告)

2005年3月4日
各単組委員長殿

全国大学高専教職員組合
書記長 森田和哉

東京都立四大学と横浜市立大学の法人化に伴う総務省会見報告

 全大教は、東京都立大学・短期大学教職員組合と横浜市立大学教員組合の要請を受け、2月25日、要望書(別紙参照)に基づき総務省会見を行いました。
 これは、4月に迫った東京都立四大学と横浜市立大学の法人移行に際して東京都と横浜市が行おうとしている教員雇用制度が地方独立行政法人法及びその成立時の附帯決議の趣旨を大きく踏み外した乱暴なものであることを訴え、公立大学の法人化に責任を負う官庁として適切で迅速な指導を要請し、また見解を質しました。
 この会見には全大教森田書記長、藤田書記次長、東京都立大学・短期大学教職員組合から浜津委員長、田代副委員長、横浜市大から中西委員長が参加し、約1時間にわたって行われました。総務省側は自治行政局公務員部公務員課の溝口洋理事官等が対応しました。
 
 まず全大教森田書記長が、現在の東京都と横浜市が強行しようとしている法人化に伴う教員雇用制度の変更は、地方独立行政法人法の国会審議の際になされた衆参両院での附帯決議を大きく逸脱していることを深く認識してほしい旨の表明が行われ、次いで両組合から各々の要請書に基づき説明と要請がなされました。
 都立大学・短期大学教職員組合は、当局の発した文書、組合の要求への回答などを資料として、基準も示されないまま任期と年俸制をセットにした「新制度」と、永久に昇任・昇給のない「旧制度」という、どちらを選んでも不利益な変更である雇用制度の不当性を訴えました。さらにこの両制度が二者択一で提示されたが、教員の過半数がどちらの選択も拒否しており、このままでは労使が対立したまま4月を迎えることになる現状を説明しました。
 横浜市立大学教員組合は、市当局によって「大学教員任期法」ではなく労基法14条に基づく全教員の任期制と東京都同様算定基準も明らかにされない年俸制とが押しつけられようとしている状況を訴えました。現在の給与制度からの明らかな不利益変更であるこれらの雇用制度は、制度としての公正性、透明性が保障されておらず、また、ほとんど組合との交渉もなしに強行されようとしていることに対して、総務省としての是正指導を要請しました。
 東京都立四大学、横浜市立大学とも、職務や業績評価の基準も再任基準も明示されずに「とにかく教員に任期を付け、年俸制にする」ということのみできわめて酷似した「制度」です。
 これらの訴えに対して、総務省は、「国会の附帯決議や総務大臣の答弁にもあるように、法人移行に当たっての労使の意思疎通は当然重要なことである、要請の趣旨は両自治体に伝える」と表明しました。しかし、同時に「大学のことは熟知しておらず、法人下での勤務条件の中身は労使で決めることで、個々の事象について総務省として口を出すのは難しい。」とも述べました。それに対して組合側から、総務省が唱えた地方独立行政法人法によって公立大学を法人化する上での趣旨を達成するためには、東京都立四大学でも横浜市立大学でも総務省からの積極的な指導が必要な状況であることが重ねて要請され、総務省は「頂いた文書等をよく勉強します」と答えました。
 最後に、全大教として、第1に、東京と横浜で起こっている事態は、一般的な指導、援助では済まず、国会附帯決議をふまえた十分な指導が必要であること、第2に、そうした事態が全国の公立大学に波及する可能性があり、現場での良好な労使関係を進めるためにも、全大教と適宜会見を行うこと、を要求しました。
 これに対して、総務省は基本的に了承するとして、今回の会見は終了しました。

(次頁に全大教、総務省宛要請文)

2005年2月25日
総務大臣
麻生太郎殿

全国大学高専教職員組合
中央執行委員長 関本英太郎

東京都立四大学並びに横浜市立大学の独立行政法人化に伴う教員の雇用制度等に関する要望書

 公立大学振興のための日頃からのご尽力に敬意を表します。
 地方独立行政法人法の下で、東京都と横浜市はそれぞれが設置する大学について、本年4月よりの独立行政法人への移行・改組を進めております。その際、法人への移行に当たって、東京都および横浜市は、それぞれの大学に勤務する教員に対して、これまでの任用条件からの大幅な変更を伴う雇用条件を提示しています。
 東京都は現在都立四大学に勤務し本年4月以降も首都大学東京並びに現四大学に引き続き勤務する予定の教員に対して、法人への移行に当たって任期制・年俸制に基づく「新制度」または任期の定めがなく昇給・昇任のない「旧制度」のいずれかを選択するよう求めています。また横浜市は現在横浜市立大学に勤務し4月以降も勤務を続ける予定の教員全員に対して、法人への移行に当たって任期制・年俸制の雇用制度に切り替えることを提示しています。
 それぞれの教員はこれまで、「教員任期法」に基づく任期制が適用されていた一部の助手を除き、任期の定めのない条件で任用され、いわゆる「定期昇給」の制度が適用され、個人の業績や所属する学部・学科等の事情により異なるとはいえ昇任の機会も与えられていました。これに対して、東京都並びに横浜市が今回提示している法人への移行に当たっての雇用条件は、これまでの任用条件からの重大な変更であるとともに、明らかな不利益変更です。
 地方独立行政法人法では「移行型一般地方独立行政法人の成立の際、現に設立団体の内部組織で当該移行型一般地方独立行政法人の業務に相当する業務を行うもののうち当該設立団体の条例で定めるものの職員である者は、別に辞令を発せられない限り、当該移行型一般地方独立行政法人の成立の日において、当該移行型一般地方独立行政法人の職員となるものとする」(地方独立行政法人法59条2項)と規定しています。
 森清・総務省自治行政局公務部長(当時)は、この法律が審議された国会答弁において、「これは、設立団体の業務と同一の業務に従事する者につきましては、当該地方独立行政法人の職員として引き続いて身分を自動的に保有しつづけることができるという形を法律上措置したものでございます」(参議院総務委員会2003年7月1日)とした上で、後述する附帯決議等において、身分の承継にあたり、移行にあたっては関係者の充分な話し合いと意思疎通が求められることも明確にされています。
 条文上「別に辞令を発せられない限り」というのはその意義が限定されており、「①(独立行政法人に承継せず)〇〇省内で他の部局・機関へ移動させるという〇〇省の辞令、②独立行政法人には承継されるが、「相当の職員」にはならない場合の独立行政法人の辞令」(独立行政法人制度の解説・独立行政法人制度研究会編 松尾剛彦内閣中央省庁等改革推進本部事務局参事官補佐)の二種とされており、雇用・身分の承継については揺るぎのないところであるといえます。
 このような法の趣旨に照らした場合、雇用条件も基本的には継承されるのが当然です。
 労使の充分な交渉・協議を欠いたまま東京都や横浜市が提示しているような重大な不利益変更を伴う雇用条件変更を行うことは許されません。事実、この間独立行政法人に移行した各機関や昨年4月に法人への移行を果たした国立大学は、それ以前の雇用条件を基本的に継承しています。
 以上のことから、現在東京都並びに横浜市が進めていることは、地方独立行政法人法の趣旨からの重大な逸脱であるといえます。
 地方独立行政法人法成立時の参議院総務委員会における附帯決議においても、政府に対し、「地方独立行政法人への移行等に際しては、雇用問題、労働条件について配慮し、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎通が行われるよう、必要な助言等を行うこと。」を決議しています。
 地方独立行政法人を指導・助言する立場にある貴省として、これらの事柄についての見解を求めるとともに、必要な指導・助言にあたられることを求めるものです。


投稿者 管理者 : 2005年03月08日 01:36

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